第13話入学式ですよ
〜クリスタル学園職員室〜
「ほっほっほ、極星魔法となまた面白い子が入るのう」
長い髭の生えたおじいさんの周りに先生がこれでもかと集まっていた、手に取った学力テストの結果や実技のメモから色々なことを話し合っている。
「何呑気なこと言ってるんですかその子ハートノース家ですよ4柱貴族の1つの」
「しかももう1人の子エンチャントの中で1番難しい雷を使って的を破壊、剣術も元騎士団で5本指に入る強いやつを圧倒したって話じゃないか」
「ダイヤサウス家の子もこの試験の穴をとことん着いてきた」
ティナ、サクラ、アスカの実技を担当していた教師が頭を抱えながら言う。
自分達は幻を見せられたのではないかと思う、あんな小さな子が3つのエンチャント、雷属性の付与、最後には極星魔法と来て教える立場としてほんとにおしえていいのかと考え頭を痛くしていた
「殿下もほぼ完璧でした、これは代表は確定ですな」
「スペードウェスト家の子の剣術は圧倒的でしたな、私が教わりたいくらいですよ」
「クラブイースト家の子は全体的に出来てましたが、なんか周りの子に簡単なアドバイスをしてましたね、受けた子達はみんないい成績を残しております」
「ほっほっほ今年はなかなか楽しみじゃの」
おじいさんは髭を撫でながら資料に目を通していった。
―――――――――――――
入学式前日
「ほぅこれはなかなか可愛いね」
「……うーんでもこれはなんか暗い」
黒色の服を私に見せ違うなという顔をして戻す。
「そうだねぇ、明るめにして露出度上げるなんてどうかな」
「……似合う色はなんだろやっぱり水色か白?いつもはどんなの着てるの?」
サクラは隣にいる黒髪のメイドに普段の服装のことを聞く
「そうですね、お嬢様はお邸にいる時は常に動ける格好でしたしドレスを着てたところは見たことないですね」
「……確かに動きやすそうな服しか見たことない」
「ほんと?基本自由に育ててるって聞いたけどまさかドレス着たことないとは……」
アスカはため息をついて頭を抑えた。
だって好きじゃないもんヒラヒラとかそういうの
「ドレス無いわけではないのですが、ドレスを着させようとしますとすぐに逃げてしまうのです」
「まぁいい機会だしね、あっ、逃げてもウチとサクラちゃんで捕まえるからね」
「……今回は諦めて、さすがにいつもの格好で出るのは令嬢としてはありえないから」
これは死刑宣告ですか、着るのは確定ってやつね、さすがに私もこの2人相手に逃げ切る自信が無い
「うぅ……」
(どうしてこうなった)
―――――――――――
遡ること2時間前
別荘にセナさんが来ていた
「ティナお嬢様、入学式と寮の方へ移る準備は出来てますか」
「あっ、そうだった急がないとですね」
入学してからは別荘ではなく寮生活になる、王都にあるとはいえここから学園はすごく離れている、それを往復するのはちょっと厳しい
「……って言ってもボクはほとんど用意するものない」
トントン
ドアをノックする音がした。
「はーい」
返事をすると扉を勢いよく開けてアスカが入ってくる、なんでもアスカの別荘とここは結構近いらしくすぐに来れるため最近はよく遊びに来ていた。
「やっほーティナちゃん、サクラちゃん、入学式の準備と寮の方へ移る準備出来てる?と初めて見るメイドさんが来てたのか、はじめましてアスカです」
アスカがセナさんと全く同じ内容のセリフにちょっとだけ笑った
「アスカ様、はじめましてメイドのセナですよろしくお願いします」
「……アスカさん、何か用があって来たんじゃないの?」
「ああそうだった、ティナちゃんとサクラちゃん明日どんな格好して入学式出るの?」
そういえば考えてなかった、みんなどうするんだろうやっぱりオシャレにキメるのかな
「……ボクは普段通りの格好かな、アスカさんは?」
「んーウチはドレスかなせっかくの晴れ舞台なんだし飾らないとね」
アスカちゃんはドレスで、サクラちゃんはいつものような格好か、なら
「私もいつもの格好ですかね」
「え」
「……え」
「えっ」
「?」
突然みんながこっちを見たので首を傾げる、一斉に冷たい目線が飛んできた。
「お嬢様、さすがにそれは……」
「……ボクならともかくティナはだめだよ」
「ティナちゃんもう一度聞くけどドレスじゃなくてその格好?」
「え?そうだけど……」
何か悪いことをしたのか、嫌な予感がする、もしかしてダメな感じ?
「セナさん、サクラちゃんこの近くにオススメの場所あるんですけど行きませんか」
「いいですね行きましょう」
「……いいね行こうか」
「えっと私は待ってようかなー」
「「「ティナ(様)が1番来ないとダメでしょ(ですよ)」」」
「は、はい……」
みんなの気迫に負けて大人しくついて行くと高そうな、いや明らかに高いと分かる店についたのだった。
そして今に至る
「うん、この色だねあとはこうしてっと」
「「おおー」」
なんということでしょうさっきまで普段通りの格好だった私がいつの間にか水色のドレスに包まれてるではありませんか、髪はいじらず下ろしたままそこにティアラが乗っている、恥ずかしいいっそ殺してくれ(泣)
「これは確定だな、明日着てくるんだよいいね!」
「はい……」
そんなこんなで長かった1日は終わった、なんか諦めたよ、うぅ……
(……みんなおしゃれするな、ボクも久しぶりにあれ着ようかな)
サクラはみんなに隠れてとあるものを出した
――――――――――――――
入学式当日
宿の前に馬車が止まっている
私は例のドレスに着替えて馬車の前にいる、今はサクラちゃんを待っている
「……お待たせ、久しぶりだから上手く着れなくて何度もやり直しちゃった」
「ううん、待って……ない……よ……、」
びっくり、いつもの格好って言ったサクラちゃんがなんと見たことない格好してるではないですか、いやこの世界では見たことない格好ですね、ん?この世界?何だか頭が混乱するがどこか懐かしい感覚になる
「……ああこれ?、着物ってやつ、どう?」
そう着物、紫色をメインに様々な色の花の模様がある着物だ、すごく可愛い着てみたいな
「可愛い!似合ってるよ」
「……ならよかった」
「お嬢様、そろそろ」
「はい、じゃあ行こうか」
馬車に乗って学園に向かった
―――――――――――――
学園に着いて馬車から降りるなりどよめきが走る
みんなの視線が私やサクラちゃんに集まる
「あれが氷のお姫様か、なんて可愛らしいひとなんだ」
「お隣の方の服見たことありませんわ、美しいですわ」
「一緒馬車から出てくるなんて仲がいいのでしょ、まるで姉妹ですわ」
様々な感想が飛び交う、というか氷のお姫様って何!姉妹見たいは言われ慣れてるからいいとして、それはどういう意味
(うぅ早く抜け出したい……)
慣れない格好だけあってうまく歩けない、かかとの高い靴なんて履くのも初めてだしふらつく
「ひゃっ」
躓いて転びそうになる
「……大丈夫、ティナ?」
すぐにサクラが手を掴み引き寄せる、元々顔のいいサクラが引き寄せたので顔を赤くして心臓をバクバク鳴らせた。
「「「キャーーーー♡」」」
なんか黄色い声が聞こえる、気の所為だろうか
「……危ないからゆっくり進も」
「う、うん」
周りの空気に諦めてゆっくりと会場に向かった。
会場に着くと真っ赤なドレスに包まれたアスカを見つける
「あ、おはよう、ティナちゃんサクラちゃん、いやー凄い人だったね多分1番目立ってたよ」
「おはようございますアスカちゃん、見てたんだったら助けてくださいよ」
「いやー助けたかったけどウチも動けなくてね……」
どこか遠くを見るアスカちゃん
何があったかわからないけど多分私たちと同じ感じだろう、それも囲まれたんだろうなぁ
「やあ、久しぶりだねアスカさん」
「こんなところにいたのかアスカ、ん?そっちの人は?」
「おはようアスカ嬢、3年振りくらいかな」
