最後の問い

 宝箱の蓋を開けると中から鍵が現れた。部屋には、時計がないし、スマホは、教室のカバンの中なので、正確な時間は分からないが、随分長いあいだこの部屋にいたような気がした。監禁怖い…。


(帰りたい!帰りたい!ようやく帰れる!パッちゃんに会いたい)


 右手を伸ばした瞬間。手首を後ろから手首をぎゅっと握られた。


「うわはっはっはっ!」


(うざっ。またゲームマスターが出てきたよ)


「よくぞ。困難に打ち勝った。だが最後の問題が残っている!正解出来なければ、出ることは出来ない。さぁ答えよ!」


「この脱出ゲームの真の目的を答えよ!」


「最後の質問?聞いてないっ」


(先輩が最初に言っていた。俺との親交を深めるが目的?…それもあるのだろうけど、真の目的とは違う気がする。それだけの目的なら、わざわざ学校の生徒会室で脱出ゲームをする必然性がない。家に平気て押し掛けるような人だし…じゃあなんだ?)


 何かひっかかる。先輩は文化祭に女子を呼ぶことに力を入れている…。脱出ゲーム。親交を深める。副会長が考えた企画。


『本番はゲームマスター役が、外から鍵を掛けてスマホからゲームの指示するって流れなの。今回私はゲームマスター兼務』


 先輩の言葉。それらを総合して導きだした答えは。


「文化祭の生徒会の出し物の予行練習ですね!」


「正解♪」


「どうして分かったの?」


「だって先輩が本番云々言っていたから今やっているのは、何かの予行練習なんだろうなとは思っていました。」


「私、本番って言っちゃてたかぁヒント出しすぎてたね」


 彼女は、満面の笑みを浮かべていた。


「そういえば 俺が言うのもなんだけれど。先輩は最近ほとんど学校に来てないらしいですど…体調でも悪いのですか?」


 急に幼なじみのリョウタが言っていた事を思い出した。


「何?心配してくれるの?」


 ぎゅ


 二度目のバックバグ。いい匂いと柔らかさで体が二度目の硬直状態になる。


「私、今、休学中なの」





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