第14話 闇夜に紛れて偵察する!【エミリア編!】その2


 「彼を知っているのか?」


「あぁ、もちろん知っている!王国内では有名だから…彼は王国内では悪い方で有名だが、僕はそうは思わない。むしろ尊敬している」


「尊敬?」


「うん…色々な噂ばかりが流れ、誰も真実を話そうとしないんだ」


「……真実?彼は父親を騎士団に殺されたんだろう?」


「あぁ、だがどうして殺されたか…そのは知らないだろう?それにどうして傭兵になったかも…」


一連の会話でエミリアは腕を組み、難しそうな顔を浮かべている。


「殺した犯人を探し出す為では無いのか?」


「そんな単純な話では無い」


「ますます訳が分からなくなってきた…それにどうしてお前はそんな事を知っているんだ?」


エミリアは怪訝けげんな表情で兵士を見つめている。


「それは僕は彼の幼なじみだから…」


「そうなのか!?」


怪訝な表情から一転、エミリアは驚いた表情になった。


「うん…でも、そろそろ戻らないと…会わせてくれるなら協力も惜しまない…それに会わせてくれたなら彼がどう言う境遇でお金に拘っているのかも全て話す、彼は自分の事をあまり話さないから…真実を知る人が増える事によって彼もまた少なからず救われると思うんだ…

ちなみに言い忘れてたけど僕の名前は「フィン」ここに居る兵士の数は僕を含めて7人だ、それぞれの方角を警備している」


そう言うとフィンは踵を返し、小走りで去って行った。

エミリアはしばらく立ちすくんだままだ。


(悪い奴ではなさそうだが…本当に会わせて大丈夫なのか?兎に角今は手紙を入れないと…)


思い出した様にエミリアはまた、闇に潜み駆け抜けて行った。


―――――――――――――――――――


(ふぅ……疲れた…)


エミリアは無事に各家に手紙を入れ終わり、帝国領地内に戻ってきていた。


地面に座り込む。

「おつかれさま」

座り込んでいるエミリアの背中から声を掛けられた。

「オネストか…任務は終わったのか?」


「あぁ、終わった。見張りだけでもお金が出るのは良いがやはり退屈だったな…」


「…オネスト…「フィン」って知っているか?」


「もちろんだ、俺の幼なじみだ」


「実は、彼と会ったんだ」


「そうなのか?」


「あぁ、彼は言ってた『会わせてくれるなら協力は惜しまない』と」


「そうか…(住民を助ける為なら、数は多い方が良いが…フィンを巻き込みたくはないな…どうしようか…)」


「オネスト?お前が『傭兵』をしている本当の理由を教えて欲しい」


「……俺の理由は「金」の為、ただそれだけだ…」


「絶対にそうなのか?私はフィンから聞いたんだ、何か傭兵にならざるを得ない理由でもあったんじゃないか?私は会わせたら真実を教えてあげると言われた。でも、私は幼なじみからでは無く、『相棒』本人の口から聞きたい」


それを聞きオネストはポツリ、ポツリと話始めた。


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