第六話 タケノコの炊き込みご飯
僕は玲と二人でタケノコを掘りに行った。
姉さんと泉さんは、家でご飯の準備をしてくれている。
家の庭にある竹林で、数本のタケノコを見つけた僕たちは、鍬でタケノコを掘り始める。
「ねえ、玲……」
玲は手を止めずに「なあに?」と返す。
「彼氏いる?」
ザクッ!
タケノコに玲の鍬が、変な向きに刺さってしまった。
「はああ!? いきなり変な事聞かないでよ!」
「ごめんごめん」
「あの可愛い女の子の事を自慢したいの?」
「そうじゃないよ。もし玲に彼氏がいるのなら、何かの参考にさせてもらおうと思って」
「……そう」
「で、彼氏いる?」
「いると思う?」
「すいませんでした」
そうか。まだ小学生だもんな。
あれ? 来月から中学生だったけ?
また後で母さんに確認しよう。
「あ! マムシ!」
タケノコを探していた玲が、マムシを見つけたらしい。
庭にマムシがいるのは危険だ。外に追い払おう。
幸い僕は、ヘビを捕まえるのが得意だ。
なぜ得意なのかは、聞かないでほしい。
あの時の事を思いだしたくないから。
「待ってて。すぐ捕まえるから……」
僕はヘビを捕まえようと、例に駆け寄ろうとしたが、僕よりも先に玲が動いた。
玲は無造作に鍬を振り下ろし、マムシの首を斬り落とし、頭を踏み潰す。
うわあ、玲も姉さんに似て来たな。
躊躇なくマムシの首を斬り落として踏み潰すとか、女の子らしくなさすぎる。
将来がかなり心配だ。
僕は分裂して二つになったヘビを指差して、
「それ、どうするの?」
と聞いた。
「持って帰ってる」
「え?」
「お姉ちゃんが、マムシを焼いて食べると美味しいって言ってたから」
ああ。なるほど。
僕はマムシを食べたことが無いが、姉さんと両親は、よくマムシを食べる。
それに影響されたのだろう。
心底玲の将来が心配だ。
約一時間後、マムシ三匹とタケノコ四本を採った僕たちは、家に戻ることにした。
***
さあ! 待ちに待ったご飯の時間だ!
お母さんと姉さんが食卓に料理を運んできた。
今日のメニューは、革と内臓を取ったマムシを網で焼いたものと、タケノコのブツ切り(生)だ。
は? これが料理?
こんなものを泉さんに食べさせるわけにはいかない。
「……僕が調理するよ。まってて」
僕は食卓のタケノコを回収した。
そして、炊飯器にお米と水と、細かく切ったタケノコと、その他の調味料を入れ、ボタンを押した。
「おいルナ、せっかく母さんが作ってくれた料理を、なぜ炊飯器に放り込む!?」
「お父さん。いいから、黙って待ってて」
姉さんと玲と両親と泉さんが、「不機嫌です! 早く食べさせろ!」と目線で語りかけてくる。
「はあ……。先にマムシを食べとけば?」
僕は、僕の家族に向かってそう言った――――つもりだった。つもりだったのに、僕の言葉を聞いた、家族と泉さんがマムシを美味しそうに食べ始める。
「月城くん、マムシって美味しいね」
泉さんまでアブノーマルになっちゃた。とても残念。
サンタがくれた 君との思い出 フカミリン @1575261
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