5-4 仙崎志津香、文字数制限=PCブラウザで一画面内に収まるように



 あたしには夢がある。別にそう大それたものでもなくって、レベルでいえば、「お嫁さんになりたい」とか「スポーツ選手になりたい」とか、我ながら子供じみているなぁ、と笑っちゃいそうになるくらいのもの。

 でも、それは、確かにあたしの胸に芽生えたものなんだ。誰かが、「そんなのは一時的な憧れだよ」なんて言ったって、いまあたしの胸で燃える熱量は本物だ。


 こんなふうに夢を持つようになったのは、ここ最近のこと。より正確に言うならそう、「新しい家族」と出会ったことが、すべての始まり――


「って、なんかあたしの紙幅だけ少なくない!?」

「急に叫ぶんじゃない。びっくりするだろ」

「いやいや! だっておかしいじゃん! 最大で1ページ以内って!? これって、血の繋がらない兄妹が、それぞれの悩みとか悲しみを乗り越えていくっていう、家族モノの話じゃん! 次は、あたしの番だろ!?」

「紙幅? ページ? なに言ってんだお前。とにかく落ち着け。そういやこないだ駅前に――」

「あー! あー! 誠にーちゃん、あたしの紙幅2行も取りやがったな! しかも、もったいない使い方しやがって!」

「おいおい、いつまで突っ込んでるつもりだよ。早く本題に入らないと、本当に紙幅なくなるぞ?」

「やっぱ誠にーちゃんも意識してんじゃん! もう10行もないし!」

「お前、紙幅は狭いくせに、顔の面積は広いよな」

「おでこが広いだけだっつーの! ったくよー、ほんとこれだから誠にーちゃんは……」

 あたしには夢がある。その夢というのは……

「そういやこないだ駅前に――」

「だから紙幅取んなっちゅーの!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る