第3話 いじいじホワイトデー
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人生初の遅刻を経験する瀬戸際だった。
階段を駆け上がって廊下を全力疾走していると予鈴が鳴る。担任が教室の前のドアから教室に入ろうとしているのが見えて、私はギリギリでうしろから教室に入ると、クラスメイトがちょうど移動をしている最中だった。
私は荒い息を吐きながらカバンを机において椅子に坐った。乱れた前髪を整えていたら、となりの席の小暮(こぐれ)の視線を感じてそっちへ向くと、頬杖をつきながらこちらを見ている。
「ギリギリだったね」
「マジ、やばかったー」
制服は崩さずにきちっと着こなしていて、ネクタイも緩めず、袖から見えたセーターの袖はぜんぜん伸びていない。サラサラの直毛の黒髪にはワックスとかはなにもつけてないみたいで、どんな手入れをしているのか、なんの化粧水を使っているのか訊きたくなるくらいマジで肌がきれい。派手さのない中性的な顔立ちで、ほんのちょっとだけ垂れた目尻がどこかやわらかい印象を受ける。
「なに?」
「あ、いや」と小暮が目線を外した。「なんか、いつもと雰囲気違うから」
私は鼻の下の汗を拭きながら云った。「ちょっとね。それで遅刻しそうになって……」
「あーそういうこと」
担任が朝の諸連絡をしはじめて、小暮がゆっくりと前を向いた。やっぱりちゃんと化粧したり髪を整えるとわかるものなのかな。それともそういう細かいところに気がつく小暮だから気づけたのだろうか。なんにしてもその些細な変化を感じ取ってくれるのはしてきた側からするとうれしいもので、カノジョのマユにもふつうに云ってそーと私は勝手に妄想しちゃって顔がによによしそうになる。
きょうの放課後、吉屋と会う。
あの日、バックれた同窓会のあと、私は吉屋といっしょにコーヒー店でたくさん話をした。高校生活どんな感じとか、部活やってるの、とか――どちらかが一方的に話題を提供する感じではなく、気まずい空気を埋めたい感じでもなく、ありきたりなことをただ話していたら、二杯目をもらいにいくほどに時間が経っていた。
その二杯目のコーヒーを飲み終え、話すこともほとんどなくなり、そろそろ帰ろうかなと思って『それじゃあ』と切りだしたら、吉屋が『あ、の』とためらいがちに云ってきて。真っ赤な顔をそらしながら『今度、タ、ピ、オカ飲みに、行かない?』と誘ってきた。
いま思いついたことを口にしたような、流行に乗っかっただけの、なんのひねりもない誘い方だったけれど――でもどうにかして次を繋ぎとめようとしている彼を見て。
『うん。いいよ』
空いてる日、あとで教えて。と私は伝えて、その日はそれでバイバイした。
それから夜にラインがきて、誘われた日がまさかのホワイトデー。いやさすがに狙いすぎでしょ? と思ったけど、断ったら私が逆に意識してるっぽく思われるのが嫌だったから二つ返事で了承した。
「それじゃあ、一年も残りあとわずかだが、最後まで気を抜かないようにー。はい解散」
担任が話を終えて教室をあとにすると、近くに坐っていた男子が「朝から話長すぎだろー」と立ち上がりながらつぶやいた。なんか長々と話していたみたいだけど、自分のことばかり考えていたからぜんぜん聞いていなかった。
廊下で待っていた他クラスの生徒がぞろぞろと入ってきて、時間割を見てみると一限は英語だった。三つのクラスが学力に合わせて編成されていて、ランクに応じた教室へ移動しないといけない。クラスメイトたちは次々と移動をはじめていて、教室中にバタバタした雰囲気が充満していく。
「ユコー行こー」
「うんちょっと待って。ノートないんだよねー」
カバンを漁っていると、マユが教科書などを持ちながらやってきた。放課後になったらどうせ崩れているだろうと思ってポーチにヘアスプレーにいろいろ持ってきててカバンのなかごっちゃごちゃでマジカオス。なにこれもーいつのヘアゴムとレシート? いらないからあとで捨てよ。
「放課後、どこ行くか決めた?」
「うん、まあ」と小暮が立ち上がった。「お腹、空かせておいて」
それじゃ、と小暮が席を離れていく。私と話していたときに比べると声がすこしやわらかくなっていた。そろーっと目線を上げてマユを見ると、このほんのわずかな時間でも話せたことがうれしいのか、頰がちょっとだけ緩んでいる。
「ダメだ。ないー」と私は云った。「もういいや時間ないし。行こ?」
「うん。あ。わたしのあげようか?」
「いやいいよ。他のノート持ってくから。ありがと」
