第7話 国王達の悪巧み ②

“透過”を使って壁をすり抜けて、まず目に入ったのは、たくさんの本だ。図書館なんだから当たり前だと思うかもしれないが、そんなレベルじゃない。


ほんとにたくさんあるのだ。


中には日本語で書かれたものまである。多分、過去の勇者達が持ち込んだものだろう。



国王達は中央部にいたはずだ……とりあえず近くまで行ってみるか……


さてと、国王達は何のお話をしているのかな?


そう思いながら、身体を浮かす。


“空中浮遊”という能力だ。これを使えば、音をたてずに盗み聞きできる。


本棚の上を飛んでいき、国王達の頭上に来た。


そこに居たのは、国王、シャル、そして、魔術使のエリックだ。クロードの方はどうやら、この件について関わっていないようだ。


机の上に広げてある書物を“完全記憶”を使って覚え、“感覚強化”で聴覚を格段に上げ、話している内容を一言一句逃さないようにする。


「シャル、勇者の方はどうだ?」

と、国王


「素晴らしい《ステータス》をお持ちになっている方が多くいらっしゃいます。しかし……」


「しかし……?」


「二人ほど……私の“魅了”に掛からない方がいらっしゃるのです」


「誰だ、その勇者は」


「一人は白雪様です」


「確か……聖女様でしたな?」

と、エリックが相槌を打つように言った。


「はい、そうです。それで……もう一人というのは……『魔力不適合者』なのです」


「まさか!?あいつが?そんな筈は無いだろう」


エリックが嘲笑しながら言った。


俺のこと甘く見すぎだよ!本人ここにいるんだぞ!


「だとしても、『魔力不適合者』なのだろう?何か不都合があっただけだ。気にする事はないだろう」


「それもそうですね……では、これから私が考えていることを話したいとと思います。よろしいですね?」


「うむ、構わん」

と、国王が


「私も構いません」

と、エリックが

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