第2話 眠る

 例のテーマパークは噂通りの大混雑で、暑さと疲労だけしか覚えていない。



 母を騙したこと。

 私を信じた母を裏切った。

 お金まで貰って。

 母から渡された一万円は使えなかった。

 こんなことするんじゃなかった。

 何やってんだ私。



 罪悪感が重くのし掛かり、全く楽しめなかった。

 彼とケンカもした。



 だけど一つ、大切な瞬間があった。

 彼と一緒に迎えた朝。

 私達は経験済だったけど、一緒に朝を迎えるのは初めてだった。




 こんなに満たされた朝は初めてだった。




 大好きな人と眠るって、こんなに安らげるんだ。

 幼い頃から眠る時はずっと一人だった。

 こんなに深く、安心しきって眠ることが無かったことに気がついた。

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