私は立ち上がって筆箱とかを持ちながらマユといっしょに教室をあとにする。廊下を歩きながら「きょう、放課後デート?」と私は茶化した感じをださないように訊ねてみた。
「うん、ホワイトデーのお返しで」とマユがほほえみながら云った。「ユコも、放課後どこか行くの?」
思わぬ返答に、私は若干動揺しながら「ん、まあ。ちょっと。え、なんで?」と髪を触りながら訊ね返した。
「んー」とマユがにこにこしながら云った。「なんとなく」
「いや気づいてるじゃん絶対」と私は笑いながら云った。「やっぱ変かな? 髪ちょっとやりすぎ感でてない?」
「んーん。かわいい」
「ほんとかー?」
「ほんとだよー」
たったそれだけで自信がわくって知っているみたいに、マユがほんわかとした包みこむような笑顔を向けてくると、なんかちょっとわかんないけど泣きそうになって、こみ上げてきたものを堪えるように鼻で思いっきり息を吸った。かわいいなんて言葉の裏には無限の意味があるのに、この子が云うと額面通りに受け取ってしまう。
この子は、なにも聞いてこない。
めんどくさい恋の詮索をしてこない。
たぶん、待っているんだと思う。
私から話してくれることを。
放課後に吉屋と会うことを、私はマユに伝えていなかった。
驚かせてやろうとか、そういう魂胆があるわけじゃない――なぜか、伝えることにうしろめたさがあった。別にさらっと「中三の頃に同じクラスだった男子と放課後遊びに行くんだー」ってラインでもなんでも伝えればいいだけ。たった、それだけなのに。
カレシがほしい。
その本心を、なぜかマユには、悟られたくなかった。
スマホのカメラで自分自身とにらめっこ。前髪の角度が多少変わったくらいで急にかわいくなるはずもないのになぜだか気になって近くに人がいるにもかかわらず化粧が崩れていないかを何度も何度も確認した。普段だったらそこまで気にならないことを気にしてしまうのはきっと、私が『他人から見られる自分』を意識しているからなのかもしれない。
「お待たせ」
「うん。なんかきょう混んでるねー」
「ホワイトデーだからじゃね?」
近くにいた大学生っぽい私服の人が彼氏らしき人に連れられて人混みにまぎれていく。たぶん恋人同士で、歩きながら顔を見合わせてニコニコしてて、男の人からそっと手をつないだところで姿が見えなくなった。きょうはホワイトデーというせいもあって、平日の夕方なのに駅前はそこそこ混み合い、改札前には私と同じように待ち合わせをしている人がたくさんいて、男女で改札を通過してくる姿が多く見える。
私は壁に背中をあずけてふぅーと息を吐いた。ここに到着してから、ずっと落ち着かなくてそわそわしてる。
「ども」
そして待つこと数十分。吉屋が学ラン姿でやってきた。新品さがすこし抜けた、襟に校章がついている学ランを第一ボタンまでしっかりと閉じている。靴とカバンは指定じゃないみたいで前に会ったときと同じ黒いリュックとしろいスタンスミスを履いていた。
「よ。制服、学ランなんだね」
「うん。ほんとは、ブレザーがよかったんだけど」
「そう? 私、学ランのほうが好き。女子はセーラー?」
「そうだね。……行く?」
「あ、ごめん」と私は歩きだした。「タピオカ、飲んだことある?」
「いや、実はまだなんだ。それでまあ……どんな感じか気になってて。弓峰さんは?」
「コンビニのは飲んだことあるけど、お店のはまだ。なんかめっちゃ並ぶらしいよね」
「みたいだね。行くとこ、有名みたいだから、混んでるかも」
「だろうねー。ホワイトデーだから、人も多いし」
「そうだね」
その話題の種に吉屋は食いついてこなかった。なぜかそのことを切りだしてしまったことが恥ずかしくなってきて、私はカバンの紐を握り締める。意識していると思われたことがなぜかちょっとだけ悔しくて、そういう感じをださないように言葉を選ぶと、なぜか声がでなくなってしまった。
駅から離れてお店へ向けて歩いていくと、たくさんの人達とすれ違う。大きな駅だからいろんな人が歩いていたけれど、カップルらしき男女になぜか目が向いてしまっていた。全員が付き合っているわけじゃないと思うけど、男女でいるだけで私達も『そういう感じ』に見られているような気がして、私は吉屋からちょっと距離をおく。
途中、吉屋がちらっと私のようすを確認するようにうしろを振り返った。そしてなにも云わずに速度を落として横に並ぶ。なにも云えなかった。云ったらダメな気がした。なんとも云えないくすぐったい距離感で、これ以上遅くなったら足が止まってしまうくらいの速度で、私達はゆっくり、ゆっくりと街のなかを歩いていく。
