第3話 世界中で盆踊り

①一言で、不安を煽り怖くなる言葉。


「俺、足だして寝られないんだよね」



あれは私が専門学校に通っていたときの話です。


学校の近くのカラオケに行ったとき、明らかな雰囲気の違いを感じました…。


「ここ、なんか変…気持ち悪いな」


そう思いながら、クラスの友達8人と部屋に入りました。


皆、順次歌を歌い、盛り上がるものの皆異変に気づいていた。

明らかにカラオケの音の他に音声が入り込んでいる。女の泣き声の様だ。

マイクから拾っている音の様だが間違いなく普通の音声では無い。

この世のものとは思えない。


僕は不安そうに部屋の隅の椅子にちょこんと座り存在感を消している祐希を見つめながらカラオケの音量に負けないように声をかけた


「祐希、大丈夫ー??」

「う、うん…なんかここ怖くない?」

「なんか変だよね。出る?」

「大丈夫…」


その後もなんとも言えない空気の中カラオケは終わり、部屋を出た。

受け付けに戻り料金の支払いをしようとしたとき店員から声をかけられる。


「あの、部屋にまだお連れ様がいらっしゃいますが。」


そう言われ監視カメラを見ると、明らかに僕らとは違う、髪を振り乱し、所々歯が抜け落ちた口元を開けて目を見開き笑う顔が監視カメラの目の前に立ち、アップで見つめていた。


キャー!!


悲鳴をあげる女子達をなだめ、お互い身体を支え合う女子の中で一人震える祐希を抱き抱えた。

「大丈夫だから!祐希!俺が付いてるから?」

「うん…ありがとう。。ずっと一緒にいてくれる?」

「うん!もちろん。離さないよ」

「絶対…??」

「もちろん。」そう言って祐希を見ると。

「良かった…」

そう呟いて微笑んだ。


皆でカラオケを出て、外に出る。

さっきのはなんだったのか皆真っ青な表情で顔を見合わせる。


「さっきのなんだったんだ…」

顔を見合わせていると遠くから女子と歩いてくる祐希が来た。

「え?祐希?先に出てたの?」

「え?どうしたの?皆でカラオケ?楽しそうだね!」

「いや、さっきまで一緒にいたじゃん?」

「なにいってんの?私ずっと学校にいたよ?今帰り道」


「え!?だって、さっき、祐希…」


その時耳元で

「ずっと一緒にいてね…」


その声はあのカラオケのスピーカーから聞こえる声と同じだった…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る