第4話 報酬を減らさないで!
あれからと言うもの、中々交渉が進まずに
膠着状態だ。
報酬を減らしたい「山賊」
報酬を最初の金額で受け取りたい
「オネスト」
――――――――――――――――――
「私は確かに守っては貰ったが胸を触られたし7万オロでどうだ?」
「いや、それは!……確かに触ったが不可抗力であって!金額はせめてそのままにしてくれ!(まずいな…このままでは報酬が減ってしまう…)」
助けた女性にタジタジの様子を見て
残りの山賊がヒソヒソと話し合う。
(コイツ女性には弱いんだな)
(みたいだな…)
(これを気に「彼女を渡す」のはどうだ?)
(確かに……厄介払いも出来るしこれからの仕事の分け前も増えるしな…)
(ならこいつの言っていた「10万オロ」でついでに
山賊達で話が
「なぁ、傭兵?約束通り10万オロを払う、だがこっちも一つだけお願いがある。それは彼女も一緒に連れて行って欲しいんだ」
「おぉ!本当か!……え?」
「お前ら!仲間だろ?私を売るのか!?」
「もちろんタダで、とは言わん。
連れて行ってくれるなら最初の10万オロに更に5万オロ付けよう、どうだ?」
山賊達の提案に内心、彼はとても魅力的だと思った。
彼の頭の中は「金」が欲しい。
それだけだ。
だが、同時にこの女性も……と言うと中々快諾は出来ない。
「おぉ!乗っ……んー、どうしてもこの女性も連れて行かないと駄目なのか?(困ったな…でも、この女性……良く見ると顔は確かに可愛い…待て、俺はこんな可愛い女性の胸を触ってしまったのか!?)」
「おい、何故お前は私を見ながら顔を赤らめている!?それにお前らもお前らだ!人を売りやがって!」
「えっ!?いや!違っ!(しまった!顔に出てたのか?)」
「すまんな、あんな時にコケるやつとは無理なんだよ。どうなんだ?提案に乗るのか…乗らないか?」
「いや…えっと…(か、金の為だ…仕方ない…)乗る」
「お前どうして!話を受けるんだ!普通は断るだろ!」
「金の為だよっ!仕方ないだろ!」
「話はまとまったな、ほらよ。約束通りの15万オロだ」
そう言って山賊の一人がテーブルの上にお金を置き、席を立つ。
「じゃあな!」
「達者でな」
「また、どこかで会えると良いな。じゃあな『エミリア』」
最後の別れの挨拶をした山賊達は、こちらの女性『エミリア』を置いて本当に出ていってしまった。
それを見たエミリアは呟いた。
「あいつら…本当に行きやがった」
呆然としているエミリアを尻目に
オネストはその間、テーブルに置かれた「オロ」を自分の懐に入れた。
「エミリア?」
「なんだよ!勝手に気安く呼ぶな!このへんたい!大体話に乗るなよぉ〜…」
「すまないな、もうお金も受け取ったからもういいぞ、お前は自由だ」
そう言ってオネストはエミリアに5万オロを手渡す。
「これでしばらくは食い物に困らないだろ?じゃあな」
「ま!待て!仲間に捨てられた私に行き場なんてない…その…一緒に着いて行きたいんだが…駄目か?」
「……(困った…このまま一緒に着いてこられたら食費代まで結構掛かりそうだな…いや、でも可哀想な気もするし…可愛いし…)」
彼の頭の中は久しぶりにお金以外の事を考えた。
「やはり…駄目か?」
「いや、もう好きにしろ!」
「本当か!?良いのか!?」
「あぁ…でも、その代わり渡したお金は返して欲しい」
「え……?あ、まぁ良いけど…(結局コイツは金の事ばかりじゃないか…)」
「ちなみに…俺の名は「オネスト」」
「オネストか、よろしくな?私の名は「エミリア」ってさっき呼んでくれたし、知ってるな…」
エミリアから手を差し出して握手を求める。
オネストは仕方なく応じる。
「次は勝手に胸を触らないようにな…『相棒?』」
エミリアはそう言うとオネストの顔を覗き込む
「えっ!?あぁ!わ、分かってるって!もう良いだろ!(なんだよ!それに相棒って!でも、割と悪い気は…いや!金の為!金の為!)」
オネストの反応を見て思わずエミリアも笑ってしまう。
「ふふっ」
「な!?何を笑ってるんだ!もう行くぞ!」
「はーい、オネスト!」
「はぁ……」
こうして2人は酒場を後にした。
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