第39話
「あ……」
扉を開けた先に見えた光景を見た私は口をあんぐりと開けて見ていた。無理もない開けて見えた光景が二人の男女が抱き合っている光景だったのだから。知らない間に復縁でもしていたのだろうか? だとしたら、彼は二股していたのだろうか? いや、彼に限ってこんなことはしない。あの女だ……。あの女が弱った彼に付け入ってあんなことしたに違いない。
私が幸せになるために邪魔な物は全部消さなきゃいけない。私の為にそして彼の為に私は悪魔になる。抱き合っている二人を見て、目一杯の力で握りこぶしを作って、爆発しそうな悔しさを押し殺した。
屋上を後にした俺は残りの授業を適当に聞いて、終わるとすぐにまっすぐ家に帰った。希のお見舞いに行こうか迷ったが、日比谷がくるので止めといた。まあ、怪我人に変なことはしないだろう。
家に帰って部屋着に着替えると糸が切れた人形のように脱力してソファへ寝転んだ。つい最近まで希と他愛もない会話をして、一緒に料理をして、ゲームをして、常に希がいたからか家が怖いくらい静かだ。
そのまま寝てしまおうかと考えていたが、何だか落ち着かなかった。気づいたら上半身を起こし背伸びした後、出かける準備をしていた。
パーカーを羽織ってジャージをはくと玄関を出た。目的地は決めてなかった。遠出するのはだるいし、だからと言って近所は毎日歩いているから飽きている。目的地を考えながら歩いては休んでを繰り返した。気づくと高校近くのコンビニでたむろしていた。漫画本を立ち読みしていると、見覚えのある人物が目の前を横切るのを漫画を見ながらも見逃さなかった。
今日、抱き合った仲になったゆなだった。居残って勉強でもしてたのだろうか?その時、俺は良からぬ考えをしていた。
「暇だしつけてみるか」
俺は暇つぶしにバレないように尾行することにした。……文面だけだとかなりヤバいな俺。
意外と尾行はバレずに続いていた。俺に探偵としての才能があるのか、それともゆながただただポンコツなのかは分からないが、今のところは周りにも不審がられていなかった。
猫と戯れたり、ちょっとした段差で転びそうになったりと見てて飽きなかった。この光景は先輩じゃ見れなかったから貴重かもしれない。
しばらく続けていたが、だんだんと人気がなくなってきてバレそうになってきた。どんなに鈍いゆなでもそろそろ感づいてくる頃合いだった。俺はバレる前に彼女の近くから離れて安全圏へと逃げ込むことに成功した。
久々に汗をかいた俺は近くにあった自販機で炭酸飲料を買って飲んだ。何だか久々に退屈の紛れた時間を過ごせて自己満足に浸れた俺は軽い足取りで帰路に着いた。
「こんにちわ~先輩っ!」
「きゃ! えっ?! だ、誰ですか?」
先回りして急に飛び出た私に怯えるように驚いた彼女、月影先輩は私を見るなり不審者を見るような目で後ずさった。
「やだな~! 一回合ってるじゃないですか? 忘れちゃったんですかぁ?」
何故だか彼女は私なんか知らないといった顔をしている。前会った時とは随分と雰囲気が変わった気がするのは気のせいだろうか?
「えーっと……蝶野さん? でしたっけ?」
自信なさげに私の名前を呼ぶと、ぎこちない笑みをこちらに向けてきた。私は警戒を緩ませるために、いつもの笑顔で彼女に近づいた。
「何の用? ですか?」
「ちょーっと今日の月山君のことでさ」
「か、彼がどうしたんですか?」
彼の名前を出すと分かりやすく動揺していた。いかにも今日やましいことしちゃいましたみたいな感じで。
「良くないないですよぉ? こういうの。月山君、彼女いるのに」
「ち、ちがいます! あれは不可抗力的なやつで……って何で知ってるんですか?」
さらに私に対する警戒心をあらわにする彼女。雑談はここまででいいだろう。人が来ない内にやってしまおう。
「先輩にお願いがあるんですけど、ちょっとの間いなくなってくださいよ」
「な、何をする気ですか?!」
隠し持っていた警棒を彼女にめがけて振り下ろした。
あとがき 何だかすべてが適当になってきてるけど、ちゃんと書ききるぞ
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