第6話「ずっとこの3人で…」


「赤禍狼! 格好いい!! おじちゃんが付けたの!?」


 ムグルが自信満々に言った言葉に真っ先に反応したのは何故か目をキラキラさせるラウ。


 これもいつもの事なので「しょうが無いな~」といった感じのどこか呆れを含んだ笑みを浮かべた。


 ラウはなにか気に入った物や気になった事には目をキラキラさせて好奇心を爆発させることがある。それを知っているからこそのミリアとクアンの態度であった。


 ムグルはそんな目をキラキラさせたラウに申し訳なく思いながら言葉を発する。


「いや、実は儂の祖父があまり名前に頓着しない性格での。聞いた話じゃ、その大剣に『赤いの』とか『無口のやつ』だの言って怒らせたようで吹っ飛ばされてたらしいんじゃ。そんなときに壁にその剣自身が書いたのが『赤禍狼』じゃったそうじゃ。現に実家の倉庫にでかでかと書かれておるからの。なんとも言えない顔をしておるな? これを聞いた人は皆、作り話と思って笑うがな! グハハハッ」


 確かにいきなり聞かされたなら、作り話だと感じるだろう。


 武器が自意識を持って勝手に行動するなど聞いた事も無いからだ。


 不可解な事が日常茶飯事で起きるこの世の中で、中々に面白い話に思える。


「魔剣ってこっちの言ってること分かるの!?」

「ん? 知らんじゃったか? 魔剣に限らず魔装全部が出来るんじゃないかとは言われておるぞ? なにせ今発見されてる魔銃等の武器も四つとも意思疎通できるみたいじゃからな。」

「へぇ~」


 ラウが一人で感心しているところに今度はミリアが吃驚びっくりしたように質問する。


「剣自身が勝手に動くなんてことあるんですか!?」

「ああ。儂も親父に聞いた話だと、魔装は周囲や所有者から魔素を取り込んで動くらしいんじゃ。同様の現象があの気に入らない相手を吹っ飛ばすやつだという話なんじゃが、親父はこうも言っておった。真実を知ったとき奴等が来るとな。」

『奴等??』


 ムグルが一息置き、厳かな声を持って語ったその言葉は容易に空気を一段重たくした。

 先程の浮ついた空気を一気に冷やした言葉は単なる噂では無く、決定事項だとでも言いたげな雰囲気を醸し出していた。


「そればっかしは儂にも分からん。なにせ親父は病で亡くなってしまったしのう。だが、その時の親父は真に迫っておった」

「え、でもそれが事実ならなんでそんな危険な剣を十一歳の少女に上げるんですか?」

「まぁ、流石にそれは儂も思ったんじゃが、まあ、クアンなら大丈夫だろうと言うのが一つ。冒険者をやっている時点で自分の身は自分で守らなくちゃいけんってのが二つ。最後に、その剣がクアンに付いて行く気満々じゃからかの。もし儂が引き離そうとしたら儂が殺されてしまうわい! がはははは」


 そう言って、ムグルは笑った。



 それからムグルとクアンが剣の特性やお金の支払いについて話し合っているとき、ラウとミリアは将来のことについて話していた。


「ミリアちゃん! クアンの新武器祝いと将来一緒に冒険しよう! って事で皆で一緒のアクセサリーみたいなの買わない? 駄目かな?」

「ふふっ、そんな心配しなくてもいいよ。でも冒険者になるんだったら首にかけれる方が邪魔にならなくていいんじゃない?」

「確かに! じゃあどんなのが良いかな?」


 辺りには魔法の込められた指輪であろう物や腕輪などがあるが、値段を見る限り今の私達では手を出す事が出来ない。


 特に魔法が付与された武器は高値が付く。


 付与された魔法によって値段はまちまちだが、最高でも百万を超える物もあるみたいだ。


 近接冒険者や魔法使いが武器に魔法を付与する事はあるが、あくまでもそれは一時的なものであり、一度の付与で長く武器に魔法を付ける事は錬金術や鍛冶師にしか出来ないと言われている。


