第20話ゴブリンの巣攻略ですよ

 ゴブリンの巣の中を進む、洞窟になっているため少し暗めだけど殿下が光を出しているので問題はない、出てきたゴブリンはすぐに倒してるためそろそろ200を越えそうだ。

 ゴブリンも奇襲や罠などを仕掛けたりしているが全部エルナトの【探知】で見つけられるので引っかかるのとなくむしろこっちが奇襲をしてる感じになっている。

 奥に行くにつれゴブリンも色んな種類が混ざり量も増える、ゴブリンメイジなどいたがサクラの前では普通のゴブリンより弱い存在となっていた。

 とはいえ少しでも気は抜けない、昔有名だったAランク冒険者のパーティがゴブリンごときと油断をして全滅して、男は殺され女はゴブリンを産み続けるものとして囚われた、救出した時にはもう遅く廃人となっていたという話をアポットさんから聞いた時には女性陣全員の血の気が引いた。


「それにしてもだいぶ奥まで来たのに終わりが見えませんね」


「いえ、この先がゴールですね、数は200、大きな空間に固まってます」


 エルナトが先のことをみんなに伝える


「200か多すぎるな」


 アポットが顎に手を当てて考える、今まで倒してきた量を一気に相手するのはキツイが


「なら私が動きを止めますよ、半分くらいなら行けます」


 私には広範囲の拘束魔法がある、これでみんなが動けるなら半分でも十分すぎるはずだ。


「じゃあお願いする、クロード!嬢ちゃんを全力で守れ」


「分かった」


「じゃあ行くぞ」


 洞窟の奥に進む

 奥にはエルナトの言う通り大きな空間にこれでもかとゴブリンがいた、1番奥に王冠みたいなものを被った一際大きいゴブリンがいた、恐らくこいつがゴブリンロードだろう


「今だいけ」


 アポットの合図で魔法を放つ


「アクリアさん補助を【ダイヤモンドダスト】【ライトニング】」


 今の自分の限界の魔法が同時に放たれる、ゴブリン共の下半身は凍りつき、上から雷が降り注ぎ直撃する


 ギイイイィ

 ゴブリンの断末魔を合図に一斉に攻め込む


「アスカは広範囲で攻撃、サクラは倒し損ねたやつを倒してくれ、スティングはサクラの援護エイルとエルナトは囚われた人の救出に集中、俺と殿下は救出組の援護に回る、ティナは休め無理はするな」


「子供達に負けてられねぇな、クロードはそのまま嬢ちゃんの守備俺らは他の奴らのサポート、カナリアさんはまぁ自由にしてください」


 フリットとアポットの指示が飛び交う、最前線を進むのはアスカ、サクラ、フリットだ。

 私は今ので少しフラフラしたのでフリットの言葉に甘えて少し休むことにする


「エンチャント【増殖】【爆破】【炎】【拡散】」


「……加速、エンチャント【雷】弐の型【鳴神】」


「第3段階解除、【テンペストソード】」


 アスカが数本の矢を山成に放つと矢が空中で増えゴブリンに雨のように降り注ぐ、刺さると同時に爆発し周囲に炎を撒き散らしさらに爆発が起きる

 サクラも矢が届いてないゴブリンに雷の剣を放つ、ゴブリンは棍棒で防ごうが関係ない、感電して倒れる

 スティングはサクラが倒せなかったゴブリンに攻撃する、風を纏った剣はゴブリンの体を切り刻んで行った。

 私の魔法も含めもう半分以上倒した


『人間共め我々を滅ぼすか』


「へーゴブリンロードて喋るんだ」


 気の抜けた声で感想を述べるアスカ、ゴブリンロードに向かい様子見の矢を放つ


 キン

 矢が何かによって弾かれる


「ふーん防御魔法かそれも上位」


 そうするともう一度矢を放つ


『何度やっても無駄だ』


 パリーン

 防御魔法が破られる、ゴブリンロードは油断をしてたのか矢をモロに喰らう


『ギイイイィ何故だ!』


「何故って普通にエンチャントの効果だけど」


 アスカが矢にエンチャントしたのは2つ【防魔破壊】と


『グハッ貴様何をグッ』


【猛毒】だ、ゴブリンロードは首を抑え、断末魔を上げることなく倒れた。


「あれ?弱、え?」


「皆さん!囚われた人の救出完了しました」


 あっさり倒れたゴブリンロードに戸惑っているとエルナトが救出を完了した報告を受ける


「おーけー、撤退だ!カナリアさんあとは任せます、みんな急げ巻き込まれるぞ」


 みんな急いで撤退する、1番奥にいて遅れたアスカはエイルが回収した。

 私は広い空間から脱出する際すごい寒気に身体を震わせた、周りの空気が変わり凄まじい魔力の流れを感じる、その先には真っ黒い火の玉を持つカナリアの姿があった。


「久々だから洞窟崩れたらごめんね【ブラックライジングサン】」


 カナリア黒い火球がどんどん大きくなり、ゴブリンに飛んでいく残ったゴブリンは焼け焦げ洞窟の地面は溶けた


「凄い……」


 自分が一生使えないであろう火属性の魔法に見惚れる、おそらく極星魔法だろう

 こうしてゴブリンの巣の攻略は終わった。


 ーーーーーーーーーーーーーー


 〜王都〜

 ゴブリンに攫われた女性は50人以上だった、全て救出出来たが中には足や手がない人がいたがここはハートノース家の秘伝で元通りになるとは思う、彼女らは一旦王都で保護された後にハートノース領に送られるらしい、しばらく父は大忙しになるだろう。

