1.暗々に燃ゆ

【これまでのあらすじ】

・ジーク・シィングは米印を中心とする国際軍事組織・PRTO派遣軍の兵士であり、アフガニスタン戦線で超重装甲機〈ヘルファイア〉を預かるパイロットである。

・反政府組織パシュトゥーニスタンの機甲部隊を狙った強襲作戦において、ジークらは謎の高性能飛行Mech〈シャングリラ〉と遭遇。手酷い損害を負わせたあげく一方的に戦闘を放棄して去った敵機に、己のアイデンティティを傷つけられたジークはリベンジを誓った。


◆   ◆   ◆   ◆


「――時間だ、始めよう。今日の報告会の目的は『マント付き』についての情報共有と、T-Mech特務小隊からの対策案の提示にある」


 キャンプ・ビッグボード本部棟の会議室で、トニー・ゴールディング基地司令は重々しく言った。


 今回はビッグボード上層部の会議ではなく、T-Mech特務小隊内での会議である。基地上層部の顔ぶれが集合していた前回の緊急会議と違い、今回の参加者は彼と幕僚、パイロットであるサンドバル兄妹とジーク・シィング、そして技術主任ロック・サイプレス――そして軍服姿ではない女性が一人、ロックとジークの間に当然のような顔で座っていた。


「そちらの女性は?」

国綱桜花博士ドクター・オーカ・クニツナ。自己紹介を」

「御機嫌よう。そちらのお二方にはお初にお目にかかりますわ」


 ゴールディングの言葉と同時に女性が立ち上がり、品のいい微笑を浮かべて一礼した。その背丈は150センチと少しと言ったところで、この部屋にいる誰よりも小柄だった。


(この女は頭がイカれてるのか?)

(……葬式帰り?)


 女性の格好を目にしたサンドバル兄妹が、ほぼ同時に同じような感想を抱く。

 20代半ばほどの妙齢に見えるが、身に纏う円熟した雰囲気は若い女性のそれではない。整った東洋系の顔つき、肩で切り揃えた黒髪に黒いコート、黒のスカートに黒手袋――会議室を葬式場か何かと間違えているのではないかと思うような服装だったが、サムエルとディナを除いた面々は特に気にすることもなく女性の存在を受け入れていた。


「国綱桜花です。アクチュエータ系とブレイン・マシン・インターフェースの研究をしております。今はPRTOの軍属技術者をやっていますわ」

「本来はビデオ通話での参加の予定だったが、私用と重なったということで参加してもらった。PRTOの主力Mech〈ヨコヅナ〉の基礎設計の担当者だ。〈ヘルファイア〉の骨格レイアウト設計とBMIの増設も彼女が指揮を取った」

「本業は機械義肢ですわ、トニー。兵器屋のように言わないでください」


 桜花と名乗った女性が眉根を寄せ、ゴールディングと旧知の知り合いのような会話を交わす。

 その首からはPRTO派遣軍の所属者が身に着ける所属証明カードが下がっており、少佐を表す階級マークとアルファベットの「C」が記されていた――Cは民間人Civilian、すなわち従軍牧師や軍と雇用契約を結んだ技術者など、指揮権を持つ軍人ではないがそれと同等の地位を与えられていることを意味する。


 恐らくは『マント付き』の不可解な反応速度と機械構造の分析に協力したのだろう――そのような見当をつけたサムエルとディナの前で、ゴールディングが話を始める。


「さて――まずはこちらから情報部の分析結果を共有しよう。クリシュナ」

「はい。被弾箇所の装甲モジュールをニューデリー支部に送って解析しましたが、敵機が使っていたのは重金属を用いた粒子ビーム兵器。ほぼ間違いなく中性粒子ビームです」


 ゴールディングの言葉にクリシュナと呼ばれた眼鏡の幕僚が頷き、卓上のプロジェクターを起動した。

 スクリーンに記録映像から抜き出した〈ヘルファイア〉に斬りかかる『マント付き』――〈シャングリラ〉の姿が大写しになる。ジークが思わずそこを凝視して右手を握りしめたが、未だ規格品の筋電義肢に置き換えられたままの右腕は、喪失した特注の機械義肢に比べて心もとない握力しか出せなかった。


「いきなり話がSFじみてきたな。中性子Neutronビームか?」

「いえ、中性Neutral粒子Particleです。負イオン化した重金属粒子をレーザー加速器で加速して、それをガス・セルか何かで電気的中性にしたものをぶつけているんです。だから地磁気で曲がらず直進する」

「核融合炉の点火装置を武器にしていたのか、奴は?」


 サムエルの疑問にクリシュナが答えると、ジークがそれに反応した。

 中性粒子ビーム自体はまるきり未知の技術でもない。核融合炉の点火装置や宇宙空間用のイオンエンジン、精密な切削作業を行う加工機械――変わった所では染料に拠らない染髪手段としても使用される。


 しかし――薄い金属材程度なら兎も角、〈ヘルファイア〉の全身を覆うのは戦車砲をも物ともしない重複合装甲。これをあっさりと溶融・分解するエネルギー量をMechが携行可能なサイズの装置が叩き出すなど、少なくともPRTO派遣軍の技術では不可能なことだった。


「荷電粒子砲の亜種というわけか。……そういったエネルギー兵器の研究自体、実用レベルではなかったと記憶しておりますが?」

「私もそう思うが、不可能だと思われていた技術を対抗勢力が開発した事例はままある。こちらの熱核ジェットもロシアは実用化できていないからな――ひとまずここで我々が憂慮すべきは、現状この兵器を防ぐ手段がまったく無いという点だ」

「要は高熱で切ってるわけですから、硬くて熱に強い物体で防ぐしかないでしょうが、セラミックをバターみたいに焼き切る熱量が相手じゃ完全な防御は不可能ですね」


 ゴールディングの言葉をロックが補足する。それを聞いたディナが何気ない調子でひょい、と手を挙げた。


「SFだとビームを電磁場で防いだりしてますけど」

「電気的に中性な粒子は磁場じゃ曲がらない。核融合炉の熱を封じるヘリカルコイルの閉じ込め磁場も素通りできるんだ。だから炉心の加熱に使う」

「中尉のげんの通りです。無論そういう方向性でのアプローチも進めていますが、今すぐとはいかないでしょう。暗中模索ですから」

「なるほど。……至近距離でやり合った人としては、どう?」

「ああ?」


 話を振られたジークが反射的にディナを睨んだ。その隣では桜花が考えの掴みづらいアルカイック・スマイルを浮かべたまま静観を保っている――専門外の事にはあまり口を出さないタイプらしかった。


「少なくとも装甲で射撃は防げた。近接攻撃も全く防げなかった訳じゃない。……奴があれ以上の出力のビームを持ってなきゃの話ですが」

「粒子ビームの形成には莫大な電力がかかる、そんなことはないと信じたいが……そういう可能性も考慮すべきだろうな。――ビーム兵器についてはこんなところか。クリシュナ、次の議題へ」


 その指示で画面が更に切り替わり、飛行する〈シャングリラ〉の拡大画像が映し出される。その手足からは赤と緑――オーロラを思わせる極彩色のプラズマ光が尾を曳いていた。


 ◇


「『マント付き』のスラスター推力については具体的な数値は出せませんが、人型に超音速飛行をさせることを考えると、こちらの高推力熱核ジェットと同等以上と見られます」

「この光は? アフターバーナーの炎には見えませんが」

「情けないことに、こちらも推測になりますが――恐らくはオーロラと同じ、イオン化した大気分子の色だろうとのことです。この辺りのメカニズムについては未だ調査中ですので、ひとまず大推力のジェットとだけ覚えていただければ」


 クリシュナがサムエルの疑問に丁寧な答えを返し、そのまま話を続けた。


「むしろ奇妙なのは全身を覆う触手状マニュピレータ――いっそマントと呼んでしまいましょう。〈ヘルファイア〉が持ち帰った実物を解析したところ、通電式装甲システムの他に航空機同様のプラズマアクチュエータも見つかりました。ただ……」

「どう動かしているのか全く見当がつかない、かしら?」


 それまで沈黙を保っていた桜花がよく通る声で発言した。機先を制された様子のクリシュナが言葉に詰まるのを見て、彼女がにぃ、と閉じた口の端を釣り上げる。


「あ……ええ、その通りです。これについては専門家からお話ししてもらった方がよさそうですね」

「はぁい。立った方が宜しい?」

「どちらでも」

「ではこのままで。――ごめんなさいね、立ちっぱなしは好きではないの」


 桜花が座ったまま顔の右側に手を当て、スクリーンに映し出された画像を一瞥してから話し始める。


わたくしはこういった風変わりなマシンは作りませんが、この人間的な動きと反応速度からしてBMIだろうとは思います。しかしエンジン内蔵の手足と触手状のマニュピレータが合わせて13本――背中のアームも合わせれば15本。これだけの同時操作は人間には無理です」

「脳を機械に繋いでも?」

「BMIは兵器を意のままに動かす魔法ではないし、人間はイカやタコではありませんわよ」


 桜花が冗談めかして首を振った。それを嘲笑われたと受け取ったサムエルが、憤りを隠すように口元だけを笑みの形に歪める。


「……しかし現に奴は動いています。可能性としては何が?」

「イカやタコを乗せるのでなければ、コンピュータに操作の大部分を受け持ってもらうことです。わたくしの領域ではありませんが、XTM-1ヘルファイアもスラスターの挙動や火器の発砲はAIで制御しています」


 そこまで言った後、桜花が「ただ」と付け足した。


「それだけでここまでの動きができるとは思えません。コンピュータの補助があっても、ここまで動かせるのは一種の天才です。もしお会いできたら研究に協力してほしいくらい」

「つまりパイロットへの依存度が高い。一機潰せば代わりは居ないと」

「嫌な言い方をすれば。少なくとも無人機の類ではないでしょう」

「あれがゾロゾロ出てこないと知れただけでありがたいな。では、どうやって奴を仕留めるかだが――サンドバル少佐」


 ゴールディングが締めくくると、次はサムエルが立ち上がった。


 ◇


「先の戦いでの失敗は、最初に奴の接近を許した点にあります。そして更なる問題として、奴の防御装備はこちらの兵装をほぼ完封できる」

「誘導兵器はレーザーの雨、誘爆しない徹甲弾はマントの高圧電流で無効化する。よくできたマシンのようだな」

「故にこんなものを考えました」


 サムエルが手元の端末からプロジェクターを操作し、尖った風防と展開式の安定翼を持つ直径80mmの棒状装置――〈ピースキーパー〉の主武装の一つである、垂直発射式の高追尾スウォーム・ミサイル――の図解が映し出される。

 ただし本来ならば成形炸薬弾を搭載する弾頭部は、金属の塊に炸薬と焼夷剤を封入しただけの簡素な構造に置き換わっていた。飛翔体には母機からの通信を受け取る受信部があるだけで、敵を探知するシーカーもついていない。


「これは?」

「スウォームを改造した運動エネルギーミサイル、〈炎の蜂ファイア・ビー〉と名付けました。外殼はタングステン鋼、信管は無遅延。刺さって減速すると慣性で爆裂します」

「追尾方式は指令照準線非一致COLOSか。誘導装置を無くしてミサイルを装甲化することでレーザーを凌ぐのだな」


 そこに込められた意図を瞬時に理解してみせたゴールディングに対して、サムエルが我が意を得たりと頷く。


「スウォームと同じランチャーを使いまわせますから、背部に増設して左右計60発。レーザー迎撃を掻い潜った先でマントに命中しても、炸裂と同時に焼夷剤が飛び散る。テルミットによる熱攻撃の有効性は証明済みです」

「当たりさえすればマントが壊れる。空中機動の要となるマントに穴が空けば機動性は削がれる。そうなれば――」

「〈PK〉の弾幕が奴を粉砕します。いくら速かろうと直線なら捉えられましょう」


 熟練したセールスマンのような口ぶりでサムエルが言うと、ゴールディングは右手で顎を撫でながら思案顔で小さく頷いた。


「ふむ、理には適っている……が」

「指令誘導では結局敵機のキルゾーンに本体を置くことになります。超音速で飛べる相手からすれば数キロメートルくらい物の距離じゃないでしょう。危険では?」


 ゴールディングの言葉を引き継ぐように、クリシュナが指摘を飛ばした。


 現代戦におけるミサイルとはすなわち誘導性能を持つロケット弾を指す言葉だが、その誘導方式は多岐にわたる。標的が出す赤外線などを追う光波ホーミング誘導、ミサイル自体に小型レーダーを搭載する電波ホーミング誘導――今回サムエルが選んだのはより技術的に簡単な指令誘導と呼ばれる方式である。

 この方式においては、発射母機――この場合は〈ピースキーパー〉が目的を照準しながら、飛行中のミサイルを標的に向かうように制御する。指令誘導は弾体からセンサーやレーダーを省ける利点がある一方で、母機が姿を見せて照準し続けないと誘導が行われないという弱点をもつ。


 故にこそのクリシュナの疑問だったが――サムエルはそれも予想済といった様子で、口元の笑みを絶やさないままスクリーンに次の資料を出す。映し出されたのは頑強なシルエットを持つ三つ目の怪物、〈ヘルファイア〉の胴体構造の図面だった。


「危険ですので、狙うのは〈ヘルファイア〉にやってもらいます。内部機器を整理して〈PK〉の火器管制装置FCSと照準器、データリンクも増設。これはディーの提案です」

「……〈ヘルファイア〉が照準した敵を安全圏から〈PK〉が撃つシステムを作ります。FCSがよくなれば〈ヘルファイア〉自体の射撃戦も可能になる」

「ハードウェアレベルで連携するということですね。なるほど」


 ディナが兄の説明を補足する。向かい側のジークが自分の乗機を我が物のように語られることに眉をひそめたが――FCSの改良は自分にとっても有用であることに違いはないので、敢えて沈黙を守っていた。


「試作許可を出そう。君からは以上か?」

「はい、以上であります。残りはサイプレス技術主任に」

「了解です」


 合図されたカナダ人の中年技術主任がのっそりと立ち上がり、プロジェクターの操作端末を受け取った。


 ◇


「――といっても〈ヘルファイア〉は出力も剛性も余裕がありますし、火器管制装置と装備が揃えば十分戦えます。そのための予算もいただけましたし」

「では〈PK〉同様の重火力機体に?」

「しない。奴と渡り合うのは必要なのは威力じゃない、手数と取り回しだ」


 ジークがつっけんどんにクリシュナの言葉を否定した。ムッとした顔になった彼に愛想笑いを浮かべつつ、ロックが話を続ける。


「本人もこの調子ですし、機体の性格は維持しつつ武装を底上げします。〈ピースキーパー〉側の連中から回してもらった射撃兵装の腕部搭載。バトルアクスも対装甲攻撃用に再設計して、刃をチェーンソーから振動ブレードに換装」

「ヨコヅナ・ニンジャソードの拡大版か」

「ヨコ……何です?」

「半年くらい前に配備された〈ヨコヅナ〉の武器ですよ。振動素子を仕込んだ超硬セラミックの刃に電圧をかけて、振動とアーク放電の熱で焼き切るんです。〈ヘル〉に合うサイズのが無かったんでずっと見送ってましたけど、思い切って新造しようかと」

