第18話 さてさてお次は?
「ごちそうさまー。あー、食べた食べた」
「さすがおそばさっぱりいけましたわ。すごい量食べちゃった」
双子の二人は、俺の打ったそばに満足したようでお腹をさすっている。
俺はその様子を見て非常に満足だ。
だが、しかし。
これで終わりじゃないんだよなぁ。
「二人ともまだ食べられるか?」
「えっ」
二人の表情がちょっと固まる。ほう、それほどまで満腹になるまで俺のそばに舌鼓を打ってくれたのだな。それは本当に満足だ。
でもな。そんな表情をしなくても大丈夫だ、なぜなら次に俺が出すのは……
「甘いもの、ならどうだ?」
ヒメとマキの目が輝く。ふむ、二人とも甘いもの好きなんだな。女の子だなぁ。
いや、ノーマルな女の子はいないんだけど。
「クル、頼む」
「かしこまりました!」
俺たちに背中を向けるクル。そのつるりとした背中がぱかんと開き、そこには見た目鮮やかなお手製ケーキが保管されていた。冷蔵機能素晴らしい!
「ミルクレープに、缶詰フルーツのせホットケーキ!」
もともとあった粉にロボット用の卵・クリームなどのチューブ、缶詰のフルーツ……などなどで出来上がったこの2品。
味見してみた感じ絶品。
「どうだ。パーティーと言えばやっぱりケーキだろ?」
俺は小皿に2人の分のケーキをそれぞれとりわけながら言う。
「イチ兄、わかってるね! つまんないパーティーの中でケーキはやっぱり楽しみだったよいつも」
「女の子の甘いもの好きをしっかり把握してるなんて、お兄様なかなかやりますね」
「お褒め頂き幸いです。さ、食べて食べて!」
俺は二人に食を促す。
味わってほしい、この幸福を。
「このホットケーキ、とてもしっかりした生地が缶詰のシロップを吸って、絶妙な甘さになってる! 缶詰フルーツも食べやすくて触感が気持ちいいくらいにカットされてて、お口の中が飽きない!」
「ミルクレープは一層一層に、幸せが詰まってる味がする。薄い生地が重なることで口の中でクレープがほどけてやさしさを残して消えていくよ……。料理ロボ用のクリームがまさかこんなにおいしくなるなんて。いくらでも食べれそうだよ、イチ兄」
ヒメにマキ、食レポありがとう。
まあとりあえず絶賛ってことだな。
「そうだろう、そうだろう。俺、料理には自信があるんだ」
立ち上がって切り分けていた俺だったが、再びソファの真ん中、二人の間にどすっと座る。さて、俺も食べるか……と思った矢先、俺は両側から距離を詰められた。
「お兄様、これだけ料理が上手かったら、料理人になってもよかったのでは?」
体をぴったりとくっつけ、俺の太ももに手を置いて顔を覗き込んでくるヒメ。
かわいい、ちょっとドキッとする。
「料理人なんかより、うちのお婿さんになるんだよね、イチ兄は」
そう言って俺の肩をぐっと引き寄せてくるマキ。
きゃっ、イケメンの動作だ!
俺の体が遠のき、ヒメは不服そうな顔をしている。
「今日はしばらくマキがお兄様を独占していたんだから、私に譲ってくれてもいいんじゃない?」
ヒメの言葉に、マキはふんっと息を吐いて、さらに俺を引き寄せる。
「その前はヒメが1週間もイチ兄を独占してただろ? 今度は僕が1週間イチ兄と一緒にいる番だ」
「それは、マキがイチ兄に避けられてたせいでしょ?」
「今日俺がイチ兄と一緒にいたのは、ヒメが自分で不機嫌になってたせいだ」
おうおう、せっかくいい雰囲気になったのに、俺をめぐって喧嘩が始まってしまったぜ。ふっ、罪な男だ。
とまあ、浸るのはこれくらいにして、どうしたもんかなぁ。
ヒメを俺に惚れさせるというとりあえずの目標はあるんだが、最終的には俺はどっちかを跡継ぎ&自分の結婚相手に選ばなくてはならない。
まあ、そうだ、あれだな。
いろいろ急展開すぎて追い付いてなかったが、「お互いを知る」ってことが大事なんじゃなかろうか。
「2人とも聞いてほしい」
俺は双子に向けて提案をする。
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