 だからこそあり得ない程高価になるのだが、だからと言っても高すぎた。


「ん~、できればみんなが買ったっていう意識がほしいよね」

「じゃあこの小さい魔石を皆でお金出して買って三等分に加工して貰うのはどうかな!」


 ラウが手に取ったのは縦長で直径二十cm程、光に当てると海色に透けて見える魔石。


 三等分してそこから更に研磨するとなるとかなり小さくなるだろう。


 こればかりは仕方無いが、それは今後に託すしかあるまい。


 ミリアが賛成する様に笑みを浮かべた。


「良いと思うよ! じゃあクアンが話終わったら聞いてみようか?」

「そうだね!  ん? あれ……? 気のせいかな……?」


 すると、突如ラウが不意に武器屋の外を眺め、思案顔を作った。

 その後、不思議そうに首を傾げる。


「ラウ? どうしたの?」

「いや、なんか見られてる様な視線を感じたような気がしたんだけど……」

「ラウは領主の娘だから、珍しくて見てた誰かの視線を感じたとか?」

「そうなのかなぁ……。それにしては……もっとこう……」


 腕を組み、口をとんがらせて私は納得してません! と言いたいかの様にう〜う〜と唸るラウ。そんな幼馴染の頭を苦笑しながらもゆっくりと優しく撫でるミリア。


 二人でいる時はラウが突っ走り、それをサポートするのがミリアの仕事と言ってもいいだろう。もはや、数年も一緒にいるからこそ、ラウの境遇も周囲の印象も良く理解していた。


