24話 待ち人。
洗濯機が洗濯物をぐるぐる。
せっせと働いている。
この時間が好きだ。
揺れる洗濯機に背中をつけて座り込み
本を読んだりスマホをいじったり。
かなり揺れるがそれがいい。
私の貴重なリラックスタイム。
洗濯機が働いている間、私は休憩。
洗濯・脱水が終われば交代。
私は洗濯物を干す。
私が働いている間、洗濯機は休憩。
なんとなくこの関係がいい。
落ち着く。
しかし
最近、この関係を邪魔するものがいる。
それは洗濯機本人だ。
理由は明白。
揺れがすごい。
おそらく壊れたのだろう。
その揺れは洗濯機の悲鳴に聞こえてくる。
もう働けない、と。
リラックスどころではない。
背中をつけると酔いそうになる。
そろそろ引退の時期らしい。
私が一人暮らしを始めてから
ずっと世話になってきた。
面倒だった家事を憩いの時間に変えてくれた。
今では洗濯が苦じゃない。
ありがとう。
買い替え。
休日に家電量販店へ。
安いが新しい型のものが買えた。
よくわからないが
今使っているものより機能が充実しているらしい。
数日後。
うちに新しい洗濯機がやってきた。
それと同時に古いものは引き取られていった。
新しい洗濯機は使いやすい。
機能にも満足。
見た目もスタイリッシュになった
洗濯する時間も短くなって
揺れも静かになった。
同時に
私のリラックスタイムは減った。
前のやつならもっと休ませてくれたぞ。
そんな八つ当たりをしながら
今日も洗濯をする。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます