幼なじみは目も頭もキラキラ

 幼なじみは、有難い。

気兼ねせず何でも言い合えるから。寿司屋の息子であるあいつとは、保育園からの腐れ縁だ。同じ高校に入学したが、クラスは違う。


 昼休み、屋上で先輩とのこれまでのいきさつを舞台俳優のような目力をもった野球バカ坊主に話した。ちなみに背は高い180。

 前段で述べたが、こいつは俺の嫌いな脳筋タイプである。が、いつもいて当たり前の存在なので好きとか嫌いとか単純なカテゴリーに入れられない。まあ家族に近い存在だ。


「お前マっジか!あの生徒会長を知らなかったって!その上、き…キッスされた!?この野郎ぅ!」


 (相変わらず目力が半端ない奴だな…それ以上目を見開くと眼球が飛び出る。)


 幼なじみ蓮見リョウタはすみりょうたは、下町ネイティブで、べらんめい口調だ。おじさんの受け売りだろう。


「休みがちだったし…ああ…キスはほっぺにだよ」


「男がほっぺとか顔赤らめながら言うなっ!気持ちが悪い!」


「そうだけど。そうだ喘息は大丈夫なの?」


「今は落ち着いてる」


「運動しろよ。水泳とかさ!喘息持ちのアスリートって結構いるんだぞ!」


「小4の時。親に強引に、スイミングスクールに通わせられた事はあったよ。すぐ逃げだして辞めたけど」


 小学校からのプールの授業対策として、親の強引な勧めで半年ほど通っていた事がある。練習後サウナ室に入るのが、苦痛でしかたがなかった。


 お節介な奴ではある。でも本当に俺の事を思って言ってくれているので、別に嫌な感情は沸いて来ない。


「あの人。この学校の有名人だぞぉ。超絶美人の生徒会長って!」


「それにお前保育園の時も気に入れられていて、面倒かなり見てもらってただろぉ!恩知らずだなぁ」


「当時はもっとどんくさくて、その上喘息も今よりも酷かった。そんな俺を逸も助けてくれた一つ上のお姉ちゃんがいたような…朧気には記憶がある…」


「それだよ!それが会長だよ!オムツパンツ替えてもらったりしてただろ!お前だけえこひいきされていたのを今でも覚えているよぉ!くそっ!」


「先輩は、お姉ちゃんと言うより母!?」


(俺の通っていた保育園の保育士が怠慢過ぎるだろ!子どもにそんな事させるなんて)


「なに嫉妬?」


「そんなんじゃない!なんか腹からムカムカしてただけだぁ」


(それを嫉妬と言う)


「それより、会長は最近学校にほとんど来ていないらしいんだが。お前事情を知っている?」


「生徒会長って言うのもつい最近知ったし、まだ、そんなに先輩の事を知らない」


「放課後会うんだろ?事情を聞いておいてくれよぉ」


「なんで?」


「大病を患っていたら…どうしよう。心配だ!美人薄命と言うし。はっきり言うけど!惚れてる!会長の事が!だから気になるんだ」


 潔くで、気持ちがいいが、惚れてるってお前いくつなんだよ?


「なんでお前なんだ!」



(やっぱり嫉妬だね)


「あれ?お前彼女いるんじゃないのか?確かまどまど!」


「まどかとはいろいろあって距離を置いてる…」


「そっか…ごめん」

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