第44話
俺達は走り続けた。夢の中でモンスター化した蝶野さんへ逃げ続けた。何とか打開策を考えていると、洞窟っぽいところが視界に入った。
「一旦、ここに入るぞ!」
蝶野さんが目を離した一瞬、俺はゆなと一緒に洞窟へ滑り込んだ。洞窟といってもそこまで深くなく、洞穴といった表現が正しい場所だった。彼女が去るまで息を殺して潜めていると、足音が遠くなって聞こえなくなった。
「いったか……」
「私、こんな展開になるってきいてないですよ~!」
「それは俺もだよ」
一応、ラブコメジャンルの創作作品なはずだが、急にヒロインがモンスターになったりと滅茶苦茶な展開になってきてるわけで、大変な目にあっている。作者が飽きてるとかネタ尽きて書くことないからクソ展開になっているとか言ってはいけない(戒め)。
ふと思ったが、夢の中だから何でもできたりするのか? そう思いゆなの方を見ると手をぽんと考えた。
「そうですよ! 夢の中じゃ何でもできるんですから、ロ○の剣とかマ○ターソー○とか生成して戦いましょう!」
「本当に何でもありだな……」
試しにイメージしてみると、本当に目の前からそれっぽい武器が出てきた。手に取ってみると、おもちゃみたいに軽かった。試しに近くの岩を斬ってみたら紙のように切れた。ゆなの方を見ると体中にミサイルやバルカンのような重装備を体中に装備していた。いや、フルア○マーガ○ダ○じゃねーか。一番殺意マシマシじゃねーかよ。
「やっぱりファンタジー武器よりも近代武器ですよね!」
「そこはリアリストなんですね……」
いつもへらへらしているが、今にいったっては狂気の笑顔に見えてしまう。まあ、これである程度の反撃はできるみたいだ。洞穴からでると彼女が俺たちを不気味な笑い声を発しながら探していた。洞穴からでた俺たちをみるなり嬉しそうに近づいてきた。
「どこに隠れてたんですか? さあ、私を受け入れてください」
「そうはさせません!」
ゆなが彼女の前に立つと、躊躇なくありったけの銃弾を叩きこんでいた。爆音と白煙があたりを濃く包んだ。もしかして、怒らせると一番やばいかもしれない。少し下がったところで立ち尽くしていると、爆音が止まり白煙も晴れてきた。
「ぐっちゃぐっちゃ肉塊の完成です♪」
「お前……ストレス溜まってる?」
過去一番の笑顔をみせるゆな。今度から怒らせないようにしないといけないな……。
「何かすごい攻撃でしたね」
「なっ!?」
完全に煙が晴れるとモンスターの姿から黒色の妖艶なドレス姿へ変わった彼女がいた。彼女の体には傷一つついていない。
「やっぱりこの体の方が動きやすいですね」
軽やかにリズムを刻んで笑う彼女。一方のゆなは戦意喪失してか纏っていた重装備が消えていた。それをみた彼女は手から漆黒の剣らしきものを生成してゆっくりとゆなの方へ向かっていた。
俺はすかさずゆなの目の前にたって剣を構えた。
「どいてください。私の幸せに彼女は邪魔なんですよ!」
「そうはいかねえよ。いくら夢の中でも人が黙って殺される現場を見て見ぬふりできるか」
俺の言葉に彼女はふふっと笑った。
「そういう真面目なとこ好きですよ。でも、邪魔はさせませんから!」
剣を大きく振りかざす。剣を構えているが、びびって体が硬直して動かない。やばい! やられる! 大粒の冷や汗をかいて目を閉じる。
「やめなさい!」
聞きなれた声。声の聞こえた方を見るとゆなと全く同じ姿の女性が立っていた。
「先輩?!」
「華雪!」
やっと頼りがいのある助っ人が現れた!
あとがき 次で最終回にできそう! ガンバル!
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