 ムグルと話が終わったクアンがラウ達の元へ戻ってきた。


「あら、ラウどうしたの? そんな面白い顔して?」

「なぁっ!? クアン、ひどいよ~! ね、ミリアちゃん? 私変な顔してなかったよね?」

「ん~、ごめんね。クアンちゃんの言う通り、変な顔はしてなかったけど面白い顔はしてたかな?」


 「ふふっ」と口元に片手を当て、可笑しそうに笑みを浮かべる。


 まさに、今のラウの顔に効果音をつけるとガ~ン! という音がピッタリ合うかの様な顔をしていた。


 そのあと遠い目をしながら「別に私は変な顔してないもん……、面白い顔もしてないもん……」などとブツブツ呟いている。


「それでミリア、二人で何話してたの?」

「ラウが三人の共通のアクセサリーを作らないか? って話をしてたんだよ」


 そう言ってラウが持っていた魔石を見せた。


「そうなの? じゃあどうしましょうか? 街をあちこち回ってみる?」


 キミウには南方大門と呼ばれる都市の入り口から領主の屋敷へと続く大通りに掛けて露店が並び、活気に満ち溢れている。


 総菜屋や服屋、武器屋に怪しげな商店。


 大通りを外れた裏路地にひっそりと佇む昔ながらの宿屋に飲み屋など本当に様々な店があるのだ。


「私は、この魔石を三等分して戦闘時に邪魔にならないように首に掛けられる感じにしないかって言ったんだけど、どうかな?」

「そうね。確かに戦闘中だと激しく動き回るから首に掛けて服の中に入れておけば邪魔にならなそうだし、それでいいんじゃないかしら?」


 後方支援などを主に行う魔法使いならともかく、近接の剣士などには邪魔になる可能性があるだろう。実際、戦闘中にアクセサリーが邪魔で死んでしまっては元も子もない。


「でも、小さいと加工したら粒ぐらいなっちゃうしどうしよう……。私とラウもそこまでお金持って来てないからって、クアンに出してもらっちゃ意味ないし……」


 魔石は小さな物は比較的安価で買えるが、取れた魔物の種類、魔石の輝き、色、艶などによって値段が跳ね上がる。


 そんな時、こっそり会話を聞いていたムグルが「なんだ、魔石を買うのか?」と言って会話に入ってきた。


 その間にクアンがラウを元に戻しておく。


「ムグルのおじちゃん、手頃に手に入るそこそこ大きい魔石ってある?」

「ウチに置いてある魔石自体は安価なんだが、基本的に特殊な加工するからその分高くなるんだよな」


 魔石の用途は様々だ。

 アクセサリーや魔法を付与して日常生活に役立つ火石にしたり、はたまた貴族内ではその美しさからコレクションしたりと。


「ん〜、じゃあ加工してないのは? それはそれで後々見たときこの時のこと思い出せるし! どうかな?」

「ええ、いいわよ」

「ふふっ、ラウらしいね」


 ラウらしいと二人は笑うが、二人もその案に同意しているのだから似た者同士と言える。


「ちなみに今、ラウとミリアはいくらぐらい持っているの?」

「私? 千クォーツ! ミリアちゃんは?」

「私はね、財布に入ってるの全部で八百五十四クォーツかな」

「じゃあ全員合わせて二千百クォーツで買いましょうか」

「魔石を入れる容器も買わなくちゃいけないし……よし皆!」


 ラウの一言でこの後言う言葉を察した二人。

 そして、せ〜の! でムグルに向けて笑顔を向け、


『ムグルのおじちゃん! まけて!』

「がははっ! そんなに、堂々と言うとは覚悟あるな! よし、気に入った! 嬢ちゃん達の勇気に免じて負けてやるわ!!」

『やった!』

「がははッ! んじゃあ、ここに出してない物も後ろにあるからそれも持って来ちゃるわい!」


 孫娘を見るような優しい瞳で愉快そうに笑ったムグルは、奥の倉庫へとノシノシ歩いて行った。



 ムガルが持ってくるまで色々な武器見てくる! と言ってラウは二階へと続く階段を駆け上って行ってしまった。


 そんなお転婆娘を追い、二階へと一歩踏み出したミリアをクアンは呼び止めた。


 ん? と長い金髪を煌めかせ振り返る少女へと赤髪の少女はある提案を口にする。


「ミリア、ちょっと明日付き合ってもらえない?」

「明日? いいよ。ラウにも後で言おうか?」

「いえ、ラウ抜きで付き合って欲しいのよ」

「ラウ抜きで?」

「えぇ。そろそろラウの誕生日でしょう? だから、その……誕生日に私とミリアでサプライズプレゼントをして用意しようかなと思ってね」


 言い慣れて無い言葉を照れくさそうに、頬と耳を赤らめて答える。


 恥ずかしさのあまり、そっぽを向いてはいるが心配なのかチラチラと此方を見る彼女がひどく愛おしく思えた。


 ミリアは安心させるように笑顔を浮かべる。


「うん、いいね。ラウ喜ぶよ! 明日ね、分かった♪」

「じゃあ明日、正午に噴水広場で待ち合わせでいいかしら?」

「うん! ラウが喜ぶ物選ばないとね!」

「ええ、そうね」


 二人でラウに隠し事をするのは気が引けるが、同時にラウの驚く顔を見る事が出来るだろうかという冒険心にも似た感情が渦巻いていた。


 そんな二人はラウがいる二階へ階段を上って行く。



 少し経ってから、ムグルが持って来たのを機に三人は一階に降りてきた。


 ムグルが持って来た、網目状になった木箱の中には加工前の少し濁ったさまざまな色の魔石があった。


「わぁ〜、沢山種類がある! でもこれがキラキラ輝く宝石みたいになるの?」

「ああ、特にこの紅いのはそりゃあ綺麗に輝くが他のと比べると値段が高いな」

「ラウ、ミリアどうする?」

「ん〜、皆んな何の色がいい?」

「私はラウがリーダーが良いと思うから、ラウの瞳に似てる蒼の魔石とかどうかな? なんて思うんだけど」


 え? 私がリーダーなの!? と驚くラウを放置して共犯の二人はどんどん話を進めていく。


「良いんじゃないかしら。だとすると……この魔石なんてどうかしら?」


 そう言って、クアンが手に取ったのは加工前で少し濁っているが、薄い蒼色が特徴の魔石。


 魔石の色でその魔石の持ち主の魔物が住んでいた場所が分かると言われている。


 赤なら火山地帯がある南方地帯。


 青ならキミウの周囲を囲む海に生息する魔物。


 緑なら森の中に住む草食の魔物など。


 他にも黄や茶、黒に珍しいのだと白等もある。


「綺麗……この状態でも綺麗なのに更に綺麗になるの!?」

「おう、そうだぞ。この魔石達を削っていくと凹凸や汚れが取れるから、宝石に負けない程に輝くんじゃ!」

「でも、私達でも安価で買えるならなんで貴族が買い占めたりしないの?」

「確かにそれは当然の疑問だ」


 ラウが疑問に思った言葉にムグルは愉快そうに笑みを浮かべ、


「それはな、魔石よりも宝石の方が貴族にとっては都合が良いのさ。じゃあここで問題だ。何で貴族は魔石を買わないんだ?」


 と不意に問題を出す。


「うへぇ〜、問題?」


 外に出てまでまた勉強か、とそれはそれは嫌な顔。

 ミリアとクアンは答えが分かってるからか、頑張ってと言って答えを教えてくれない。


「ん〜、貴族にとって都合が良いんでしょ? ん〜?」


 ん〜ん〜と眉をへの字に曲げて唸りながら、小さな身体をフラフラと揺らす。


「あっ、分かった! 貴族はお金が沢山あるから!」

「ん〜惜しい、かの?」

「え〜違うの?」

「ラウ、じゃあお金があると何が出来る?」


 クアンが助け舟を出した。

 その言葉を受けたラウはお金、お金とブツブツ呟いているが、まだ答えには届きそうになさそうなのでミリアも続いて助け舟を出す。


「じゃあラウ、こう考えてみて。私達はお金があったら店からお肉や野菜を買うけど、お金が無かったら自力で野菜を育てたりする。じゃあ貴族にそれを当てはめたら?」

「あっ! お金があると宝石を買うけど、お金が無いと魔石を買うの?」

「正解じゃ! もう少し詳しく言うと貴族は市民に比べて莫大な資金があるからな。だからこそ、火山地帯や洞窟などの土の中で見つけにくい、掘れたとしても目的の物かも分からない宝石を買うのじゃ。その方が希少価値が高いから自然と値段が高いからの」


 確かに危険を冒して火山地帯に行っても目的の宝石が取らなければ大損ものだろう。


「それに比べ魔石は気候、住んでいる土地によって色が変化すると言う事は分かっておるからの。魔石の方が冒険者を雇い、狩れば良いのだから希少価値は低いと考えられるんじゃ」