 アポットさんの予想通り森の近くの村はゴブリンに襲われ壊滅していた、兵士が出なかったのは夜に襲われたために救助を要求するものがいなかったからだ。

 殿下は王様に報告するためにカナリアさんと一緒に王宮に向かった。

 残った私たちのためにアポットさんが宿を取ってくれた宿に向かった。私たちは宿に着くなり倒すように寝た


「凄い実力を持っていてもやっぱり小さい子供だな」


「そうだな、でも将来が楽しみだ、全員LSランクになりそうだな」


「ああ間違えないな」


 そういいアポット達は私たちを部屋に運んでくれた。


 ―――――――――――――――――


 翌朝

 〜王都冒険者ギルド〜


 目が覚め食事をした後私たちはアポットさん達と別れてギルドに来ていた、なんでもアポットさん達は依頼に行くため街を出ようとしたところでカナリアさんと会いついてきてくれたそうだ、申し訳ないことをしてしまったと思う、1番最後に起きた私のためにアスカとサクラは食堂で待っててくれたので急いで食べてギルドへと向かった。


「今日はカナリアさんと昨日のことについての話だよ」


 チリーン

 ギルドの扉を開ける

 毎回のように厳つい男達がこちらを見る、ただ違うのはこっちを見ながらなんか言ってることだ。


「おいあれが例の」

「ゴブリンの巣に突っ込むバカガキ共」

「ち、正義の味方気取りかよ大した事してないのに」


 なんか凄い言われよう、いつものように帽子を深く被り前を進む、と何かに躓いた。


「きゃ」


「お、ビンゴ、やっぱり女だったか、わりぃわりぃ俺は足が長いもんでなガハハハ」


「おいおいサンスwあんまりゴブリン退治の英雄様を苛めんなよw」


 男達がこちらを見て笑う、私は躓いた時に帽子が取れ顔を見る、目に傷があるスキンヘッドの男と大柄で緑髪の男だ、恐らくサンスと呼ばれたやつはスキンヘッドの男だろうけど今の私にそんな余裕はない


  「お?なんだこいつ震えてるぞ、このサンス様に怖気付いたかw」


「足出しといて何言ってのよ謝りなさいよ」


 アスカは騒ぎを聞きつけこっちに来た、私はアスカの後ろに隠れる


「ち、ガキが、たかがゴブリンごとき退治したからって調子に乗りやがって」


「嬢ちゃんあれかw後ろのお姫様の護衛かwどこの国の姫様だよギルドに護衛付きで来るとかw」


「ティナは事情があるだけ、あんたらに関係ないでしょ、それより謝りなさいよチョロ髭とハゲ」


「んだ?クソガキ殺されたいんか」


 男の声の冷えた声に震えが増す。アスカは私を隠すようにして怒る


「やってみなさいよ、やったら契約違反ギルドの永久追放、まぁまずあんたらはウチには勝てないけど」


「おうおう護衛様がこんな口悪くていいのかw所詮はガキかw目上の奴への言葉も知らねぇんだからなww」


「ガキはまんまんのおっぱいでも吸ってなちゅぱちゅぱってな」


 ワハハハハハハ

 男達の汚い笑い声が響く、周りももっとやれとか言ってる、アスカは目に見えるくらい不快な顔をして武器をだそうとしてる、でも先に私の限界が来ていた。


「やめてください!」


「あ?」


 私は精一杯の声を出す、いくらなんでも許せない


「アスカちゃんは護衛でもなんでもありません私の友達です、あなた達に絡まれてる私を守ってくれただけです」


 1泊置いてさらに大きな声を出し、魔力が漏れる


「私を悪く言うのは構いません!ただ私のことを守ろうとした人達を悪く言うのは私が許さない!」


「おいおいサンスwこいつ出てきた割に震えてるぞw」


「ガキがその震えた体をどうにかしてから言えよ」


 次の瞬間私は男達の足元に魔法陣を作った、ほぼノータイムで、まるであの模擬戦の時のように

 男達の足が凍りつき始める

 気がつくと私は魔力をまとっていた


「なんだ急に足が凍り着いたぞ」


「クソガキ!調子に乗るなよ!殺してやる」


 サンスはティナに向かい剣を投げた、だが剣は泡となって消えた。

 そして


「……おい、今、なんて言った?」


 底冷えする声が男の後ろから聞こえる


「……誰を殺すって?」


 後ろから顔を出したのは桃色の髪の少女ただ剣を男の首に当て目の色を金色に変えていた、何より大量の剣が男達の方を向き囲うように浮いていた。


「……ねぇ早く言ってよ誰を殺すって?」


「あなた達!!やめなさい!!」


 サクラが男の首に当てた剣に少し力を入れたところでカナリアが制止に入った。


「……命拾いしたね、でも次はないよ」


 サクラは指を鳴らすと剣は泡になって消え男達に笑いながら言った、その目は笑ってなかった。


「……ティナ、アスカ大丈夫?怪我ない?」


「え?う、うん怪我はないよ」


「私も大丈夫です、それより」


 私は体を見る、薄く澄んだ青色の魔力が自分を包んでいるのが不思議に感じた。


「……あぁ、無意識?」


「うん……」


「……ならどうしようか」


 サクラは私がいつの間にか纏ってしまった魔力を戻せないのを察して考える


「ねぇある程度は操れるんだよね、まわりに散らせば?」


「あ、そうでした」


 アスカのアドバイス通りまわりに散らして元の状態に戻った。


「無意識とはいえ疲れるこれ」


 ため息をつきカナリアさんの所に謝りに行こうとするとギルドの入口が開き男の人が入ってきた、否、扉を壊して入ってきた。


「おいおい、すげぇー魔力感じたから来てみたけどなんだ?」


 大剣を持った男の第一声にティナは振り向いた。


「お兄ちゃん?」

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