第6話

あれから随分とたった。


頻繁に使うと思っていた、虹色の切符は使っていない。

機会というか、タイミングが、わからなかった。


そして、歳を重ねた。


いつしか、恋をし結婚をし、子供ができた。

その子も独立をし、孫もできた。


遠くに住んでいて、今は妻と2人暮らし。

話をする会話は、最近の事ばかりだ。


出会った頃から、互いの過去には触れないようにしている。

そう、出会う以前の過去には・・・


「おじいさん、面白い話、ありませんか?」

「面白い話?」

「昔の事でも、いいですよ」


妻がそういう。


僕は、虹色の切符の話をした。

まあ、多少フェイクを入れたが・・・


「それ、今ありますか?おじいさん」

「ああ」


僕は金庫に入れておいた、切符を持ってきた。

僕自身、見るのは久しぶり。


でも、色褪せていない。


まだ、赤しか使っていないはず。

でも、最後の紫を残し消えていた。


「おじいさん、いや、・・・くん、最後のひとつ・・・

一緒に使おう」

「そうだな」


かつて、お姉さんだった人は、今は妻となる。

かなりの姉さん女房だが、幸せだった。


馴れ初め?


それは、個人情報なので・・・


「じゃあ、行こうか。・・・くん。最後の列車へ」

「そうだな」


最後の列車へと乗る。


終着駅が、少しでも先にありますように・・・

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

虹の切符 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る