第5話 始まりの赤03

赤の駅に下りた。

そして、やみくもに歩く。


「なんだ?ここは・・・初めて来る。でも、懐かしい・・・」


コンビニがあり、中に入った。

そして、スポーツ紙が眼にはいる。


「オリックスと近鉄が合併」


僕は、驚いた。


オリックスと近鉄が合併したのは、2004年。

すると、ここは2004年の世界?

僕が生まれた年だ。


まさかと思い、産婦人科に向かった。

僕が生まれたのは、この近くの産婦人科の気がする。


確か、「ひなの産病院」

探してみると、すぐに見つかった。


中に入り、両親のいる部屋を探す。

怪しまれるので、受付では訊かない。


でも、親子の関係か、すぐに見つかった。

病室の入り口のところに、名前が書かれている。


中を覗いて驚いた。


父さん、母さん、

2人とも若い。

そして、痩せている。


抱いているのは、おそらく僕だろう・・・


両親は僕に、優しい目を向けている。

言葉は聞えてこない。

でも、とても期待に満ちた目だ・・・


「そっか、僕は・・・」

僕は、そっと後にした。


「どうだった?」

「お姉さん?」

あのお姉さんが、笑顔を向けていた。


「君は、期待されて生まれてきたの?

この赤の駅は、君に初心に帰ってもらうための駅」

「うん」

「今でも、君の両親は、君に期待しているよ」

「本当?」

不満気な僕に、お姉さんは頷いた。


「じゃあ、今日は帰ろうか」

「また会える?」

お姉さんは、頷く。


「もちろん。ご乗車お待ちしています」

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