放課後の生徒会室

 俺が大攻勢をかけていたのに、怯んでしまった。


 詳しい話は放課後生徒会室で――


 と彼女は言うと、俺の壁ドンしていた左腕の下をスルりとくぐり抜け、そのまま走り去った。あんなに背が高いのによくくぐり抜けられたものだ。あの時のあの後ろ姿が、残り香がまだ大脳皮質に鮮明に焼き付いている。


 異性と至近距離で接したことがなかった俺の心の臓はドクドクを早める。出張前親父の健診に、付き合わされて病院の人間ドックに行った事がある。可愛い巨乳の看護師さんに血圧計で計測してもらったのだが、血圧が高すぎると言われ何度も計らせられた。


 仕方がないだろ!女性に免疫ないんだから!あの時もそんな状態だった。


 生徒会室は中央棟の三階にある。


 手汗が止まらない…ドアに手を伸ばしたが、トイレの洗面台で手を洗って出直そうと、踵を返す。


 二、三歩歩いた時、


 ガラガラガラ


 引き戸が開く音。俺は慌てて振り向こうとした瞬間――


 俺の体はとても柔らかく、温かいものに包まれた。



 今…長身巨乳女子からバックバグされています。


「もぅ!遅かったね…待ちくたびれました…」


「ほ…放課後としか聞いていなかったので今度待ち合わせする時は時間指定して下さい…ね」


「宅急便のお兄さんみたいな事言うね…面白いw」


 笑っているのだろう…彼女の体が揺れている。その笑顔見たかったが、今の体勢も捨てきれない。


 しばらく彼女は癒しタイムだといって抱きついたまま離れません。色々まずいでしょ。公の場で。ニューヨークのセントラルパークにいるカップルみたいな行為してたら!


 5分ほど抱きつかれていた。もっと長く感じたが。入ってと彼女は言うと、生徒会室に俺を通し。


 ガチャ!



「えっ!」


 彼女は素早く鍵を掛けた。

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