アーシェと沙耶のプール遊び!③(プール前の出来事を日記に書こうと思ったら、めっちゃくちゃな出来事を書いてしまいました)←BYアーシェ
数十分後、体攣るというハプニングに見舞われながらも沙耶ちゃんはようやく今年の水着を決めた。ただ、どんな水着を買ったのかまだ私は知らない。なんでも、プールに着いてからのお楽しみだとか……。
一体どんな水着を買ったんだろう……と思いながら、私と沙耶ちゃんは二階にあるフードコートで昼食をとっていた。夏休み期間なのか、若い人や家族連れのお客が多くて座る場所を確保するのに時間かかったけど……。
「あーいてててっ……なんで、体攣るのかなぁ……運動しているのに」
コリコリと首を鳴らして、呟く沙耶ちゃん。この行為をして何か改善するのかな?
「日頃の行いに運が尽きたんですかね?」
「尽きてないわ! ただ疲労が増して攣っただけだと思う……」
なんで最後の方で言葉が詰まるんだ。その声を聴くだけで、何かあるようにも思えてしまうのだが……。
「まあ、それは置いといて――食べ終わったら、そのままプールに行くの?」
ちょっと落ち込んでいる沙耶ちゃんに質問する。
「うん。このままプールに直行するよ。あと――言い忘れていたけど、私の水泳部仲間二人来るから」
「――え? 沙耶ちゃんの仲間……?」
「うん。あぁ、友達が来るっていた方が分かりいいかな?」
「いや、そうじゃなくて――私、どう接すれば――」
沙耶ちゃんの友達とはいえ、私の事を知らない人と遊びに行くなんて、気まずくなりそうな予感しかしないんですが……。
「あぁ、大丈夫。私からアーシェちゃんの事、少しだけ伝えているから」
なるほど、少しだけならあ――――んな訳ないだろうが!
「ちょ……私の事、どういう風に教えたの!?」
「うーん、まあ普通に大人しい外国人の美少女と、胸が大きいの――」
「わーわーッ! む、胸が大きいって! 私そこまで大きくないよおおっ!!」
「ほほぅ……じゃあ、こんなタユタユな胸はなにかなぁー?」
沙耶ちゃんは妬ましそうに言って、私の胸を掴み始め――のちにつねり始めた。
「ふにゃぅ……!? な、な、な、なッ! 何をするんですかぁぁッ!」
「なぬぅ!! こ、これは……無駄な駄肉の感触と思わせてのスタイルのいい胸をしている……? おまけに胸を持ち上げると、そんなに重くない……。普通ならCカップぐらいの重さなのに、これは次ランクのDカップかッ!?」
ちょ……沙耶ちゃんが、変な実況を始めたんですけどぉ! タユタユな胸ってなにぃっ!?
「ちょ、沙耶ちゃん……おっぱい抓らないでぇ……」
痛い痛い……これは流石に痛い。お肉が引きちぎられそうなんですけど……。
「あ――ご、ごめん! 痛かった?」
「ちょっとですけど……大丈夫です」
「まあ、ごほん……大丈夫だってすぐに馴染むからさ」
なんて沙耶ちゃんが言っているけど、馴染むかなぁ……この世界の国の人ってネットの住民曰く、今の若い人って外国人って言葉が通じないという理由で疎遠しているらしい。
「馴染むかな……ちょっと不安」
外国人の容姿している私が、上手く馴染めるのか……。最近ゲームにはまってから、コミュ症っぽくなってきたのもあるし……一体どう接すればいいんだろう。
……そうだ、アスタリア王国の国民と交流した時を思い出そう。あの時、私とほぼ同い年の外見の女の子と一緒に話し合った出来事を――
「大丈夫だって、すぐに馴染むよ!」
なんて考え事をしていると、沙耶ちゃんが安心させるような言葉をかけていた。
「ん――――あ、う、うん。だよね!」
「何か考え事でもしていたの?」
「あ、いや……大丈夫、何でもない!」
「ふーん」とにやにやした表情で頷く。な、なにを根拠ににやにやしているの!?