アスカちゃんと話してると男の子が3人近づいてきた私はびっくりしてサクラちゃんの後ろ隠れてしまう少し震えてる、慣れない格好とはいえこれだけはすごく早かった。
「お久しぶりです、殿下、5歳の誕生日会以来ですね、こちらにいるのはティナとサクラになります。ハートノース家の例の」
「……はじめまして殿下、サクラと申します以後お見知りおきを」
「ああよろしくねサクラ嬢、僕はペイナ・アストセンタ、そんなに畏まらなくていいよ、一緒に学ぶ仲間だし身分なんて関係ないよ」
殿下は手を前に出して握手をした
金髪の美少年、一般女性なら黄色い声が出るほどカッコイイのだろう、けど今の私の目には恐怖の対象として写ってる、ほか2人の男の子も同じ見える
「……すいません殿下私の後ろに隠れているのはティナ、訳あって隠れてる許してくれ」
「ああ、君があの事件の、無理しなくていいよ慣れたら自己紹介してくれればいいから、じゃあこっち先にするか、僕の後ろにいる茶髪のがスティング・スペードウェスト、その隣茶髪でメガネを掛けてるのがフリット・クラブイースト、ほら2人とも自己紹介」
2人に自己紹介するように言うと殿下は1歩下がる
「紹介あったが俺はフリットよろしくな」
「僕はスティングですよろしくお願いしますね」
二人共殿下に負けない美少年だ、それでも怖いと感じる
「……サクラだ、よろしく、ティナ、この人達は大丈夫だよ何もしない」
そう言うとサクラは無理矢理私を前に出す。私は、震えるのを抑えつつ自己紹介をする
「ティ、ティナ・ハートノースですよろしく……お願いします……」
「よろしくティナ嬢、まだ怖いだろう?いいよ無理しなくて」
「い、いいえ大丈夫……です」
「ほんとうかい?まだ震えてるよ」
殿下は私に手を伸ばす。そのちいさな手はやけに大きくなり、殿下の顔が段々とあの男の人に……
「ひぃ」
私は思わず逃げてしまう
サクラちゃんの後ろに再び隠れる
サクラちゃんはため息をすると申し訳ないと謝る
「殿下、意地悪しないの」
「ハハ、ごめんよ、ともう少しで始まるねそろそろ席に着こうか」
照明が暗くなり始まりの鐘が鳴る
私達はそれぞれ席に座り学園長の話と学園についての説明がされた
「次に新入生代表、ペイナ・アストセンタ様お願いします」
「はい!」
殿下が壇上に上がる、その爽やかな笑顔を見せると会場から黄色の声が響いた。
「皆様、こんにちは、ペイナです。この度新入生代表として挨拶をさせていただきます。
私達はこの学園に学びに来ました、それは平民も貴族といった身分は関係ありません、この学園に入学したのだから私達はこの学園の生徒です。互いに切磋琢磨して……」
少し長めの挨拶が行われた
「以上です、ありがとうございました」
終わると周りから拍手がした
そのあとは生徒会長の挨拶などで入学式は終わった
今日はこれで終わりで明日からクラスに別れて授業の説明などするらしい、帰りは宿ではなく寮に向かう
「疲れた……」
「そうね、学園長の話長かったしね」
「……殿下の挨拶が1番短かった」
そんなことを話して部屋の前に着く
「お、ウチ、ティナちゃん達とお隣の部屋か嬉しいね」
「ほんと!いつでも遊びに来てね」
「うん、じゃあまた明日ね」
「……また明日」
部屋に入りベッドに座ると緊張から解放されたのと疲れからかすぐに落ちてしまった……
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