第10話

ジャスラックがうるさいので、歌詞は全部は書けない。


でも、その曲は俺が長年愛してやまない曲だ。

心の中で、こころして聴くようにと、告げる。


イントロが流れたとたんに、静まり返った。

まあ、予想はしていたが、カラオケでは好きな曲を唄えばいい。


そして俺は唄った。

「手のひらを太陽に」


今の、そしてこれからの俺への、応援歌。

生きているからこそ、悲しくて楽しい。


勇気を与えてくれる曲だ。

俺は高らかに唄った。


唄っている間に、脳裏をアン○ンマンが飛んでいたのは、

気のせいではあるまい。


周りの眼がこっちに集中するが、気にしない。

妹よ、俺に唄わせたお前が悪いのだ。


こうして、唄い終わった。

マイクをおく。


しらけられると、思っていたのだが・・・


パチパチパチ


な・・・なんだ?なんだ?


「お兄ちゃん、凄い」

「とても、上手です。感動しました」


嫌味か?皮肉か?


「じゃあ、アン○ンマンのマーチも唄って下さい」

勝手に入力される。


イントロが流れる。

妹は、眼でがんばってと、合図を送る。


仕方なく唄った。


唄い終わると、先程と同じように、拍手がおこる。

そんな大げさな・・・


「感動しました」

そこへ、ひとりの女の子が入ってきた。

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