「へ〜。じゃあ、貴族が宝石を持ってたらそれだけ財産があるって事?」

「簡単に言えばそうね。他にも要素はあるんだけど、夜会などの貴族間の会合で手っ取り早く家の権力や財力を見せられるのが宝石などの装飾品だからね」

「と言うわけじゃ! 正解した嬢ちゃんに研磨された魔石を見しちゃるぞ!」


 そう言って二つ持ってきていたもう一つの木箱を開けて見せた。


 色とりどりの魔石が木箱に設けられた各スペースに入っており、ラウには宝石箱と同様に思えた。

 焚火の上で燃え盛るような緋、桶の中に入った水のように透き通る蒼、新緑の風に揺れる若葉のような翠。


 魔物は怖いと言われるが、それでもその魔物からこんなにも綺麗な物が取れるんだと内心驚きを隠せない。


「わあ~! 綺麗!」

「ちなみに宝石みたいに綺麗だからって、魔石一つ一つに意味がつけられているのよ」

「じゃあこの魔石はなんて言うの?」

「この魔石は名前はアクアライト。新海に住む水龍から取れた魔石で意味が友情と幸運をもたらす聖なる石と言われているわ」

「「友情と幸運!」」


 ムグルは椅子に座り、孫の様子を見るかのように見つめていた。

 その後もラウ達が魔石を指さしてはクアンがそれに答えるというのが続いていく。


 そうして、しばらくたった頃――――


「どうやら決まった様じゃの。既製品を買っていくか? それとも新しく作るか?」


 ラウが両手に大事そうに抱えた魔石をムグルへと渡す。


「新たらしく作って! あ、でも入れる容器を先に買ってくる!」

「じゃあ後で容器を持って来てくれ。その容器にあるように作ってやるわい!」

「分かった! じゃあ、行ってくる! クアン、ミリアちゃん行くよ!」

「はいはい」

「待ってよ、ラウ~」


 活発なラウが一番槍の如く飛び出して行き、その後に二人が付いていく。

 楽しそうな彼女達を見るとふと自分の幼少期を思い出すムグルだった。


____________________


 大通りから一本外れた薄暗い道路を通ったところに一つの三階建ての古い建物がある。

 その建物内の過度な装飾がなされた部屋には、三つの影があった。


 一人目はラウに吹っ飛ばされたチャラ男であるサマギマ。

 二人目はブクブクと太った黒ずくめの男。

 三人目はその男を守護するかのするかの様に背後に立つ目つきが鋭い痩せた男。


 サマギマが黒づくめの男に話しかける。


「いつになったらやるんだ! あれから何日待ったと思ってるんだ!」


 その声は緊張と興奮で揺れており、目は血走っている。


「まぁ、待て待て。さっきこっそり部下が見てきたが、あれは極上の獲物だ。しかも、アレの側には領主の娘がへばり付いてやがる。下手に動けばこちらの計画がバレちまう。それは絶対避けなくちゃあならん」


 男は泥の様にへばり付くようなねちっこい声を出しながら、ゲヒャゲヒャと笑い声にならない声を上げた。


「だが、あいつらに俺はあんな屈辱を受けさせられた。俺が絶対あいつらを地獄におとしてやらなくちゃ気が済まないんだよ!」

「だったら一人で行くか? どうせ、また返り討ちにあって終わりだろうさ。だったらお前はこっちの言う事を聞いてりゃあ良いんだよ!」


 ゲヒャゲヒャと笑う声を引っ込め、顔を真っ赤に染めて怒鳴り散らす。

 突然の怒気に思わず唾を飲んだサマギマは吃りながらも声を何とか発する。


「あ……、ああ、そうだったな」

「そう言えば、近々あの行事があったな。こういう作戦はどうだ?」


 脂でギタギタの手を擦り合わせ、提案されたそれはサマギマの考えを反映した物だと言えた。

 だが、それは一つ間違えたら領主にバレる可能性も含まれている事に気が付いていない。


「ふははっ。ああ、それはいいな! なら、俺達はさっき言われた通りに動けば良いんだな?」

「ああ。そしたらこの作戦は完璧に上手くいく」

「それなら任せてくれ。完璧にやってやるさ」


 そう言ってサマギマと黒ずくめの男は作戦の全容と今後について長く話し合った。



 サマギマが帰った頃、ずっと黙っていた目つきの鋭い男が黒ずくめの男に話しかけた。


「良かったのですか? あんな使えなさそうな男達で」

「構わん。どうやらアレのお友達に恨みがあるそうだからな。充分我らの計画の為に踊って貰わなくてはな」

「アレはそんなに良かったのですか?」

「ふん、貴様は知らなくてもいい事だが、ついてだ、教えてやる。部下の話を聞いて確信した。アレは必ず救世主になり得るさ。近々、星神が回帰するらしいからな。この作戦全体が終了したらこの世界はようやく我らの国の物になる。そのためにまだまだ手伝って貰うぞ」

「了解しました。我らの忠誠をここに。————グリムス様」

「ふふ、ふはははっ!」


 その夜には笑うかのように微笑む三日月が浮かんでいた。

 まるで誰かがこれからの事を思い愉悦に浸るかの様に。

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