第5話 超能力者の《ステータス》

部屋に入ると一番最初に飛び込んできたのは、たくさんの人だ。


豪華な服を着ているから、多分貴族みたいな所にいる人達だろう。一番目につくのはやはり、俺達より数段高い位置にどっしり座っているおじさんだ。……あのおじさんがこの国の王だろうと誰もが思えるようなおじさんだ。


その国王の前まで歩いて、皇女に言われた通りに左胸に手を当て、頭を下げた。


「面を上げよ!」


野太く男らしい声が部屋全体に響いた。

シーンと、静まり返る。


「まず勇者達よ。我々の召喚に応じて頂き誠に感謝する」


「いやいや、あんたらが勝手に召喚したんだろ」


とは、言わない。

心の中に止めておく。


「突然だが、まず勇者達にはこの場所で《ステータス》を見せてもらいたい。では、それぞれに《ステータス》と念じてくれ」


《ステータス》


そう念じてみると、目の前に青い半透明な突然出てきた。手で触っている感触がある。


―ステータス―

名前:神谷 陸

年齢:15

種族:人族(超能力者)

レベル:1

攻撃力:******

防御力:******

筋力:******

俊敏:******

魔力:0

魔攻:0

魔防:0


スキル:鑑定 言語理解 計算


称号:異世界人 招かれざる者 魔力不適合者


えーと……どゆこと?


《ステータス》を見ていると、エリックさんが初めてしゃべった。


「自分の《ステータス》を確認しましたか?」


勇達はうなずいた。


「では、ここからはわたしが進行していきます。……まず、自分の《ステータス》で気になったことはありますか?」


そう聞かれたので、俺はそっと手を上げた。


「どうされました?神谷様」


おー!ちゃんと名前を覚えてくれていた!

いや、そこじゃなくて。


「えーと……この《ステータス》って壊れてませんよね?あと、『魔力不適合者』ってなんですか?」


「『魔力不適合者』っ!?本当ですか!」


「あ、はい、本当です」


「”オープン”と念じて見せてください!」


「あ、分かりました」


“オープン”


そう念じると、先ほどの《ステータス》がもう一度出てきた。





「本当です……しかも、『招かれざる者』まであります」


エリックさんがそう言った瞬間、勇者以外の人達がざわざわし始めた。


俺の『招かれざる者』と『魔力不適合者』に原因があるのだろう。


「何か問題が?」


「『魔力不適合者』は一切魔法が使えないだけで害は無いのですが……『招かれざる者』は過去の勇者が持っていまして……その勇者は、我々人族を裏切って魔人族に寝返ったのです」


「でも、俺はそんな事しませんよ?」


「そうかもしれません……ですが、先の勇者は途中までは優しくて聡明な方だったんです。ですから、あなたももしかしたら……と、思ってしまうのですよ」


全く……さっきから“読心”を使っているが、口を開けば嘘ばかりだな。


エリックの心の中は

(ちっ、『魔力不適合者』かよ……せっかく異世界から犠牲を払ってまで召喚してやったのに……)

だ。


勇者召喚の為だけに犠牲を払ったのか……この国、性格悪い奴多過ぎだろ。


「……ですが、俺はその勇者とは違います」


とりあえず、気持ちを抑えて話を合わせておく。


「それと、俺の《ステータス》にもう一つ気になることがあるんですが……いや、その話は後ででいいや……それより、他の勇者の《ステータス》を確認したほうがよくないですか?」


「それもそうですね。では、皆さんの《ステータス》も見せてください」


(チッ、魔法も使えねえカスが……)


最後に心の中でそう呟いていた。

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