第13話 闇夜に紛れて偵察する!【エミリア編!】
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ここは「オルディネ:王国領地内」
エミリアは近くの草むらに隠れて様子を窺う。
時々、空を見上げて月を見ると顔を
(満月は綺麗だが、こんな時はむしろ邪魔だな…)
月明かりがこれ程までに疎ましく思う事は中々無いであろう。
そんな事を思いつつエミリアは耳を澄まし、目を細め、神経を研ぎ澄ます。
すると遠くの方で足音が聞こえてきた。
音のする方へ視線を向ける。
丁度建物が邪魔になって姿は見えないが、ザッザッと地面を一定のテンポで踏みしめる足音が聴こえる。
人数的には恐らく2人だろうか?
エミリアは耳を更に澄ますと足音に比例して声が聴こえてきた。
「あぁ、噂では今や『帝国』に居るみたいだな」
「本当なのか?どこかで野垂れ死んでいるんじゃないか?」
「ははっ、確かにそれも有り得るな」
「無駄に正義感が強い奴だったとは聞いたな…」
建物の影から姿が見えた。
王国兵士だ、数は2人。
雑談をしながら巡回している。
雲の影から月が顔を出す。
エミリアはそれに合わせるように顔を半分以上草むらに隠す。
(西側は2人か…)
兵士達が去って行くのを確認し、エミリアは次々と家のポストに手紙を入れてゆく。
(あと少し…)
走りつつ、だが尚且つ足音にも気を使う。
極力音を立てないように。
移動する中でも建物の角で様子を窺う。
(ここにも居たな…)
エミリアは耳を澄ませて話を聴く。
「はぁ…クソッ…どうして俺がこんな所に異動になったんだよ…」
「あぁ、分かる。僕も同じ気持ちだ。それにどうせ2日後には侵攻するんだろ?警備に当たっても、意味無いだろう…それよりも住民を避難させる方が優先では無いか?」
「いや、ここに住んでいる住民は”王国賛成派”だ。それに侵攻する時はここの住民も協力してくれるらしいじゃないか?盾にしたら俺達も助かるかも知れないぞ?」
「…そ…そうだな…(僕は嫌だ、国を守りたくて兵士になったのに内部がここまで腐っているなんて思ってもいなかった…ん?)」
兵士が視線を逸らす先には月明かりで建物の窓に反射したエミリアの姿だ。
「悪い、ちょっとトイレに行ってくる」
「あぁ、了解…早く戻れよ、こんな月明かりの夜は不気味で気持ち悪い」
「了解」
兵士はエミリアが隠れている方へ歩みを進める。
(!?バレたか!?)
すると兵士は指を口に当て(静かに)と言う動作を取った、そして自分を指差し首を横に振る。
どうやら敵意はない。という事を伝えたい様だ。
(大丈夫なのか?信用出来るのか?だが、今の会話を聴く限り、
そんな事を考えている間に兵士は近付いて来た。
「こんな所で何している?」
「…」
「まぁ、良い。その鞄に入っているのはなんだ?」
兵士はエミリアの鞄を指差す。
「…」
「安心してくれて大丈夫だ、貴方を殺したりはしない」
「…(もうバレてしまっては仕方ない…ここはこの兵士の気持ちに掛けるか…)」
エミリアは手紙を兵士に渡し、この作戦の事を伝えた。
市民をこの戦いから避難させたい。
「彼は生きているのか?」
「彼?」
「オネストだ」
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