第3話 夏思いが咲く
夏の思い出が咲く
伸びて伸びて空高く
たくさんつぼみをつけている
いつもの散歩道、いつのまにか伸びていたひまわりに背を越されていた。まだ咲かない、この花が咲くまであと何回この道を通るだろうか。
◯◯◯◯◯◯
願いでも祈りでもない、私の思い。こんな思いを抱えたままで、どうやって生きたらいいのかわからなかった。学生時代の私の自殺願望は、淡い思いだった。落ちたらパァンってなるのかなあとか。教室では窓際で寝てばかりいて、周りのみんなに興味がなかった。
強い思いで誰かの幸せを願って、祈って、そうして生きている人を知るたびにこんな自分が生きていていいのかと思うことがあった。そうして不思議や気味悪いものに惹かれては、自分を否定してばかりいた。わたしが飛び降りようと思ったのは有名な観光名所で、平日や天気が悪いと人通りが少ないことがある。雨は予報通り降ってきた、豪雨で飛び降りようと思っていたところには行けなかった。人が立っていた。
「お嬢ちゃん、ほら傘あげるから帰りな」
「…はい」
おじさんの傘を指しながら来た道を戻った、数少ない観光客も慌てて駅に戻ってきていた。
「あ」
さっきの短冊が落ちている。笹は大きく揺れていくつかの願いの書かれた短冊が飛んでしまったようだ。駅員さんが慌ててしまっていた。傘は駅にいた人にあげた。トボトボと帰ってきた私はありったけの思いをノートにかきなぐった。
そのノートが出てきて、また掃除は止まる。
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