「まあいいわ。食事後の休みをこの辺で終わりにして、そろそろプールに行きましょうか」
「ですね」
「それじゃ、食器を片付けますか」
私はこくりと頷いた後、軽く荷物の整理をやって、お盆を持ちうどん屋の返却口に食器を返した。次いで沙耶ちゃんも食器を返し終えた。
「そういえば、そのプールってどうやっていくつもりなの?」
私は沙耶ちゃんに質問する。まさか歩いていくわけではないだろうな?
「んーと、プールは少し離れた位置にあるんだけど……ちょっと待ってね」
スマホを取り出して、プールの公式サイトのアクセスを確認し始める。
「えっとね……上御駅から一五分おきにシャトルバスが出ているみたい。今は一二時半だから――次は一二時四十五分に出るって」
「じゃあ、それに乗ればいいわけだね」
「だね。じゃあ、それに乗りましょう」
そうと決まれば、早速駅の方へ戻ろう。私たちはデパートを出て、駅の方へ向かった。
「あでぃ……猛暑だぁ……」
駅の方に着き、日陰になっている場所でバスを待つ。けど日陰の場所も、猛暑によって熱されたアスファルトによって更に暑さが酷くなっていた。この環境下でバスを待たなければいけないのか……?
「そういうなよぉ……アーシェちゃん。私だって、暑いの我慢しているんだから……」
「だってぇ……暑いもんは暑いんだもん……」
「少しは外に出なさいよ……ずっとゲームばかりしないで」
「えぇ……日焼けしたくない」
「クリーム塗りなさいよ……全く、どんだけ家に出たくないのよ……」
やれやれと呆れた表情で呟く沙耶ちゃん。
「うっさい……私はゲームがあれば他なんてどーでもいいの」
「ニートだ、ニートの考え方だ……」
沙耶ちゃんが軽い悪口を言った途端、プール行きのシャトルバスが到着した。
すぐさま、バスが止まっている場所まで移動してバスに乗り込む。ふぅ……バスの中、クーラー効いていて気持ちいい。本当に外の熱気が嘘みたいだ。
「ふぅ……涼しい」
沙耶ちゃんはパタパタと服を煽って、体にひんやりした空気を入れ込む。
「沙耶ちゃん、プールに着いたら何するの?」
「うーん……まあ、ナイトまで遊んで帰るパターンかな?」
「ナイト――え、夜まで遊ぶ?」
「うん、あそこのリゾートプールは八月だけ二十四時間やっているんだよ」
夜まで遊ぶ……。くそぅ……夜から新イベントが始まるのに、間に合うのか? あぁ……このゲームしたいから早く帰りたいって言いたいけど、「まーたゲームなんかやってぇー」って蔑んだ目で見られえるのも嫌だあぁ……。
「あーうん。だねぇ……夜までちゃんとあそぼーね……」
少し気が乗らない様子で答えてしまった。
「だね、たくさん遊びましょう!」
……あれ、なんか普通の反応だ。何か言われると思ったけど……まあいいか。深く突っ込まないようにしておこう。
――ぴーんぽんと着信音が響いた。
「あ、友達からだ」
着信音は沙耶ちゃんのスマホらしい。スマホのロックを解除してラインを開く。
「――ん、了解っと」
「誰からですか?」
「例の友達。十三時に現地に来るって」
私に伝えるとともにスマホをポケットに突っ込んだ。
「お待たせしました。プール行き、発車します」
運転手がそうアナウンスするとドアが閉まり、プール向けて出発した。川べりに沿って進んでいくと、川の反対側のドーム型のリゾートプールが見えてきた。
「うわぁーでかーい!」
私は思わず驚きの声を上げた。田舎とは思えない巨大施設が、田んぼに囲まれている場所に立っているなんてすごいな。
「――私、ここ来るの初めてなんだよね」
「え、そうなんですか?」
「何年か前に建ったんだけど、忙しくて来られる暇なかったんだよね」
「へぇーなんでー?」
「それはね―――――」
なんて行けなかった理由を聞いていると、いつの間にかリゾートプールに到着した。
「ご到着しました。お気をつけてお降りください」
運転手がアナウンスすると、ぷしゅーとドアが開いた。
「行こう、アーシェちゃん」
沙耶ちゃんが手を差し伸べた。なんで差し伸べたのか分からないけど、私は「はい」と返事をして彼女の手を取ってバスから降りた。
※
――まだ私はこの時、ネトゲで起こった出来事を再び起こるなんて知る由もない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます