第9話 あ、ハブられた?

図書館に光が差し込んできた。


国王達の会話はすでに終わっているのだが、この世界のことについて知るにはもってこいの場所なので、色々調べている。


昨晩、勇者召喚が『魔王』倒すためだけでは無いことを知った俺は、まずは情報だ。と思い、籠っていたのだ。


この図書館はすごくデカいが、ほとんどの本を読み終えた。もちろん、超能力を使ってだが。


今回使った超能力は“速読“と”完全記憶”だ。


“速読”は今回が初めて使うようなものだ。向こうの世界では使いたくなかったのだ……読書が面白くなくなるからな。


“完全記憶”もあまり使わない能力だ。この能力は読んで字のごとく、完全に記憶する能力だ。これを使えばテスト満点は余裕だろう。……しかし、使ったら負けた感じがするため、使わなかったのだ。


「さて、そろそろ朝食の時間だな」


はぁ、面倒くさい

そう思いながら“瞬間移動”で自分の部屋に移動した。念のために。


ベッドの上に寝転がり、《ステータス》を開いていると、コンコンとドアをノックする音が聞こえた。


「神谷様、朝食の時間でございます」


とりあえず「はーい」と返事をして、ドアを開ける。


そこにいたのはメイドさんだった。


「朝食は昨日の部屋とは異なりますので、私が案内いたします」


「あ、わざわざありがとうございます」

そう言ってペコリと頭を下げる。


この行動が一番、相手に好感を与えるのだが、このメイドさんは、何故か俺のことを警戒している。


制服に着替えて、メイドさんに付いて行き、やがてある部屋まで行った。


そこには既にクラスメイト達が居て、俺のことを睨み付けていた。


「どううしたんだ?」


勇達に掛かっていた“魅了”も既に消えている。


どうゆうことかと思って、周りを見渡すと、皇女が女子に囲まれて背中を擦られていた。そして皇女は涙を流している。


あぁ、なるほどな……そうゆうことか。


「おう、陸!よく呑気に来れたな!」

龍斗がキレている。


さくらもすごい顔だ。


勇は……今でも飛びかかってきそうだ。


「それで……どうしたんだ?」

まあ、だいたい分かるが


「ふざけるのも大概にしろ神谷ぁ!」


藤牧が怒鳴った。


勇はプルプルと、身体を震わせている。


女子達は後ろで皇女を守るように構えている。


「前からいつかはやるだろうとは思っていた」などと、さまざまな罵詈雑言が響き渡る。


そして最後に国王が、

「貴様は野垂れ死ね!ここから出ていけ!」


俺は素直に出ていった。


しかし……あっさりと出て来れてしまったな……


しばらくして、森の中に入った。森には魔物がいるらしいが、超能力があるからなんとかなると思う。


が、


「何か俺に用ですか?」


俺のことを尾行している奴らに聞いた。


「……」


返事が帰ってこない。


まあいい、“透明化”


突然、ターゲットが消えたのだ。もちろん驚くだろう。


すると、数人のストーカーが木の影から出てきた。


ストーカーには帝国の紋章が付いていた。多分、俺を殺すために来たのだろう。


お勤めご苦労様です!


さて、これからどうするカネ……やっぱり金が必要カネ?


なんか……反応してくれる人が居ないと……虚しいな


じゃあ、路銀を集めるために魔物でも狩るか。

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