ラノベ的展開
ギィイ…
蝶番が錆びて少し重めな玄関の扉を少し開けた。
目の前には巨豊いや、制服姿の美少女、
「なっ?…えっ?おお…?お歳暮の時期?」
「ん?こんにちは。隣に引っ越して来ました。上敷領と申します。宜しくお願いします」
「…えっ?」
「にぁ~」
「可愛い!可愛い猫ちゃんですね!」
(あれだね?小さい子どもが愛玩動物を観てかわいい!って言っているコメント映像を観させられているのと一緒…あんたも十分可愛いよ)
パティ!いつの間に!うちのカウンセラーが彼女の長い脚に額をこすりつけ甘えている。カウンセラーのカウンセラーがいるって聞いたことあるけど、なに癒られてんの?う…らやましい。猫になりたい!なりたいっー!!
受験勉強で病んでる、最近目にくま出来た俺の妹が、洗面台の鏡を見ながら将来猫になりたい‥とか虚ろな目でぶつぶつ言っていたが‥兄もだよっ!
じゃなかった。
「で、な…何か用?」
「あっ…ごめんなさい。隣に引っ越してきたのでご挨拶に来ました!…」
「大江君。この間は頑張ってたね 」
「あ…うん…」
(すいませんね。役に立たずな存在だったけれどね。ん?あれ?名前教えたっけ?)
「初めての一人暮らしで心細かったの!良かった!知り合いがいて!」
急にテンションが上がる上敷領さん。
(お隣さんに?この美少女がお住まいに?可笑しいぞ。なんだこのご都合主義ラノベ展開は…そもそもモブキャラでしかない俺にスポットライトが当たるのがまずおかしい。アニメとかでも、Aパートで今まで登場していなかったモブキャラが急に登場しそいつが饒舌に話だしたら、Bパートで悲惨なキルされているような…明日壮絶な死に方をするフラグにしか思えない。ドラマを盛り上げる為に、モブを殺す手法嫌いです)
「えっと…俺は、別に未来に希望がある訳でもないけど、でもまだ死にたくないので。じゃあ」
素早く扉を閉めようとすると。彼女は俺の手首ガッと掴むと。
「まだ話終わってないよ!後死ぬって何の事?」
「で!挨拶は済んだよね。他に何か用?」
少しキレ気味に言葉をぶつける。死にたくないからね。
「生徒会の件だけど、お手伝いをお願いしておいて、連絡が遅れてごめんなさい。言い訳だけど、引越しの手続きに手間取ってしまって」
ペコリと頭を下げる。彼女。
この時期はまだましなほうだが、日本のお引越し事情は人手不足で深刻だ。引越しも人が集まらず恐ろしく高い額の見積書を拝見する事になる。
彼女も例外ではなかった。とても払えない引越し代金を格安にする為に、手持ちの家具とかは売り、後で家具を買い直し、衣類や小物は宅急便で送るという裏技を使ったとの事だった。
美人な上に優しくて、その上賢いのね…。天は彼女に二物を与える処かそれ以上与えているようです。
「明日放課後生徒会室に来てくれる?」
「えっと…」
(どうしても俺をコロしたいらしい…)
「二人きりで、話したい事があるの」
彼女の大きな潤んだ瞳…なんだこの色気…本当に同級生なのだろうか…この瞳に見つめられるなら
「死んでもいいかも…じゃなかった。い…行きます!」
「ありがと!でもそこは行きますにゃぁ~♪でしょ?」
彼女は招き猫みたいなポーズをして俺をからかった。
(可愛いコロサレル)
やっぱり覚えていましたね。俺の黒歴史。
「後これ、つまらない物ですが、どうぞ」
彼女は、百貨店の袋らしきものを俺に手渡した。中には綺麗に包装された箱が入っていた。
また学校でと言って彼女は扉を閉めた。少し頬を赤らめながら。
「ちょっと!パティ!人見知り猫じゃなかったの?」
猫は猫好きが分かるっていうから、上敷領さんも猫好きなのかな…いやいや彼女の事を考えるのはもうやめよう、嫌な予感しかしない。
晩御飯は、コンビニの弁当。両親は共働きで帰宅はいつも遅い。寂しく一人で飯を食う。妹はすでに、すまして自室にいる。リビングには、彼女からの粗品が。
「タオルか何かかな?」
包装を雑に破き、箱を開けると中から男物の下着が出てきた。
「…」
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