14話 おいでやす。
地元から友人がやってくる。
学生時代の友人。三人ほど。
宿は私の家らしい。
らしいと言ったのは、いつもそうだからだ。
私の友人たちはこっちに遊びに来る時、宿をとらない。
私の家でほぼ確定。
正直、宿をとってほしい。
私を含めた四人で寝るにはこの部屋は狭い。
騒ぐと近所からの苦情がくる可能性有り。
帰った後には空き缶やつまみの袋とかの大量の片づけが待っている。
はあ。
考えるだけでため息が出る。
でも。
学生気分を思い出させてくれるいい機会ではある。
宅呑みでバカ騒ぎしながら
気を遣わずにバカ話をする。
地元の友人ならでは。
社会人になった今では中々できないことだ。
だから
一年に何度かあるこのイベントを
楽しみにしている自分がいるのも事実だ。
当日。夕方
台風接近中。
外は雨風がだんだん強くなっている。
彼らの乗る電車は大丈夫だろうか。
来れたとしても
こっちに着くのは夜遅くだろう。
しかし、私は着々と準備を始める。
遅くに着いた彼らのための料理。
たこ焼きパーティーの準備を。
彼らが来るときはいつもこれだ。
どんなに遅くなっても、
準備をしておけばすぐに食べられる。
みんなでつつける。
酒にも合う。
最高のメニューだ。
具材は十分用意した。
タコやウィンナー、チーズ、キムチ等々。
それらは一口大に切ってある。
酒はそれぞれの好みに合わせ幅広いレパートリーを用意。
たこ焼きがなくなったことも考え、つまみの準備もできている。
まさに
準備は万端だ。
彼らの一人から連絡が来た。
『電車乗ったけど、そっちつくのだいぶ遅れそうだわ。着いたら連絡するー。』
やはりか。
予想はしていた。
でも、準備はもうできている。
あとは来れるかどうかだ。
夜も遅くなってきた。
まだ彼らからの連絡はない。
雨風は弱まってきている。
電車は動いているだろう。
来てもいい頃だ。
私のスマホが鳴る。
彼らからだ。
『やっと東京駅着いたよ。』
よし。
まずは安心。
最寄り駅まで迎えに行く準備はできている。
もう一度スマホが鳴る。
『とりあえず今日は宿に直行するわ。明日、東京観光付き合ってなー。おやすみー。』
宿とってるんかーい。
ひとりタコパの始まりだ。
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