第3話:俺があいつであいつが俺で(物理)
慎重に部屋から出ると正澄さんが小紅ちゃんを抱き抱えて立っていた。
「あの変わった衣はどうした?」
「あ、あれは畳んで風呂敷包みの中に入れたよ」
上に開けるべからずって書き置きを残しておいたと言うと正澄さんは思わず笑っていた。
「ぷっ…\\さ、佐吉と、同じことを…しているな…\\」
へーぇ…変わったこともあるもんだなぁ…
と思いながら俺は正澄さんの後を歩いた。
しばらく歩いて、正澄さんの笑いのツボが収まったのを待って聞いた。
「なんで正澄さんと、その佐吉の父上と母上のところに行かないといけないの…?」
すると正澄さんは少し複雑そうな顔をした。
「あ〜…さっきお前が木から落ちたのを父上が母上に言ったのだがな。それが…」
なんか分かったような気がする。
正澄さんが小紅ちゃんをしっかりと抱え直して言った。
「…父上ったら気絶しただけなのに大騒ぎして母上に何を言ったのかすら俺でも分からないんだ」
親父さん何を言ったんだ。
思わずそう思った。
「ただ、母上が佐吉が起き次第会いたいって言うほどだからな…本当に何を言ったんだ…」
そう言って正澄さんは眉根を寄せた。
…俺も頑張ろう。今は颯輝ではなくて佐吉として。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます