第5話 体育祭
だりぃ……、休みたい。
心の声が出てきそうな感じかするけど、言えないよね?
「早悠良~。だるくない? このメンツで体育祭とかさ~」
「え~、うん。一年の頃に帰りたい」
一年があまりにも楽しかったし……みんなが集まるたびに言うのは、当たり前の光景になっていた。
体育祭の練習は結構大事なんだよね。
一年のときは台風の目が学年種目だったけど、二年はムカデをすることになっている。その縄が頼り無さすぎて不安になる。
「中学三年間学年種目だったムカデを甘く見んじゃねぇぞ!」
縄なんてもう少し太いし、足首の固定はさらしぐるぐる巻きだったよ?
いまは細い縄に巻くのはこれまた細いヒモ……だった。
練習しているなか。一回、頭によぎったのは。
――中学時代の体育大会の映像を見せたいよ。
それは完全に足並みはあってるし、みんなが団結してたけど……。
いまは最悪な状態で、ふざけんなって感じだ。
そもそも、授業中うるさいのがクラスの頂点に立ってるのかもしれない子たちだし(主にダンス部とか、元気な子)、元気なのはいいけど……結構うるさくなるときもある。
まぁ、全員リレーは学年の第一レースのなかでも速い方だしね。
六月の始めにその体育祭がやって来たんだけど……かなり天気が怪しすぎる。
「雨、降りそうだね。さすがに競技をするか?」
スマホでスタンバってたけど、なかなかメールが来なかったので、競技場に行くことにした。
うちの学校は校庭が五十メートルを計測するのがやっとの場所で、毎年競技場を借りての体育祭を実施してる。
しかも、目の前に都立で設備が学校よりもいい高校があるし。
二年は全員リレーが一番先に競技を始めるので、それぞれのバトンを渡される場所に向かったけど、わたしの出番が来る前に雨がポツポツと降ってきたけど……大丈夫か? これ。
でも、全然競技を続行しやがった……うちらは全然雨宿りする場所がないのに、先生たちにはテントが用意されてるし……不満が募っていく。
「木の下にいてください」と、アナウンスされたけど……木の下に行くのは雷、落ちたらアウトなのに。
しまいには午後の競技を打ち切っての中止、着替えた場所(スポーツセンター)でご飯を食べて、そのまま帰宅した。
そして、とうとう予備日までが雨で競技をするのはできなくなり、あんまり経験したことのない体育祭の終わり方で終わった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます