第2話 謎の引力に引っ張られていった

月を見て綺麗と言う君は月よりも美しい。そんな月に恋をした。

仕掛けた罠にかかった月の声は震えていた。そして全てを悟る。


そんな月の姿さえ美しいと思ってしまう醜い自分。


全てを照らす月の光を闇から抜け出させ、この焦がれる想いだけを罠に残した。



私には好きな人がいる。容姿淡麗で頭も良い。

まさに憧れの先輩。私はそんな先輩を見ているだけで良かった。しかし欲望はどんどん深くなるもので、次第に自分だけの物にしたいという気持ちが強くなった。


ふとしたきっかけで先輩と話したり一緒に帰る仲になった。

[蘭世]なんて名前を呼ばれることが幸せでならなかった。


しばらくして先輩の隣には私の知らない他の誰かが居た。

なんで、なんで私じゃないの。あなたのために私なんでもしたのに、今までの時間はなんだったの?


私の中で音を立てて何かが壊れた。


今、私の目の前には先輩がいる。

これで先輩は私だけの物。

私だけの永遠で特別な存在。


[いつまでも愛してます。松村さん]


艶やかなその唇に深く優しい口づけをして、深く優しい方へと倒れ込んだ。

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