第43話 似合っている。

俺と小さい柚葉、由奈さんの三人は、由奈さんの娘の柚葉の学園祭に来ました。

正門にはでかでかと、花飾りなどで飾られたアーケードが立て掛けてあります。

それをくぐると、直ぐに生徒達による、出店が立ち並びます。


まあ、焼きそばやたこ焼きなどの食べ物屋は業者を呼んだみたいで、それらしい人が調理してます。で、売り子は学生がしてる、と言う流れみたいです。


で、小さい柚葉は、やはりと言うか、あれも食べたい、これも食べたいとリクエストしてきますよ。

で、で、大きい柚葉のクラスに行くまでに、両手に屋台の食べ物が入ったビニール袋が二人分持ってましたよ。俺が。

けどですねー、そんな事よりも驚いたのは



「本当に昔のままなのね」



なんて由奈さんが懐かしそうに言ってきた事。

なんでもこの高校は、由奈さんの母校なんですよ。つまりは翔先輩や明菜さんの母校でもあるんです。俺は別の高校でしたけどね。

で、俺が



「それじゃ、ここの図書館に行けば、由奈さんの載っている、卒業アルバムがあるんですよね。と言う事は、由奈さんの高校時代の姿が拝めると」



俺が図書館にレッツゴー!と言って歩き出そうとすると、由奈さんが俺の腕を掴んで



「フミ君、それは後で、ね」

「えっ?俺、昔の由奈さんの写真みたいですよ〜。翔先輩からきいてますよ、由奈さんかなり美少女だったとか」

「うー///それでも‥やっぱりダメ///」

「えー、みたいですよー」

「///恥ずかしいからダメ!///」

「えー、みたいですー」

「///ダメったらダメ!///」

「なんでですかー?」

「///うーーー///」



由奈さん、何故か恥ずかしそうに拒絶しますから、俺と小さい柚葉は互いを見て「?」な顔をすると、由奈さん、小声で



「///今の私と違うから///」



なんて言ってきましたが、俺は



「そうですか?俺、今の由奈さんはかなりの美人と思いますがね」

「///うー///」



由奈さん、恥ずかしさの余り黙っちゃいましたよ。

で、柚葉が俺の腕を掴んで、クイクイと引っ張るとですね、



「お兄ちゃん!」

「うん?」

「女心わかってない!」

「えっ?俺、なんか悪い事言ったか?」

「もー!やっぱりわかってない!」



結局、俺散々柚葉に「わかってない!」を言われ続けましたよ。

で、小さい柚葉、少し機嫌が悪くなったのか、顔を少しプクッと膨らましました。

仕方ないので、大きい柚葉のクラスに行く前に小さい柚葉が行きたがっていた、あのコスプレが着れる催しがあるクラスに行く事に。



「ここがそうか‥‥‥て!これってアニメのしかも幼児物アニメ!」



ですよ。俺てっきり異世界物のアニメの衣装とか後、普通の民族衣装かと思ったら、ほぼ幼児物アニメの。



「こ、これはほぼ趣味だろう!」



そんな俺とは対照的な柚葉。

で、柚葉はある一点の衣装の前に止まる。



「あのう、これ私に会うのはありますか?」



で、そこに居たこの催しの女子高生さんが、ニコリとして、



「あら、可愛い♡。あなたに会うのあるわよ」

「えっ!本当ですか?」

「うん。こちらにどうぞ」



で、柚葉、その女子高生に連れられていきましたよ。

待っている間、俺は柚葉の選んだ衣装はこれかなって思っていました。

セー○ームー○の衣装だと。



「フミ君、女心、本当にわかってないわよねー」

「えっ?柚葉の選んだ衣装、違うんです?」

「本当、フミ君は!わからないかなあー」

「?」



実際、俺、由奈さんに言われても分からなかったですよ。

で、よ〜く、柚葉が立ち止まって見ていたところを見ていたら、セー○ームー○ンの衣装の後に隠れて見えた衣装が目に入ったんですよ。



「まさか?これか?」



俺が腕を組んで考えていると、



「お兄ちゃん♡」



俺の後ろから、柚葉の声がしました。けどですね、その声が何故かよそよそしいと言うか、大人しいと言うか、なぜかいつもの元気ある柚葉の声ではなかったんです。

で、俺が振り向くと、



「えっ!マジ!‥‥‥本当に柚葉か?」

「あら♡柚葉ちゃん。似合っているわよ」

「///うん‥‥‥お兄ちゃん♡私、似合っている?///」

「えっ!///あーーー///」

「ねえー♡///」

「に、似合ってます///」



柚葉が大人しく恥ずかしそうに着た衣装とは




ーーーウェデングドレスーーー



です。

純白で、フリルが至る所に着いたウェデングドレス。頭には大きな白いリボンヘッドを取り付けてますよ。スカートは歩きやすく、汚れないように、床に少し離れたぐらいの長さ。

しかも、しかも、しかもですねー、柚葉のウェデングドレス姿、かな〜り、似合っていますよ。本当に小学六年生て思うぐらいに。


で、この場にいた、お客さんや学生達は、柚葉の姿に見惚れてますよ。



「可愛い♡綺麗」

「似合ってるわ♡」

「誰だよ!この綺麗な子は!」



で、皆さん柚葉のウェデングドレス姿の写真をパシャパシャと撮ってますよ。

で、その中の一人が



「ねえ、君、好きな人はいるの?」



なんて聞いてきたから、柚葉は恥ずかしそうに俺に指を指して



「///この人です///私の未来の旦那様♡///」



いっせいに俺の方をみなさん向くと、驚きの表情をして、「えー!」なんて叫びます。

で、柚葉、この衣装借りれるか聞いたら、学内は大丈夫だと。

で、俺、ウェデングドレス姿の柚葉に腕を組まれ、大きい柚葉のクラスまで歩いていきましたよ。

いや〜、皆さん、特に男子生徒からは羨ましそうな顔で見られましたよ。


で、この柚葉の姿が「ウェデングドレスの妖精」と呼ばれましたよ。

そして、俺は‥‥‥


「学内をかっ歩するロリコン野郎」


です(涙目)。










  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る