「あ、そう…………」


 突如出てきた奇っ怪な単語に思わず口を挟んだ桜花に対して、ロックが何気ない調子で超えた。形容しがたい表情で右頬を撫でる彼女を横目に「オーカ先生は武装や装甲はノータッチでしたね」と軽く流し、スクリーンに略図を映し出して説明を続ける。


「増加装備を積むために腕の防弾鋼スチールカバーは換装します。防御力の持ち・・は落ちますが下の複合装甲はそのままだし、トータルだと前よりむしろ軽くなる算段です。先生はどう見ます?」

「被せている物が変わるだけですから、内部の筋骨構造さえ弄らなければ駆動上の問題はありませんわ」


 桜花が図を注視しながら言った。


「またジークの要望を聞きつつ細々した改修もしますが、部品の新規発注が必要なのは今言った分だけです。またリストに纏めて提出します」

「工数は?」

「部品のプリンティングを優先的にやってくれるようにプリンター管理班の奴らに伝えてもらえれば、二週間でできます」

「折衝してみよう。――ジーク、お前からは何もないのか?」


 そうゴールディングに話を振られ、ジークがほんの数秒考える素振りを見せてから口を開く。


「マント付きと直接の関係はないが、〈ヘルファイア〉の肩を砕いた砲撃の主。ここまで一度も話題にすら出ていない」

「姿すら確認できなかったのだから、この場で話せるほど分析できるがわけないでしょう」

「あのタイミングで精密狙撃をやれる距離にいて、発見できなかったこと自体がおかしいんだ」


 ジークがふん、と鼻を鳴らしてクリシュナの抗議に言い返した。


「どういうカラクリかはもう一度やり合って見なけりゃ解らないが、ともかく『マント付き』と戦う以上は奴の存在を無視できない。またあと一歩のところで闇討ちを食らうのは御免だ……俺からは以上です」

「お前は喧嘩腰以外で話ができんのか」


 呆れ果てた表情でそうジークに言い放った後、基地司令が「他に発言は?」と尋ねて猛禽のような瞳で部屋を見回す。既に全員が自分の言うべきことは言ったという様子であり、手を挙げる者は誰もいない。


「よろしい、今日はここまで。もうじき忙しくなるぞ、今のうちに休暇を取っておけ」


 最後にそう宣言し、ゴールディングがクリシュナを連れて会議室を退出した。睨みを利かせていた存在がいなくなったことで、心なしか部屋の中の空気が弛緩する――その中でジーク一人だけが、むしろ緊張感を強めたように佇んでいた。


「ではまた後で……どうしたの?」

「何も。よろしくお願いします」

 

 自分に声をかけて去っていった桜花を見送った後、ジークは上手く動かない右の義手を顎に当てて考え込んだ。


(ゴールディングは何もないのに『忙しくなる』なんて言ったりしない――近いうちにこっちから攻勢をかけるつもりか)


 パシュトゥーニスタンはロシアから機甲部隊のみならず『マント付き』のような高性能機の増援まで受け取っている。どれほどの戦力増強がなされているか知らないまま放置していれば、いずれ大被害を受ける危険がある――数では敵の5分の1でしかないPRTO派遣軍の優位を保っているのは、ひとえに補給力と技術力の差なのだから。


 故にこちらから打って出て威力偵察をしようというなら、それは納得のいく考えだった。攻撃して相手の戦力の増え方とその傾向を測れば対策も立てられる。要所で大規模な戦闘が発生したともなれば、パシュトゥーニスタンとて形振り構わず手札を切って来るだろう。


(そうなればマント付きも、もう一機のアンノウンも姿を現す)


 その時こそ、先の戦いでの屈辱を晴らす時だ――薄いプラスチックカバーで覆われた代用品の筋電義肢を撫で、ジークは静かに闘志を滾らせた。

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