まにふぇすと!
「○○をどうか!どうか!宜しくお願いいたしますっ!!」
学校の窓ガラスが震える。
ウグイス嬢は饒舌に語り、街宣車は町を巡回する。ただの騒音を撒き散らして。全く無意味な行為。午睡中の赤ちゃんを起こしお母さんを困らせるだけ。選挙シーズンになると、いつも思う。誰の為の選挙だと。
ただの権力者達身内のお祭り騒ぎにしか目えない。
公約などは新聞と一緒にポストインされている、その中に憲法改正があった。マイノリティな議論。普通に生活している人達にとって税金や、子育て支援、年金の問題のほうがはるかに重要な事案だ。国会のマジョリティの奴らがマイノリティな議案を必死に提示して来る皮肉。だいたい憲法は、為政者の権限を制約する役割もあるのだ。何故為政者発信の改正議論に一般人が付き合わなければならない。俺は護憲派でも、改憲派でもない。ただ国同士で報復し合ってる稚拙な政治屋が信用出来ないそれに何だ!大学受験の英語試験のごたごたは。政治って言うのは、働く人々から集めたお金を行政という形で配分する作業だろうに。なのにその行政のトップの大臣が身の丈に合った試験を受けろだと?ふざけていやがる。格差を是正するのがお前たちの仕事なのではないのか?学生にまで政治不信をばらまくのか?などと、脳内で論客を気取る俺。
選挙も公約も無縁な学生からすると空気を読んで盛り上げ、選挙運動をしている群れに、嫌悪感しか感じなかった。
――彼女からその意外なワードが吐かれた。
「こうやく…公約だから…」
「は?」
「生徒会長選挙の公約なのっ!」
(はい。意味不明)
その後の彼女の話を要約すると。
我学舎、区立錦糸橋高校は、元々男子校であった。それが三年前、男女共学になった。その為、男子校の名残がまだあり、文化祭は、ほとんど女子が来校しない。これが男子達の懸案事項であった。そのニーズをいち早く察知した上敷領先輩が生徒会長選挙の公約として、来場者の過半数を女子中高生にする事を謳ったのだそうだ。
「先輩、生徒会長だったんですね!…話が脱線しそう…」
「それと、俺と付き合うのとどんな関係があるんです?」
「あるわ!」
「今、区内とその周辺区の、中学、高校を周って文化祭に来てもらうように打診しているの。でも反応がいまいちなの…」
「そこで思い付いたの!!イケメンの彼氏と一緒にリア充全快で、アピールしたらインパクトあるんじゃなかって!」
(イケメンの部分は激しく同意しますけれど)
「文化祭で出会いもあるかもってアピール出来るじゃない!」
彼女は、雄弁に語る。稚拙な内容だが…
「私のしたい事…明日詳しく教えて」
「あ」
「げ」
「る」
そう言うと彼女は、俺の頬っぺたに。
キスした。
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