二人遊戯②

 生徒会室は、教室の半分ぐらいの縦長部屋。ゲームマスター役の彼女は机に置かれていたA4ノートを取り出すと。んっんっと声を整えるとそれを見ながら話始めた。


「わ…私はこのゲームのマスター。この部屋から出たければ、私の言うことをよーく聞くのだ!うわっはっはっはっ!」


(いきなり棒読みなんですが…アニメのオーディションなら年間40回以上落ちますよ)


「さて!ルール説明だ。

 この部屋にクイズカードが配置してある。まずそのカードを見つけるのだ。

 そして、そこに書かれたクイズを解き。宝箱の鍵の番号を、特定するのだ。クイズカードには、ジョーカーカードが混ざっている。そのカードに書かれている指示に従わなければ、脱出失敗となる。制限時間を過ぎても失敗だ。制限時間は15分。せいぜい頑張るがよい!うわはっはっはっ!」


(さぶい。さぶい。最後に笑うのは怪人感を出す為かな?)


「カード、カードどこだぁ?さぁ!コウちゃんも探してっ!」


(ノリノリですね)


 切り替え早く彼女は探し始めた。


「あった!」


 本棚のガラス扉を開け入っていた緑色のカードを手に。


「剥がすね!」


 カードに糊付けされた付箋紙を剥がす。


「ジョーカー♪ジョーカー♪」


「いやいやいやジョーカーはまずいのでは?」


「えい♪」


『森の賢者が先頭を歩く』


「クイズなのコレ?意味が全く分からない…」


「また見つけた♪」


 パイプ椅子の横に張り付けてあった青いカードを先ほどと同じように紙を剥がす。


『六羽の鶏が鍋蓋の下敷きになった。汝、2つの数字と次のヒントの手掛かりを得た』


「2つの数字は6と8でしょ」


「そ…そうだよ!!」


「…」


「次のヒントの手掛かりっていうのが、よく分からないなぁ」


「まだカードあるでしょ?ジョーカー♪ジョーカー♪」


「だから何故ジョーカーを探す!?」


「んー鶏が、何か関係しているのかな?」


「コケコッコウちゃん!また見つけたよ!」


「俺は卵生みませんっ!!」


 今度は、ピンクのカードを彼女は、手にしていた。付箋紙を勢いよく剥がすと。


「「ジョーカー!! 」」


 ピエロの絵が書かれたカードが現れた。何か書いてある。


『お互いの好きなところ言い合って♪』


(なんだ?合コンのような指示!)


「可愛いところ!優しいところ!イケメンで!いざという時頼りになるところ!それから…」


 (先輩が楽しそうにしている内にさっきのクイズを解かないと。えっと…鶏だろ?にわとり…)


 部屋を見渡すと正面の生徒会長の机の上に、あからさまに、雑誌が3冊置いてあった。バイク雑誌。サッカーマガジン。園芸雑誌。


(ここは趣味のコーナーですか?)


「ん〰️にわとり…にわ(庭)ガーデンか!でとり(取り)だから園芸の雑誌を取れと?」


 園芸の雑誌を手に取り、ページをパラパラと めくっていくと角を折られたページを見つけた。


「ここか?」


 中は薔薇園の写真が載っていた。その横に付箋紙で、汝、最後の数字を得た。と書いてあった。


「薔薇だよな…5月に咲く花だから5かな」


「そ…そうだよ!」


(たまには先輩も考えて)


整理しよう、これまで得た数字は、6と8

と5…。後1つは、最初の賢者云々のカードの内容だ。


「森の賢者って、何だ?」


「最初の数字は5だよ」


「!どうしてですか?」


「ゴリラの事を森の賢者って言うじゃない?」


『森の賢者が先頭を歩く』


「だからゴリラの5が最初の数字なんじゃない?」


これで、全ての数字が解読出来た。


「5865」


ガチャン


宝箱の鍵が、開いた。


「コウちゃん!私まだいいところ言われてない!」


(覚えてたか…)


「えっと美人で、優しくて、賢いところ!」


















  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る