足軽の生活
織田家には、常駐の足軽軍団がいましたが、彼らの収入は、どれくらいだったでしょうか?
現在に換算すると、大体20万程度だそうです。
おお!と思った皆様。
年収です。
年収〜
米、味噌、塩、薪などは城から配給されます。
もちろん足軽長屋の家賃は有りません。
現存する足軽長屋は、江戸の町屋の長屋に比べるとえらく広々としています。
ネットでも確認できますので、興味のある方はググってくださいね。
主君の本城の城下町の武家屋敷部門の一番外に彼らの長屋は建っています。
新発田の足軽長屋は、茅葺屋根で一棟に八住居。内壁は土壁。外壁は板。
まず、小さいながらも式台のある玄関がついています。
狭いながらも「武家屋敷」の格式を持ってますね。
入るとズドンと細長い板間が広がり、向こうの土間には「台所」が設置されています。台所にはカマドや水を貯めておく大きなカメ、流しが設置されています。
板間の奥の土間寄りには「囲炉裏」が切っています。
さて入口の横、板間と反対側には六畳二間、あるいは八畳と四畳の部屋がついています。広いですね。
戦国期では彼らの家には、まだ畳はありませんけどね。
その向こうには広縁があり、厠があります。
足軽長屋の裏手には庭があり、そこには畑が作られていました。
そして食べられる実を付ける、栗、柿などの木が植えられ、垣根も勿論食べられるグミなどの低木を植えて、甘蔓などを這わせます。
そしてその中から、普段の二食の食事と、戦に持っていく食料を暇なときに作っていました。
焼き米、炊いた米を乾かして味噌、蜂蜜、あるいは甘葛から採った甘い汁を混ぜて練った団子。この団子はそれぞれの家中で秘伝があったそうです。
大根、芋も干します。
芋の蔓は味噌と煮込んだ物を干して、ロープにして、様々なものを結ぶのに使いますし、切って、茹でて食べられますし、戦さ場ではとても便利だったようです。
唐辛子も寒さよけで重要な物でした。
関ヶ原前後くらいからは、極寒の季節は磨り潰したものを、全身に塗りたくります。
傷があったら、大変そうですね。
あ、山菜は塩漬けにします。
食べる時には煮た後、一晩水につけて塩抜きしていたと奈良時代の文献に残っていますが、この頃も大差なさそうです。
さて、足軽は夜明けとともに起きて、ご飯を食べます。
江戸時代の長屋では、「火起こし当番」があったそうです。
もしかしたら、足軽長屋でもあったかもしれませんね。
さて、ご飯を食べて、食器を片付けます。
それから、近くの上級武士たちの城屋敷や、領地内にある家臣たちの根城、砦などまで行進し、模擬戦をしたりしていたようです。
こうした場で、技量を見せることで、上司や殿の目に触れて出世できるので、野心のある足軽たちは頑張ったでしょうね。
また、各専門の組に分かれて、技を磨くことも重要な仕事です。
足軽槍衆は、最も重要な組です。
足軽の槍術というのは、二人一組になって槍の穂先を合わせて、振り上げ振り下ろすというものでした。
織田家の三間半槍という長槍は、五から六メートルくらいの長さですから、これを延々振り続けるのは大変だったでしょうね。
ブウウウン、ブウウウウウンと長い柄をしならせながら、前進する足軽隊、怖そうです。
延々と広がる濃尾平野の向こうから、青い空を背に長い槍に旗印をおっ立てて迫る織田軍団というのは、迫力あります。
14時頃には訓練も終わり、本日最後のご飯を16時から17時ごろにはたべて、あとはその畑作りや兵糧作り、近くの大農家や商家へ稼ぎなどしていたともあります。
大体18時頃が閉門で、城下の門が閉まりますのでそれまでに帰ってこなければなりません。
そのあとは、城内で同胞の所で自作の酒を飲んだり、藁で草履も手作りしておかねばいけません。
そして、暗くなれば寝ます。
布団はまだありませんけどね。
戦闘中は丸太を枕に、外で甲冑のままごろ寝を強いられる彼らは、なかなか出来る子だったので、床にごろ寝でもOKだったのでしょう。
あ。筵は敷いています。
筵は戦場にも丸めて背負って持っていきます。
なかなかですね。
また、普段の殿のお出かけにも付き添います。
数にも入っていませんけどね。
どこかで書きましたが、暁降ち、桶狭間に向けて清須城を走り出たのは、五人の小姓だけではなく、三百人の足軽たちがいたことを忘れないであげてください。
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