第6話 国王達の悪巧み ①

こいつらの性格が悪いのは分かった。


多分、俺の《ステータス》がさぞや不満だったのだろう。



王の謁見が終わり、おもてなしをされ、今は個別に与えられた部屋のベッドに寝転がっている。


おもてなしはただのおもてなしだった。別に毒物は入ってなかった。


まあ、どうせ俺にばれそうになったと思って、急いで作り直したのだろう。


因みに、俺の『ステータス』に書かれていた記号のようなものなのだが、後で聞いてみたところ、またもやガッカリされてしまった。


この記号、どうやら赤ん坊の《ステータス》とほとんど同じなのだとか……


それなら俺、立ててるのが不思議だよ。


他のクラスメイト達の《ステータス》は、国王達が興奮するほどだった。


つまり、それほど素晴らしい《ステータス》なのだろう。


勇は『真の勇者』

白雪は『聖女』

龍斗は『龍闘士』

さくらは『剣聖』

という称号があった。


特に勇の『真の勇者』はとても珍しい称号なのだとか……


他にも、藤牧は『賢者』。槍本は『槍士』……etc.


そして、白雪が何故“魅了”に掛からないのかが分かった。


どうやら白雪、“状態異常無効化”というスキルを持っていたのだ。


読んで字のごとく、状態異常を無効にするスキルだ。こいつのおかげで、白雪は“魅了”に掛からなかったのだ。


「さて、そろそろ国王のとこへ行くとするか……”透明化”」


俺はベッドから起き上がりそう言った。


俺の姿が、完全に他人から見えなくなる。そして自分の部屋を出て、


「“千里眼”っと」


国王の居場所と安全ルートを確認する。


廊下には等間隔に松明が壁に取り付けられていた。


火事にならないのかと思い、松明に手をかざして見たのだが、熱は感じられなかった。


多分、この松明も魔法の類いなのだろう。




さて、目的の場所に着いた。


目的の場所とは別に国王の部屋ではない。


――図書館だ。


どうやら国王達……といっても、二人しかいないのだが、書物をデカイ机の上に広げて、なにやら話し合っている。


図書館の扉は閉まっているので、扉を開けてしまったらバレてしまう。


なので、


“透過”という能力を使う。この能力は自分の身体より小さい、もしくは薄い、生物以外のものならば、スリ抜けられる能力だ。


向こうの世界では一番最初にマスターした能力であり、一番お世話になった能力だ。


使い方はさまざまだが……やはり、研究所の女風呂を覗くにはもってこいの代物だった……。


図書館の壁は俺の身体より薄いので、“透過”が使える。


壁をすり抜ける時、説明は難しいが、少し違和感がある。


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