糾弾防弾劇団

 全く…現代の魔女狩りだね。

 森で薬草作ってる普通のお婆ちゃんを火刑にする中世の無知な大衆かっ!

 ターゲット小悪党を見つけると大衆がこぞって攻撃する空気嫌いです。


 しかし謝罪会見している大の大人が泣いてる姿って本当にみっともない。あれは何の涙なの?慚愧なの?鬱積なの?


 いい悪いは別として。社会的責任ある立場の人間が世間を騒がせる騒動を起こしたのなら、世間に対して説明責任があるのは理解出来る…が。一人に対して大人数で質問する形式って、どうなのだろう。まさに世間という空気の代議士であるメディアが戦隊のヒーローとなり、悪の怪人一名を大人数で倒す構図と同じではないか。幼い頃日曜の朝、戦隊物を観ていて違和感を感じた事がある。


 これは学校の教諭がしてはいけないという集団イジメそのものではないのか?世間という空気が悪認定したら何をしてもいいのか?


 まぁその怪人は人類を滅ぼそうとはしていたが…。


「この度は、お騒がせした事を心からお詫びいたします」


 深々と頭を下げる絶世の美少女生徒会長。


「どんだけスーツ貰ってんだよっ!!…間違えた…これは別件と…こほん生徒会役員の告発によると、会長は、お前ら養生テープ違った…テープ録ってないだろうな…。私は逆らうお前ら全員首にする力があるのだ。お前らが私の事を告発したならお前ら連帯責任で全員首だ。と言われたとの事ですがそのようなパワハラはあったのですか?」


 記者腕章を右腕に着けた色黒の健康スポーツ女子は質問した。


「私は、その場を和ませようと冗談で言ったのです。彼らはクスりとも、していませんでしたけど。本人がそう受け取ったのなら…パワハラと感じたのなら…そうなのでしょう。」


「後、反社との繋がりはないんですね!」


 問い詰める俺。


「反社の方と?あり得ません!!」


「ハンシャの意味分かってます?この写真を見て下さい!」


 強い口調で迫る俺。


「それは…」


 両腕がタトゥーだらけの、いかにもその筋の者とツーショットで撮られている写真に固まる生徒会長。


「それは、桜を見るイベントで不特多数の方と撮ったもので、知人ではありません。それに分かってますっ!ハンシャ。ハンシャ。言っていますけれど。反社会的組織って回りくどいんです!極悪犯罪クズ人間集団と言い方を代えるべきでは?」


「むぬぬ!もぉおお!!」


 銀髪生徒会長が怒号を発する。


「カット!誰?このプロット作ったの?つまらない!一からやり直し!」


(一同 それこそがパワハラ…)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る