第15話 お茶に関する慣用句

 日本の風土や文化に根差している『お茶』という品物。それゆえに、『お茶に関する慣用句』というモノも存在したりします。今回はその一部をご紹介致します。


 なるべく難しくないように、噛み砕いて解説しますね。





「朝茶は福が増す」

 お茶は縁起の良い品物なので、魔除けとしても重宝されたと言います。そのため、朝に飲むお茶はその日の厄除け、災難を退ける一杯として飲まれていたそうです。

 これと似た慣用句には、「朝茶は七里戻ってでも飲め」という言葉があります。


「鬼も十八、番茶も出花」

 鬼であっても年頃の18歳くらいなら、美形に見られたり、品物としてはランクの低い番茶でも、最初の1煎目は香り良く美味しいものだ、という言葉。要するに、どんな物でも素晴らしい時期がある、という意味なのでしょう。ちなみに今では女性に対して言う言葉になってしまっていますが、昔は男女共に言われる言葉だったそうで。


「お茶をく」

 お茶の葉を石臼で挽いて抹茶を作るのは、誰でもできる仕事であって、主に暇な人の役割だったそうです。

 そこから、特に用事があるわけではなく、暇であることを指す言葉になったそうです。特に、芸者や遊女などに客がつかず、商売が暇なことを言ったそうです。


「お茶を濁す」

 今でも言う言葉ですね。

 その場では明言をせず、曖昧な言葉ではぐらかす事を言います。

 抹茶を適当に点てて、濁ったお茶を出した所から来ているそうな。


へそが茶を沸かす」

 あまりにおかしくて、笑わずにはいられないことを例える言葉です。聞くだけ馬鹿馬鹿しいこと、という意味もあります。ほかに「臍で茶を沸かす」「臍茶」とも言います。


「酒は酒屋に、茶は茶屋に」

 物事にはそれぞれ専門家がいて、その道のことは専門家に任せるのが一番、という意味です。「餅は餅屋」の類義語ですね。





 今では使われなくなった言葉もありますし、いまだに使われる言葉もあります。それだけ今の日本では、日本茶というモノが日常にあるものでなくなった証でもありますね。


 少し寂しい所ではあります。


 このような言葉もあるという事を覚えて頂き、機会があれば使って頂きたいですね。

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