最終話

「もし、君が本当に心の底から生きたいと願うなら一つだけ助かる方法を教えてあげるよ。それはぼくを殺してほしい。君の今まで感じた恐怖や怒りを全てぶつける形で殺してほしい。どうかな?


やってくれるのかい?それはありがたい。どうしてもぼくは自殺が出来なかったから助かるよ。もしかしたら、ぼくは本当は死ぬのが怖い、ただの強がってるだけのチキン野郎なのかもしれないね。ただ一つだけ忠告しておくよ。殺すことより大変なのは死体の処理だから。うまく処理できないと捕まっちゃうかもだから気をつけてね。


最後に言うことはあるかって?そうだな。リスクを犯してまで、ぼくを助けてくれる君にありがとうってくらいかな。お礼にあの世がどんな場所かを絶対に伝えに来てあげる。楽しみにして」


言葉の途中で、どうやらぼくは殺されてしまったらしい。あぁ、どうやらぼくは彼の心の中に、彼が死ぬまでずっと思い出として生き続けてしまうんだろうな。まぁ、それは仕方ないことと諦めるしかないかな。


しかし不思議だな。人は死ぬと寝ることは無いんだ。ぼくはいつも殺すとかに『おやすみ』と言っていたけど全くの嘘だったのか。死ぬ直前に嘘付いてしまってゴメンよ。


死んだら退屈じゃなくなるかと思ったけど眠ることが出来ないなら生きてる方が良かったかもしれないな。まぁ、時間はたっぷりあるから、この状態で死ぬための方法でも探すかな。それとも、ぼくがこれまで殺した人たちを探して同窓会みたいな事も楽しいかもしれないな。そう思うと死ぬ事も悪くないかもしれない。


とりあえず現世の人たち向けにメッセージを送ろう。

『あの世はとても良い場所です。皆さんのお早い到着をお待ちしてます』

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虫の知らせ 乃木希生 @munetsu

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