デリケートデートデーリート
一般論、女性はマルチタスクが得意で、男は苦手と言われている。そのシングルタスクの俺は何か作業をしている時に声を掛けられると強いストレスを感じる。最近では、団旗を作製時。
「タイムトラベルが出来るのなら何処に行きたい?」
「タイムマシンで…?そもそもタイムマシンって存在しうるのでしょうか?夜空の星々はタイムマシンですよね。大昔の光が照らされているのだからでもネコ型ロボットのタイムマシンは現実的ではないと思うんです。理由は、至ってシンプルなんですが」
「…」
「それは未来人が来たと言うニュースがないからです。つまり未来でタイムマシンは造られていないので必然的に…」
「コウちゃん…つまらない!」
「…!ご免なさい…俺の中の評論家が現れてしまいました」
「可笑しなコウちゃん。もっと楽しい話しに展開する予定だったのに!」
休日の昼下がり。あいにくの天気の雨だがしかし、目的地は室内なので支障はない。
「スカイツリーほどじゃないけれどデカイな…」
都内の超高層ビルの室内型テーマパークが目的地。文化祭の手伝いのお礼との事で先輩に連れて来られたのだ。
「混んでるなぁ…人だらけ…酔いそう」
エレベーターで二階に上がると目の前にパークのゲートがある。
人混みに当てられてゲート前の椅子に座り込みテーブルに突っ伏す。
「さあ帰りますか…」
「バカ言ってないの!行くわよ!」
先輩に腕を引っ張られながら中に入ると正にタイムスリップしたような、古き良き時代昭和50年代位の道並みが現れた。
「痛い!痛いっ!癖になる癖になるっ!!」
これ以上腕を伸ばされると肘内障になっちゃう!
「夕日が似合いそうな風景だね」
「そうですね」
「今日は此に来たかったの」
彼女は、左腕に着けているピンクのベルトで曲がれた腕時計に視線を送る。
「うわっ!何何何!?」
突然室内の灯りが薄暗くなる。
街灯の白熱電球がぼんやりとそして度々消えたり点いたり…お化け屋敷か…。
俺はお化け屋敷が嫌いだ。正確に言うと日本のと言った方が正しいジャパニーズホラーのじめ~っとした湿度の高い怖さが嫌だ。西洋の陽気な魔女だの狼なんとかだのフランケンなんとかだの分かりやすい奴等は大丈夫なんですけれどもね。
「何ですか?停電かな?怖い!怖い!」
「コウちゃん!しっかりして!これからが本番なのだから」
「本番?」
ぱっ!!
模擬商店街の小さな橋にスポットライトが当てられ。
『探偵の皆様…ようこそお越し下さいました』
女性の抑揚のきいた、いい声のアナウンスが放送される。
「魂の抜けた、にゃむ五郎がまたたび橋で発見されました!探偵の皆様は。各自の考察でにゃむ五郎の魂のありかを探し出してください」
橋に大きめなこのテーマパークのキャラクターが倒れている。
「何ですか?これ?楽しいテーマパークでキャッハふふふする感じではないんでけど?」
「今日は、私達は探偵なの!一緒に頑張りましょう!」
このお方全然聞いてない僕のお話…
「うっ!?」
手を捕まれる。美少女から。
「行きますから。引っ張らないでっ!腕がキューピー人形のようにもげるっ!」
探偵服を来たイベントスタッフから地図をもらい。
「このイベント早く解決した参加者順にランク付けされるの!テッペンとるわよっ!」
「テッペンって…」
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