第7話 文豪について面白い漫画

 文豪と、呼ばれる者たちの性格・人格を知るには、有名所では、【文豪ストレイドッグス】がいいだろう。

 アレは、文豪の性格がよく書けている。もしも、出会っていない文豪が出会っていたら……というのが、よく描かれている。

【文豪とアルケミスト】も良い。作者同士の絡みが、作品の通りに描かれている。


 ただ、どちらも冒険活劇的な要素があるから、私は少し苦手だ。

 そんな私だが、気に入った人物に布教している本がある。


【文豪失格】という作品だ。

 これに比べ、先に挙げた2つは、角川、DMM……と王手が出版しているから、知っている方がそれなりにいるだろうが、【文豪失格】……これを知っている方は少ない気がする。

 漫画の所々に、文豪たちの小説の抜粋があるから、各々の雰囲気を味わうにはいいだろう。

 ただ……抜粋であり、漫画であるから、少し注意が必要だと思っている。


 例えば、江戸川乱歩と坂口安吾の仲が悪い様な描かれ方をしているのだが、その元ネタの『坂口安吾の思い出』には、それほど仲が悪いというのではなく、寧ろ、安吾は、江戸川乱歩という先人に恐縮している様な描写がある。

 実際、安吾は、20代での恋人:矢田津世子に対して、恐ろしいほど丁寧な手紙を書いている。どうでもいい女性は、適当に口説いて、同衾するようなことをしながら、真剣になると、まるで手を出さず。

 寧ろ、『他を信頼することは、自己を捨てること』――などと、自分を信じるな。とも読めるラブレターを送っている。

 つまるところ、情が浅ければぞんざいだが、情が深く好めば、この上なく丁寧に、逆に拒絶して見えるほどに手を出さなくなる。というところだろうか……。


 これらから考えると、概ねの傾向を掴むに、漫画から入るのは、良いのかもしれないが、気になるのならば、元ネタをきちんと読んだほうがいいということだろう。

 これは、歴史でも、科学でも、同じことが言えると思っている。


 それでも、太宰治が芥川べったりとか、川端康成に芥川賞を懇願する。それに加えて、”神様”と称される志賀直哉に噛み付く、といった、自殺で幕を閉じた印象から離れた実像を描かれていたり、その描かれ方が笑える。

 また、各話の末尾に文豪それぞれの紹介が描かれていたりと、参考に出来るものがとても多い作品である。

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