第19話依頼ですよ

 〜王都食事処穴熊〜

 殿下の案内で食事処についた


「おお、殿下久しぶりですな、ゆっくりしてってください」


「久しぶりですクリッタさん、とりあえず森兎のステーキとカラカラキャベツのスープそれにパンを人数分ください」


「おう!少し待っててくれ」


 そう言うと店主は厨房に入った

 私たちは奥の広い席に座る


「殿下、ここでなんか話すのか?」


「そうだね、ギルドのメンバーとなったしこの8人でパーティを組むことになるだろ?そしたらパーティ名が必要なんじゃないかなって、嫌だろせっかく有名になってもクリスタル学園生徒Sクラスって感じは、だから食事でもしながら考えようかなと」


 確かに嫌だ、それに卒業してもそう呼ばれる可能性はあるし私たちの他にも冒険者になった時に間違えられる可能性もある


「そうですね、でもパーティって何人までいいのですか?」


 8人は多い可能性もある、大丈夫なのかな?


「それは確認してあるよ、パーティ人数は最大10人、それ以上だと合同チーム扱いになって報酬は減るらしい」


「なるほど」

 

 殿下によると、合同チームを組むことはそんなにないが、ドラゴンや大型魔獣、大人数での護衛などで組むことはあるという、その際は報酬は山分けだが普通より多く貰える。通常の依頼でチームを組むとすごく減る


「そんなことより名前どうする?」


「そうだね、変にカッコイイとかだと後で嫌な思い出になりそうですしなるべく普通な感じで」


「……ボク達の今の目的を上手く表現出来るのがいいんじゃないか」


「そうですね、経験を積むのが目的ですし」


「んー、いざ考えるとなると難しいね」


 みんなでパーティ名を考えてると料理がだされた


「お待ち、森兎のステーキとカラカラキャベツのスープとパンだ、話し合いなら食べてからでも遅くないゆっくり食べてゆっくり話し合いな」


 出てきた料理を食べる、ステーキは食べやすい大きさにカットされていた、肉は柔らかく美味しい


「美味しいです」


「ええ、こんなに美味しい肉のは初めてです」


「スープも飲みやすい味付けだな美味しい」


 皆それぞれ感想を述べる


「焼くのが難しい森兎をちょうどいい焼き加減になってるそれに味付けはシンプルに塩だけで肉の味をメインにしてる、スープも……」


 約1名スイッチが入ってしまった、これはしばらく帰ってこなさそう


 ―――――――――――――


「「「ごちそうさまでした」」」


 食べ終わると話を再開させる、エイルは店主に色々聞きに行ってるために不在


「どうしよっか」


 みんなが悩む、色々案が出たがどれも微妙なようだ。


「時を歩く者達」

 

 私はなんとなく浮かんだ名前をポツリとつぶやく


「時を歩く者達か」


「はい、色々なことを経験して成長してその時間を歩いていくって感じなんですけどどうでしょう?」


 視線が集中する


「いいね、今までで1番しっくりくる僕はこれでいいと思うよ」

「俺もいいと思う」

「……ボクも」

「ウチも」

「いんじゃないですか程よくカッコイイし」

「いいと思いますよ」

 

「じゃあこれで決まりだね、あとはエイル嬢が帰ってくるのを待とう」


 そういうことで学園Sクラスメンバーで結成されたパーティの名は【時を歩く者達】になった

 しばらくしてエイルが帰ってきてパーティ名を伝えると「いいですね」と言って席に座った


「この後だけど簡単な依頼を受ける?そうなると夜は野宿の可能性はあるよ」


「何事も経験だが初っ端野宿はよくない、どうせパーティ名を登録するために一旦戻るんだしその時考えても遅くはないだろ」

 

「だね、じゃあ一旦ギルドに戻ろうか」

 

 お金を払いギルドに向かった


 〜王都冒険者ギルド〜


 殿下とフリットがパーティ申請を行っている間ボードを見る、今受けれる依頼はそれほど多くため常設依頼や時間が掛かりそうなものしか見つからない


「ゴブリンの討伐に薬草の採取、商人の護衛、ちょっと上のだとシャドウウルフの討伐か」


「……簡単に終わらせるならゴブリンの討伐かな、薬草の採取だと指定されたりして見つけるのに時間がかかったりするから」


「じゃあゴブリン討伐にしようか」


 アスカが依頼を受け付け嬢にだし受注し殿下達が戻ってくるとすぐに出発した。

 ゴブリンがいるのはここから東の森、そこまで離れてないので夜には帰れるはずだ。


 ――――――――――――――


 〜東の森〜



「じゃあスティングと俺が先頭にアスカとエルナトは木の上から、サクラは後ろを警戒しつつ何かあったら前に来てくれ、殿下は真ん中で自由に動いてください、エイルとティナは後ろから魔法で援護、怪我したらすぐに離脱して治療を受けてくれ」


