9.嘘つき

それでも会社的にも大チャンスとなるクライアントからの相談事に、周りが一気に自分の仕事に注目し始めた。


「絶対にものにしろよ」と上層部からも鼓舞される。



純粋に


「担当者の力になりたい」


という気持ちは心の隅に追いやって、



営業として求められる

「どうしたら確実にものにできるか」というフィルターが先を行った。




結果的には、社内の改革のためというクライアントの意に沿った行動をとっているのだから、最終成果は変わらないのかもしれない。



それでも自分の気持ちを追いやっていることで、



自分が「嘘つき」になった気がした。





いくら最終的にはクライアントのためになる行動を起こしても、担当者の信頼を裏切っている気がしてしょうがなかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

仮面と手を繋いだその先に見えるもの 高遠 そら @nebosuke_

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