彼女の真意

 嫌がらせではないのか?…。この下着のプレゼントは、立場が逆なら通報されるレベル。確実に留置所送り。


 考えられる説は二つ。

 一つ目、引越し挨拶の品と彼女の彼氏さんに渡す物を間違えた説。この説が現在かなり濃厚な説だ。

 二つ目、嫌がらせ説。保健委員の仕事を手伝った件。実は不本意であった。その上、仕事が出来ないポンコツの為に多くの仕事をするはめになり、俺に嫌悪感を持ち、嫌がらせをした。かなり具体的に言っておいてなんだけれど、この説はなしよりのなしだな。彼女の今までの表情からは、考えられない。と言うかそういう子であってほしくない。


 ベッドから机に置かれた百貨店の紙袋を睨み付けながら。


「明日直接話して返そう。考えるのやめた説…」


 考えるときりがない。スマホを手に取り動画アプリを起動。サッカーの超絶プレイ集の動画を見始めた。


 そしていつの間にか



 ―― zZ


 寝てしまっていた。




 ちゅんちゅん


 体が重い…重い…主にお腹…パティ!


 猫が俺のお腹の上で丸くなっていた。寝返りを打ち毛玉をベッドから落とす。モフモフは非難の眼差しを俺に向けたが、まだ眠いのだ。壁側に寝返り背を向ける。


「コウちゃん!コウちゃん!」


「もぉ~起きて!起きて!遅刻しますよ!」


 体が揺れる…!?誰かが体を揺すっている?親父は出張中。母は、こんな若く甘ったるい声ではない、妹?あり得ない…では誰なのだ?恐る恐る振り向く。


「なんだよっ…まだ寝…」


「おはよう!ようやく起きましたね!寝坊助さん」


 目の前には、パティを抱いている、上敷領かみしきりょうアイナ。

 夢かぁ。久しぶりに夢を認識している。俺は夢は殆んど見ない。深くいい睡眠を取っているから。昨日あんな事があったからなぁ。しかしリアルな夢だ。夢の彼女に声を掛けた。


「お前何しているの?」


「お前って誰?」


 彼女は、ムッとした顔をした。むくれても可愛い。


「アイナだよ!」


「ん?ん?」

 彼女を凝視する。夢じゃない!?


「えっえええええ!」


 飛び起きる俺。


「な…何してるんですか?」


「ん?起こしに来たんだよ!」


「何で上敷領さんが?」


「だって私達お付き合いしているじゃない」


「は?」


「はぁぁぁああああ?」


 これまで出した事のない声を出した俺でした。








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