第4話 始まりの赤02

≪間もなく発車いたします≫


「あっ、動き出した」

列車は走る。

夜の街を・・・


でも、この車両だったとはな・・・


「その時によって違いますが、今回行くのは、この列車です」

後ろから、声がした。

振り返ると、そこには、懐かしい人がいた。


「やあ、元気にしてた?久しぶりだね」

「おねえ・・さん?」

「あっ、覚えていてくれたんだ。ありがとう」

「忘れられないです。あの時は・・・」

「そこから先はいいよ。でも、もっと早く使ってほしかったな」

何度も使おうと思ったが、ためらっていた。


「お姉さんは、変わりませんね」

「私はね・・・君は大きくなったね」

「もう、高校生です」

「私からしたら、あの時と変わらないけどね」

あの時と変わらず、優しい笑みを向けてくれる。


「ところで、この列車はどこへ向かってるんですか?」

「今から行くのは、赤の駅」

「赤の駅?聞いたことあるような・・・」

「そうじゃなくてね。赤は始まりを表す色」

「始まり?」

「まあ。行けばわかるよ・・・あっ、もうそろそろ着くね」


≪間もなく、赤の駅に到着いたします≫


「あっ、着くね。じゃあ、楽しんでね」

「あのう・・・」

「何?」

「また、会えますか?」

お姉さんは、微笑んだ。


「もちろん!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る