第29話 助手席の由奈

え〜っと、只今俺はショッピングモールから家に帰る途中です。

しかも車を運転し、助手席には由奈が座っています(焦)外を見ながら。



「あ、あの〜、由奈さん?(焦っ)」

「‥‥‥」

「えっと‥‥‥その〜(焦っ)」

「‥‥‥」

「ゆ、由奈さん?(焦っ)」

「‥‥‥プッ!」

「へえ?プッ?」



車が信号待ちで停車すると、由奈は外を見ながら急に吹いた様に笑い出す。



「プッ、あははは!」

「由奈‥さん?」

「ご、ごめんなさい(笑)け、けどさっきのフミ君の顔を思い出したら、プッ!(笑))



由奈は笑いで涙を出しながら、俺に振り向いて来た。



「さっきの顔?‥俺の顔、そんなに変でした?」

「うん(笑)今思い出しても、プッ!(笑)」

「あっ‥」



俺は由奈の笑い顔に、一先ず安心する。



「由奈さん‥」

「うん(笑)なに?」

「俺、てっきり由奈さんが怒ってたかと‥」

「あら?私怒ってたわよ、フミ君」

「えっ!」

「だってそうでしょう?、あんな若くて可愛い女の子を、フミ君が虜にしたんだから」



由奈さん、急に不機嫌な顔色になると俺の方を少しきつい目で見てきた。



「と、虜って!いやいや、そんな事してないですよ!」

「けど、あの子の顔、あれは乙女が恋した顔をしていたわよ。あっ、フミ君、信号変わるわよ」

「えっ!」



俺はまた車を走らせた。

そして不機嫌な由奈に俺はまた否定する。



「そ、そんな事ないですよ〜。も、もしかりにそうだとしても、女の子によくある、いっときの想いですよ」

「ふ〜ん(疑いの目)本当かしらね〜」

「ほ、本当ですって!だいたい今は‥」

「今は?」

「今は‥‥‥貴女と二人の柚葉の事だけしか考えていませんから!///(赤面)」

「あっ///(こちらも赤面)‥‥‥あっ!フミ君、赤だよ赤!」

「あっ!」


俺は車を止めた。そしてまた由奈の方を見ると由奈は自分の目線に左手を上げて



「これ。これに免じて許してあげるね♡」

「これ?‥‥‥あっ!指輪!」



由奈ははめていた指輪を俺に見せると、さっきまで怒っていた顔が、笑顔になる。

俺もそんな由奈の笑顔を見ていると、なんだかホッとした。

のだが‥‥‥



「由奈さん‥あのーですねー。その指輪をはめている指‥ 」

「あっ、そうねまるで婚約指輪みたいね♡」

「みたいねーじゃなく明らかにみえますよお〜」



由奈は左手の薬指にはめてますよ〜。指輪を。いやね、はめるのはいいんですよ!はめるのは!

けどですねー、そんなのを柚葉の二人に見られたら、あー恐ろしい光景が目に浮かびますよ〜(恐)



「て、言うか由奈さん!それいくらしたか覚えてます⁈」

「え〜と、二万?」

「ですよ!こんなの柚葉二人にせがまれたら」

「う〜ん、、、四万は確実に飛ぶわね」

「ね、じゃないですよ〜(泣)」

「いいじゃないの♡ね♡」

「トホホ(泣)」



あ〜、俺の財布から四万が羽を生えて確実に飛んでいきます〜よ〜(涙)




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