第11話 抜けそで抜けない

 ごきげんいかがですか?


 上の住人があんまりにもうるさい、しかも夜中の十二時を過ぎています。堪忍袋の緒が切れてしまった、わたしは不動明王の化身になったつもりで「うるさーい、眠れないわー!」とあらん限りの怒号をあげました。それが相手に聞こえたか? 響いたか? は全くわかりません。しかし、常識のある大人であれば、少しはねえ……もし、上の女が、わたし同様のキチガイだったら、いくら大音声をあげたところで、『そしてわたしは途方にくれる』だけ……


 前回言った、最後の上の歯が意外としぶといのですよ。そして激しく痛みます。こうなったら、自ら抜いて、引導を渡したろうと思ったのですが、ムリでした。このやろう、グラついているくせに、抜けません。とりあえず、放置。


 暗闇でパソコンをやっていると、ディスプレーが明るいものだから、羽虫のちっちゃいのが寄せらるようにやってきます。無意識に殺生関白してしまいますが、これでわたしは地獄行きですかね? わたしの薬物まみれの血液を嫌っているのか、ここ何年も蚊に刺されません。どんなにヤブ蚊が多くても刺されないから不思議です。蚊にはいい血、悪い血、普通の血がわかるのでしょうか? 『ハイスクールララバイ』が歌えるのでしょうか? 百パーセント勘違いでしょうか? このくだりで笑える人が何人いるのでしょうか?


 秋葉原に勤めている、元妻によると、いわゆる『オタク』の皆さんの平均年齢がえらく上がっているそうです。はっきり言えば中年ですよ。なぜか、ドランクドラゴンの塚地武雅さんを想像してしまいます。

 若い日とはもう『オタク』にはならないようです。ではなにになるのか? たぶん『バカ』になるのでしょうね。上のクソ女のようにな。

 あれだけ、大音量で怒鳴ったのにまだ、ガタガタ言ってやがる。上の階に階段をドスンドスンと上がって行って、扉を拳骨でドンドンと叩いて「うるさいんだ、このたわけ者!」と怒鳴ってもいいんですよ。でも、それはやらないのです。また警察が来て、一悶着起きたらわたしの人生今度こそジ・エンドですわね〜。別にすでにある意味で『世界の終わり』はとっくに来ているのですが、拘束されて自由になにも出来ないのはイヤなので、せいぜい、下の部屋から怒鳴ってやる程度ですよ。なんて我慢強いよわたし。今だって、小さな花火大会が続いています。足音もドタバタしています。二、三回そお姿を見ましたが、おキツネさんが取り付いているようです。旦那も逃げるよなあ。ああ、これは隣のおばさんに話を聞いた上でのわたしの想像ですよ。


 なんにしても、下に人間(?)がいるってことに気がついていないってことに腹が立ちます。親の教育が悪いと思います。国の道徳教育も悪い。とにかく、いまは「うるさかったら、怒鳴る」しかないですね。あとは外であったら、睨みつけるくらいかな。討ち入りの準備はいつでもOKですけど、それは最終手段ですわねえ〜。


 とにかく、痛い歯抜けてくれ。鎮痛剤の乱用は、十二指腸に悪いわ。


 災難続きのわたしのレポートはこれまでです。スタジオの加藤茶さんにお返ししません。

 では。

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