 フリットの指示に従い位置に着く

 でもなんでエルナトとアスカは木の上なんだろと思う、その疑問はゴブリンを見つけてすぐにはれた。


「右前方岩のところにに6体、少し遠いですけど狙えますか?」


「そんな距離余裕よ」


 アスカがエルナトが言った方向に矢を放つ、矢はゴブリンの頭に命中し倒れる、死んでるのを確認するとエルナトは目を瞑り止まる


「この辺りにはもういませんね、次行きましょう」


「了解〜」


 エルナトとアスカは木から木へ移り移動を開始する


「ちょっと待ってよ!回収する私とティナちゃんの身にもなって」


 エイルはゴブリンを収納魔法にしまいながら、先に行く2人に文句を言う


「あはは、ごめんね、これで何体目?」


「えっと21?」


「なんで疑問形で返すのよ……」


「合ってるよティナちゃん」


 だってそんなに真剣に数えてなかったんだもん、それにしても多い

 ゴブリンは繁殖力が高く人間やエルフなどの女を捕まえ犯し増殖する女の敵、小数で動いたりするため基本的に単体ではいない


「まぁいい数ですねそろそろ戻りますか」


「ちょっと待ってください、これはかなり多いですね、多分巣が近くにあります」


 エルナトが木の上から報告する


「何?数は」


「奥まで見えないのでわからないですが多分200~300です」


「多すぎるな、戻って報告しよう」


 フリットは近くの木に魔法陣を描き、私もすぐに行動する


「アクリアさんいいですか」


『はい、なんでしょう』


「ゴブリンの巣を見張ってて貰えますか、何かあったらすぐに報酬してください」


『わかりました』


 アクリアを監視として置き帰還する



 〜王都冒険者ギルドギルドマスター室〜


 受け付けの人に言ったらすぐに案内された。


「報告します、東の森中央付近の岩場にゴブリンの巣を見つけました。数は200~300、多分もう少し多いかもしれません」


「報酬ありがとう、でも東の森は冒険者が頻繁に出入りしてるのにこんな数になるまで巣が見つからないなんておかしいわね」


「普通に探したら見つからない場所にありました、巣は地下にあります」


「なるほど、見つからないわけね、誰の入れ知恵かしら……」


 カナリアは口に手を当てて考えるしばらくするとハッという顔をして放つ


「ゴブリンキング……不味いわね……シャリア!!緊急依頼よすぐに手配して!」


 シャリアと呼ばれた受け付け嬢が急いで1階に戻る


「ゴブリンキングですか……」


 確か王様だよね知識が高かったりするのかな


「えぇ、ゴブリンの王様、仲間のゴブリンに指示をして巣を広げたりする、戦闘能力も高く魔法も使う上位種Aランクにモンスターそれが冒険者に見つけにくいところに巣を作り今まで過ごしてきた、他のよりかなりの強者よ」


「なら僕達も」


「ダメよ、さっきも言ったけどAランクモンスターなのあなた達には早いわ」


 あっさり断れてしまう、でもあそこにはもしかしたら人がいるかもしれない


「でも……」


「でもじゃない、死んだらどうするの」


 殿下が何か言いかけたところでカナリアから凄まじい威圧が放たれる私は少しビクッとしてサクラの後ろに隠れた。

 それでも殿下は続ける


「ゴブリンの巣はエルナトなしじゃ見つかりません、それに巣の近くにマークをしてあるのでフリットが案内できます、ティナ嬢の精霊も監視してます。戦闘能力も知ってるでしょ?大丈夫です危なかったら真っ先に逃げればいいだけですので、撤退時にもサクラ嬢の能力が役に立ちます、だからお願いします」


