3章 Cパート 6
混雑が解消されてショッピングモールの外へと避難して、怪人が倒されて。
日が傾きだしたころに3人は再びショッピングモールの入り口まで来ていた。
「せっかく亜久野さんを気分転換させようと思ったのに、なんだかろくでもないことになっちゃたなー」
大きく背伸びをして大きく息を吐く。
「いや、そうでもないぞ。これはこれで色々楽しめた。過程はどうであれ、結果がこれならいいと私は思うぞ」
「ん~そう? 亜久野さんがそう言ってくれるなら良かったかな。っと」
手の中の携帯電話が震えた。
「あー。残念。後片付けに呼び出しかかっちゃったみたい。
あたしはそろそろ行かないと」
「そうか……」
そっと、右手を風へと差し出した。
「今日は誘ってくれてありがとう」
その手を風は握る。
「こんなことで良ければいつでも誘ってあげるよ。もちろん鏑木くんもね」
名残惜しそうに手を離して風は2人に背中を向けた。
一度振り返って2人へと手を降ってそれを最後に、後は進み始める。
「あーあ。せっかく言おうとしていたのになぁ。なんてタイミングだよまったく」
来ていたメールに書かれていた集合場所を確認しながら唇をとがらせる。
「やっぱりこの騒ぎが解決してくれないとダメってことなのかな。うん、よし」
確認が終わって携帯電話をしまって、コブシを強く握りしめる。
「決めた! あたし、この闘いが全部終わったら、亜久野さんに伝えよう!」
まるでスキップするように足取りが軽くなる。
笑顔が、戻らない。
眉間のシワが、戻らない。
いや、いまの恵梨香は戻そうとしていない。
「つまり、あれはアナタにとっても予定外の暴走だったということで?」
薄暗い部屋の中、イスに腰かける恵里佳の前で初老の男性の報告は続く。
「はい。その通りです。いま原因を追求しているところですが、二度とこのようなことが無いよう対策はしていくつもりです。
しかし幸いだったのが停止信号は生きていたことですな。
あいつらの手柄にされるのは癪ですが、こちらの言うことすら通じないようでしたから仕方ありませんな」
怪人が暴走したことで勝手に出撃をした。報告書には色々と書かれているが要約するとそうなる。
「……わかった。二度と無いという言葉を信じよう」
「はい。ありがとうございます」
頭を下げて踵を返し、闇の中へと消えていく。
恵里佳も今日は疲れていた。基地を後にして、家路へと着く。
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