第25話
「それでは、予定通り自己紹介をする」
「・・・」
「返事は!」
「はい!」
桜田先生は、話し始めると急に静かになったのに怒った。
そして、弥彦と祐也はコソコソと話しをしていた。
「それでは、相原から順番に自己紹介しろー」
そして、自己紹介が始まったのを見た弥彦は「めんどいなー」と心の中で思った。
着々と自己紹介が終わっていき舞花まで来た。
「皆さんこんにちは!、柳田舞花でーす、スポーツモデルをしています!、バスケが得意でーす!、一年間よろしく!」
そして、スポーツ系の男子生徒は鼻の下を伸ばしながら拍手をした。
「どうも皆さん、柳田美夕です、モデルです、得意なことは勉強です、よろしくお願いします」
そして、美夕が自己紹介を終えるといかにも勉強が出来そうな男子生徒はニヤつきながら拍手をした。
こうして、美夕派か舞花派に男子生徒は別れた。
弥彦は、それを見て「こうなったかー」と男子生徒達に冷たい眼差しを送った。
「次!」
「はい、元山祐也です、得意なことはサッカーです、よろしくお願いします!」
祐也は、サラッと自己紹介を済ませると弥彦の方を見てニヤッと笑った。
そして、弥彦の前の祐也の自己紹介も終わり弥彦の番になった。
「どうも、山本弥彦です・・・」
弥彦が自己紹介をしようとすると、男子生徒から強い目線が飛んできた。
それを見た弥彦は、「俺なんかした?」と思い祐也の方を見ると祐也は口に手を抑えていた。
「えっーと、もう一度いいます、山本弥彦です、得意なことはパソコンをいじることです、以上です・・・」
弥彦が自己紹介をすると、美夕と舞花と祐也と周りの女子生徒達が拍手をした。
そして、弥彦は祐也に「俺って嫌われてるの?」と聞くと祐也は「いや、敵対視」と言った。
それを聞いた弥彦は、「はぁ?」となにがなんなのかわからない表情をしていた。
そして、最後の人の自己紹介も終わり一時間目の授業の終わりのチャイムがなった。
「よし、終わったー」
弥彦は、授業が終わり手を天井の方向へとあげた。
「やっひー!」
「なに、舞花?」
「次は外だから行こう!」
「まあ、行くか」
そして、弥彦は舞花に連れて行かれて外へと向かった。
「なんだっけ、競技?」
「えっーと、50メートル走とハンドボール投げと立ち幅跳びだよ」
「あー、そうだったね」
「よーし、計測するから男子は50メートル走で女子は立ち幅跳びだ」
体育担当の先生が指示すると、男子と女子は計測場所へとわかれて向かった。
そして、弥彦は50メートル走の人を二人一組で走るみたいだったので祐也のもとへと向かった。
「祐也、走ろ」
「いいよ、でも俺は速いぞー」
「俺も運動には自信がありますよーん」
「そうか、なら最後に走ろうか」
そして、なんとか弥彦はペアが見つかりホッとした。
その頃、女子の立ち幅跳びでは舞花が一位で美夕が三位という結果を出していた。
「やったー、一位だ!」
「また舞花に負けた・・・」
美夕は、立ち幅跳びで舞花に負けて落ち込んでいた。
そして、女子生徒達が男子の50メートル走の場所に来た。
「あっ、やっくん」
「やっひー!」
「おう」
美夕と舞花が、弥彦に手を振ると周りの男子生徒は弥彦に怒りの眼差しを送りつけた。
そして、男子生徒達は女子達にいい所をみせようと頑張って走っていた。
「位置について、よーいドン!」
男子生徒達は、着々と50メートル走の計測が終わって行った。
「いま、一位は島田君だね」
「ふーん、あの人か」
「うん、同じ中学だったから知ってるんだよ、たしかバスケ部にいたね」
「へぇー」
弥彦は、クラスメイトに興味がなく祐也につね日頃教わってばかりだと思った。
そして、50メートルでいまのところ一位をとっている島田は舞花と美夕の方向を見てニヤッとしていた。
「やっくん、いま一位のタイムは?」
「あー、島田とかいう生徒の6.8秒だよ」
「へぇー、速いね」
「そうだねー」
弥彦は、決して運動の出来ない引きこもりでは無かったので祐也に50メートル走で勝とうと準備運動を始めた。
「あと一組で走るよ、弥彦」
「あぁ、わかった」
弥彦と祐也は、順番に並んで軽くストレッチをした。
そして、弥彦と祐也の前の組の計測が終わると弥彦と祐也は位置についた。
「勝負だ、弥彦」
「望むところだ、祐也」
「位置について、よーいドン!」
そして、弥彦と祐也は一緒のタイミングで走りだした。
「うわ、速ぇー」
そして、弥彦と祐也は同時のタイミングでゴールした。
「えっーと、二人とも6.6秒」
「すげぇー」
弥彦と祐也は、少し疲れた表情をして肩を組んで戻って行った。
「やっくん、速いね」
「やっひーは、相変わらず速いねー」
「まあね」
「それじゃあ、次のハンドボール投げに行くか祐也!」
「今度は、勝つよ弥彦!」
そして、弥彦と祐也は仲良くハンドボール投げの場所まで向かった。
それを見ていた島田は、「引きこもりのくせに」と弥彦を妬んでいた。
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