「え、……ちょ、あれ、マジ?」
「……思ったより、すごいね」
お店が見えてくると入口からつづいている長蛇の列が目に飛びこんできた。お店の名前は『チャランタン』といって、タピオカ店に詳しくないので店名を見ても『あーこの店ね!』って感じにはならなかったけれど、このようすを見るに相当人気のお店なんだと思う。
お客さんの大半は女性で、そのなかにちらほらとカップルらしき人達が混ざっている。男性同士で並んでいる人もいたけれど、それはごくごく一部という感じ。列の長さはどれくらいだろう……ぱっと見た限り、三十分くらいは待ちそうだけど。
行列を見たら途端にめんどくさくなってきて、最後尾に並ぶのをちょっとだけ躊躇していると、吉屋が「やめようか」とあっさりした声で云ってきた。えっ、と私は驚いてすかさずそちらへ顔を向けたら「ん?」と小首をかしげる。
「やめるの?」
「うーん」と吉屋が云いにくそうに目線を外した。「……並んでたら、身体、冷えるだろうし。風邪、引くかもしれないし」
目を合わせず、まるでひとりごとをつぶやくみたいに云ってくる。恥ずかしいけど、でも云わなきゃいけないから云ったみたいな――なんだろうこの感じ。なんだろう、この感じ。あ、え待って。やば。私のこと、気遣ってくれてる?
「どっちでも、いいよ」
めんどくさいやつだなって、口にしてから思った。失敗した。あー、失敗した。こう云ったら吉屋があれこれ考えちゃうかもしれないのに。やめるって正直に云えばよかった。
「じゃあ、じゃんけんで決めよう」
「えーなにそれ」
「ぼくが勝ったら、別のところね。ぼく、チョキだすから」
「……そ」
正直やられたって思った。吉屋に二択に絞らされたことで『どっちでもいい』わけじゃなかった、私の本心がわかってしまうから。
ほんとうに、チョキだす?
信じていい?
私は、吉屋を信じていい?
「最初はグー」
じゃんけんぽん――私は手のひらを吉屋へ見せるようにだすと、吉屋は宣言通り、チョキをだしてきた。
「行こうか」
吉屋が開いた手を包みこむようにふわっと握ってくる。手をつないだまま歩きだすと、私の足がまるで別の生き物みたいに自然と動きだして、ふたりで人の流れに逆行するようにその場を離れた。触れ合っててもいやじゃなかった。それが私が吉屋に抱いている正直な気持ちなんだと思った。
すこし頼りなさそうなところがあるのに、この前のときもそうだったけど、大胆で強引なところもあって。吉屋のことをぜんぜん掴みきれなくて、でもそれって当然のことなのかもって思う。
だって私は吉屋のこと、ほとんどなにもわからない。
「甘いものとか、好き?」
「割と好き。吉屋は?」
「ぼくもそこそこ。そういう感じのお店で探してみようか」
「うん。ねえ、甘いものだとなにが好き?」
「んー。プリンとか、アイスとか好きでよく買っちゃうかなあ」
「この時期アイス寒くない?」
「いやいや。あったかい部屋で食べるの最高だよ? 夏に食べるより好き」
「それわかる。家にこたつある?」
「いや。うち、親がおかないことにしてて。ほしいんだけどさ。弓峰さんの家はあるの?」
「うん。あるよ」
「いいな」
「いいでしょ」
話していたら自然と表情がゆるんでしまった。なんでだろう、頭のなかに次から次へと言葉が浮かんでくる。吉屋がどういう人なのかもっと知りたいし、私のことも知ってほしい。表面的なことばかりじゃなく、もっと踏みこんだ話をしたい。
「あ。こことかどう?」
話している途中で、吉屋が一軒のお店の前で立ち止まった。海外のお店のような外観できれいに塗られた真っしろな外壁、扉や窓枠は木が使われている。上には『Pâtisserie Souvenir』とお店の名前が入った雨よけっぽいのがあって、入口の手前には折りたたみ式の看板に簡単なメニューが載っていた。
「私はいいよ」
「他のところ見てからにする?」
「ううん。いい」と私は云った。「時間なくなるし。ここにしよ?」
吉屋がうなずき、お店のドアを開けてなかに入っていく。私が入るまで扉をすこしのあいだ押さえてくれていて、私は「ありがと」と云ってから店内へ足を踏み入れた。入ってすぐのショーケースにはたくさんのケーキが並び、その奥にしろいシャツを着た女性の店員さんがふたり立っていて「いらっしゃいませー」とこちらを見ながら挨拶をしてくる。
「お客様は二名様でしょうか?」
「はい」
「お持ち帰りとイートインが選べますがどちらになさいますか?」
「店内で、お願いします」
「かしこまりました。こちらからお好きなものをお選びください」
店員さんがショーケースを手で指し示してくる。私は軽く前かがみになりながら陳列されているケーキを眺めていたら「なににする?」と吉屋が膝に手を当てながら訊ねてきた。
私は目線をケーキへ戻した。「えーとーんー。イチゴタルト気になる、かな」
「タルト美味しそうだよね。ぼく、季節のフルーツタルトにしようかな」
「えー私どうしよ。めっちゃ迷う。レアチーズケーキも人気あるみたいだし……」と私はこめかみを触りながら云った。「あの……すみません、ちなみにオススメってありますか?」
「そうですねぇー。いちばん人気のレアチーズケーキ、ですかねぇ、やっぱり。甘過ぎなくてさっぱりしてて美味しいですよ。それと、うちのコーヒーともよく合いますし」
「じゃあ、それにしようかな。すみませんそれ、お願いします」
「レアチーズケーキを、おひとつ……あと、季節のフルーツタルトで、よろしいですか?」と店員さんが吉屋に確認を取るように顔を向けた。
「はい。お願いします」
「かしこまりました。お飲み物はこちらからお選びできますが、いかがなさいますか?」
もうひとりの店員さんがケーキを準備してくれているあいだに、接客してくれている店員さんがドリンクメニューの紙を見せてくれる。結局どちらもホットコーヒーを頼むことにして、合計金額を割り勘で支払い終えると、差しだされたトレイの上にさっき頼んだケーキがおかれていた。
「お好きなお席へどうぞ。お飲み物はのちほどお持ちいたします」
吉屋がトレイを持ってくれて、私達はレジから移動して壁側の空いていた円形のカフェテーブルへ腰を下ろした。店内はなにかわからないピアノ曲が流れていて、お客さんはそこそこいるけど声を抑えて話しているのか騒がしい感じはぜんぜんなく、耳をすませばカップをおいた音やフォークと食器が当たる音が聞こえるくらいの落ち着いた空気が流れている。
「吉屋のやば。写真撮ってい?」と私はブレザーのポケットからスマホをだした。
「いいよ。それあとで送って」
「うん、わかった」
さらっと写真を撮り終えてから、さほど待たずにさっきの店員さんがやってきて「お待たせいたしました。ごゆっくりどうぞ」と湯気立つコーヒーを持ってきてくれる。
「いただきます」
「どうぞどうぞ」
私は一口コーヒーをすすってから、苦味を緩和させるようにレアチーズケーキの先端をフォークで切りわけて口へ運んだ。
こんなの美味しいに決まってるじゃんね!?
って叫びたくなったけど、私は涼しい顔を繕いながら口を動かす。シンプルに美味しい。神。それ以外の言葉が見つからない。あれこれここがいいとか考える必要のない無敵の美味しさ。これ選んでよかったーって思える安心感のある味。
「どう?」
吉屋が味を気にかけるように顔をのぞいてきたので、私は手で口を隠しながらこくこくとうなずいた。
「そう。よかった」
吉屋が軽くほほえむと、ほっぺたの右側にだけ小さなえくぼができる。そのふにゃっとした笑顔を見た途端、どくんとお腹の奥に鈍い痛みが走って、私は両足をいじいじと擦り合わせた。
ねえ吉屋、まだ私のこと好き?
そんな莫迦みたいなこと、訊きたくても云えるわけなくて。喉元までせり上がってきた言葉を押し戻すように、口のなかのレアチーズケーキを嚥下して、お腹の奥底へ沈めた。
同窓会の日にみんなの前でいっしょにバックれてホワイトデーの日に遊びに誘って手までつないでくるとか……さすがにこんな思わせぶりなことばかりして『その気がなかった』ら、なんなんだって思うよ、ほんとに。
でもなんか、上手くいき過ぎてる気もしてて。
たまたま思いだした、一年前に告白してきた男子が、まだ私に気があるかもしれないなんて都合がよすぎる。もしかして身体目当てで、フった私をその気にさせて痛い目を見させてやろうって黒い思惑があるのかもしれないと、なにか裏があるのかもと、ついつい考えてしまった。
そんな悪い方向にばかり考えてしまうのは、逆にまだ冷静さを失っていない証拠でもあって――付き合えるならだれでもよくなりかけている自分を、無意識に踏みとどまらせているんだと思う。
カレシがほしい。
その願望を叶えたくて、これ以上ない絶好のタイミングで再会した吉屋『で』いいやと思いかけている私の本心を、マユには絶対に話せそうにない。
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