 殿下は頭を下げた

 カナリアはため息をついて殿下を見るとまたため息して答える


「分かったわ、殿下に頭下げられたらどうしようもないわね、ただし危ないと判断したらすぐに撤退してねいいね!」


「わかりました、ありがとうございます」


「出発は明け方すぐ、巣は洞窟になってるから人数は出せないわ、こっちから現在の最高ランクの冒険者を派遣します、もちろん私も出ますわ」


「「「はい!!」」」


 準備をしに部屋から出ようとしたところで私のペンダントが光出してアクリアが姿を現した


『ティナ様!!ゴブリン達が動きました何人か人間の女がいます』


「な!」


「エイル嬢!!」


「はい!」


「ちょっと待って」


 カナリアの静止を気が付かれずにエイルの元へと集まる、私達はエイルの【転移】を使いエルナトだけ残し消えた。


「あはは……僕だけ案内人ですか」


「笑ってる場合じゃないよすぐに追うから案内して」


「はい」


 ――――――――――――――――――――


 〜東の森中央ゴブリンの巣〜


 暗い中7人の人影が突然現れる


「俺がマーク描いた意味……」


「まあまあ」


「急ごう、手遅れになる前に」


「陣形を変える前線サクラとアスカ、俺とスティングは後ろに周り警戒、殿下とティナは援護、エイルは回復役と囚われた人の救出だ、行くぞ」



 ゴブリンの巣に突入

 入るとすぐに30体程のゴブリンと遭遇する


「多いわね、エンチャント【増殖】【貫通】【誘導】」


「……加速」


「光の玉よ」


 アスカが1本の矢を放つとそれが枝分かれし増えていく、サクラが切り込み倒し損ねたのをアスカが矢で仕留め、2人の死角から攻撃しようとするやつを殿下が攻撃する

 サクラも能力を展開しておりゴブリンが放つ遠距離攻撃を受けつけない


「後ろからも来たぞ」


「人がいますね、倒すのでエイルさんは治療と救出を

 お願いします、2段階解放から行きますエンチャント【風】」


「わかりました」


 後ろからやってきたゴブリンを斬る、ゴブリン達はスティングの動きをを捉えられず倒される


「まだ練習中のだけど、アクリアさん補助お願いします、ターゲットロック、全方位【アイスニードル】」


『軌道を修正、威力を調整します』


 氷の針が前後のゴブリンの頭を貫き、ゴブリン達は血を吐き倒れていく

 その間にエイルは囚われた人の傷を癒し転移をして救出、帰ってくるのを繰り返した。


「入口からこれか先が思いやられるな」


 その後も遭遇しては倒すを繰り返した。

 1時間ぐらいして中央付近と思われる場所にたどり着く


「ここで一旦休憩にするか?思った以上に広いからこのまま進んでも疲れが溜まるだけだ」


「そうだね、特にエイル嬢の負担が大きい休むとしよう」


 ここまで来るまで何十往復してるエイルは息切れを起こしとても辛そうだ。治癒魔法を掛けてあげたりはしてるけどそれでも疲れは取れてない


「すいません私なんかのために」


「謝る必要ないよ、1番仕事してるんだから」


「アクリアさん度々すいません、周囲の警戒お願いします」


『わかりました』


 アクリアは頼み事が多くなったのが嬉しいのか少し笑みを浮かべながら周囲を警戒していた

 エイルはアスカの膝の上に頭を乗せ横になっている


『ティナ様、誰か来ました、人間です』


 アクリアの報告に戦闘態勢に入る

 そこに現れたのは


「あーなーたーたーちー」


 底冷えする声が洞窟に響く、カナリアとエルナトがここまでやってきたみたいだ


「カナリアさん」


「なんで突っ込むの!!何かあったらどうするつもりだったの!!」


 怒声が洞窟内に響く、大きい声に耳を塞いでしまう


「すいません、でも」


「でもじゃない!!しかも転移の能力持ってる子いるって知っていたらならすぐにでも行けたわよ」


「すいません……」


 そこは忘れてたと謝る、だって説明する機会なかったんだもん


「まあまあカナリアさん落ち着いて生きてたしこの子達のおかげで何人も助かってるんだし」


「そうですよここまで来るまでゴブリンとはほとんど会ってないんですしこの子達が強いのは分かります」


「それにしても囚われた女性が多すぎるな、どこか村が襲われたか」


 カナリアの後ろから3人の男達とエルナトが入ってくる、私はすぐにサクラの後ろに隠れる


「あ、あれ?」


 男の1人が私を見て困惑する、そこでサクラが代わりに謝った


「……ごめんなさい、ちょっと訳があって」


「あー、了解、嬢ちゃんごめんよ」


 怯えてる私を見て何かを察したのか少し距離をとる


「と、自己紹介がまだだったな俺はアポット、前衛だよろしく」


 金髪の男性が初めに自己紹介をする

 次に黒髪に髭を生やした男性が続く

 

「俺はザック、同じく前衛だが武器はハンマーだよろしく」


 最後に小さい男が前に出た


「俺はクロード、みんなと違いドワーフだ、タンクをしてるよろしく」


「この人たちは全員SSランク冒険者よ」


 カナリアが補足してこっちの番になる


「ペイナです、前衛兼中衛です」


 殿下から初め、寝てるエイル以外の自己紹介が終わる、そしてここまでの状況とこれからに感じて殿下とフリット、アポットとカナリアで話し合う、アスカとクロードは武器のメンテ、スティングとエルナト、ザックは周囲の警戒、私とサクラ、エイルは休憩

 サクラも常時能力を発動しているために相当疲れている、私も私で魔法を連発していたためか疲労が溜まっていた。

 そして30分程たち集合がかかった


「陣形は変えず前衛アポットさんザックさん、中衛にカナリアさん、後衛にクロードさんが加わる、このまま攻め落とすぞ」


「「「おおー」」」


「この子達ほんとに8歳?周りと違い過ぎない?」


 アポット達は的確に支持するフリットに驚く、ゴブリン洞窟の攻略再開です!

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